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屋上防水

技術と経験則を集結させる防水工事とは

By 屋上防水, 防水担当の日誌

今回は防水工事のお話です。
僕のブログでは、今まで何回か防水工事についてお話しています。さらっと施工方法をご紹介してはいますが、実はものすごく技術のいる工事です。
DIYで防水工事をしようとされる方もいらっしゃいますが、どういった所がプロとの違いなのかについてご説明いたします。

高圧洗浄後にモルタルを塗る

高圧洗浄で汚れをしっかりと落としたら、モルタルを床や壁面などに塗っていきます。
DIYで工事をしようとするとき、まずはこの洗浄から大きく差がでるのです。

きちんと洗えていない箇所は、塗料が剥がれることがあります。

また、洗えない洗いずらい位、その場合の対処も分からないでしょう。

〔関連動画:一級塗装技能士が行う高圧洗浄〕

そしてその上での、モルタル塗りです。これも技術のいる作業となります。

弊社では左官職人が、ローラーでモルタルを塗っていき、下地調整をおこなうのです。
(小手を使ってモルタル塗りをする場合も)

モルタルは、下地のくっつきを良くします。
まずノリを水で溶き、そこに粉を混ぜてモルタルを作るのですが、この糊が下地との接着力を上げてくれるのです。

最近では元から粉に糊剤が入っていて、水で溶くだけのモルタルもありますが、2段階で溶くタイプの方が、接着力が高いように現場を見ていて思います。

〔関連動画:モルタル補修〕

プライマーを塗る

次はプライマー、つまり下地の塗装です。
防水工事の下地として使用するプライマーは、非常にニオイが強く、酔っ払ってしまう人もいます。

ショッピングモールなどの大型店舗などで塗装をする場合は、屋上だとしても換気口などからニオイが入ってしまうため、休館日や閉店後の工事となってしまうほどです。


しかし、このいわゆる溶剤タイプのプライマーを使わないと、防水用の接着性が弱くなってしまいます。
水性でニオイがそこまで強くないものもありますが、やはり接着の持ちが違うのです。
防水の塗装は、壁面よりもさらに密着性が必要とされます。なぜなら、水の侵入を防ぐことが目的だからです。

そのため、塗るのに苦労する溶剤ではありますが、しっかりと使用して接着力を高めます。
たまに、YouTubeなどで屋上防水の仕方などを見て、DIYで防水工事をしようとされる方もいらっしゃいますが、こうした溶剤の使用など、素人の方では難しいでしょう。
取り扱いがハードな材料ではありますが、防水の職人だから扱えるのです。

〔関連動画:屋上防水〕

ゴム剤の塗装

本塗りとしてゴム剤を塗ります。今回使うのはウレタン2液混合タイプのものです。1液タイプのゴム剤もあるのですが、硬化不良がないものの厚くついてしまうと表は乾く物の中身はぐちゅぐちゅした状態に。
防水塗装は、壁面塗装に比べると10倍ほどの膜厚をつけます。そのため、中身が乾かないと大変なことになるのです。

だいたい1階の広さに対して、ゴム剤を1キロほど使います。2回に分けて撒くのですが、均一に膜厚をつけることが大切です。
その後トップコートをします。これは通常の塗料と同じものです。

 

こちらの消火器が写っている場所のゴム剤の撒き方は、少し違います。


長尺シートが貼られるので、ウレタン防水との複合工法となり、ここの場合は厚く塗ればいいというわけではありません。
塗り方を間違えてしまうと、長尺シートが盛り上がってしまいます。

基本的には防水工事は膜厚を均一に厚く仕上げますが、場所によってはただ厚く仕上げればいいわけではないので、ローラーを変えるなど小さい技や細部への注意が必要となるのです。

〔関連動画:ウレタン防水工事〕

防水の要 シール剤

防水工事において、大切なのはベランダや屋上などの雨の進入口に対策をすることと、サイディングやタイルの隙間から入る水にたいしての対策をすることと言えるでしょう。
そして、その隙間を塞ぐのが、このシールなのです。


シールは、元にあるものをすべて撤去するところからはじめます。
前回このシールを施工した業者が2面接着だったため、写真のように引き出すと上手くシールが剥がれますが、職人によっては3面接着や、モルタルをきれいに処理していなくてシールがまったく剥がすことができず、ほじるように取り除くことも。

そして、綺麗に掃除した目地に新しいシール剤を充填します。
この時、目地周りは養生をしてはみ出しがなく綺麗なラインが出るように仕上げを。

ここで大切なのは、養生を剥がすのを翌日にすることです。
というのも、目地に打ち込んだシールのはみ出しが、養生にくっついていた場合、養生を取る際に打ち込んだシールを引っ張り、隙間を作ってしまう場合があります。

隙間を作ってしまっては、せっかくのシール工事が無駄になってしまうことに。


また水というのは、こうした小さな隙間から徐々に侵入していき、少しずつめくるように隙間を広げて行き、壁の中へと入り込むのです。
シール工事は、養生の剥がし方次第で打ったシールが成功にも失敗にもする…それくらい繊細な工事といえます。
またシールの打ち方にも、習字の留め跳ね払いのような打ち込み方があるのをご存知でしょうか?
シール材はただ隙間に打ち込むのではなく、重なるところ、打ち込みが終わるところなどを考えて打ち込まないと、そこに無駄な盛り上がりやだらしなさが出て美しくありません。

また壁表面に模様のあるサイディング壁の場合、目地のラインを出すように仕上げるのではなく、ぼかして仕上げます。
目地がはっきりとしてしまうことで、壁面で悪目立ちをするからです。
あえて養生をせずに適量で打つのですが、養生しない分、職人の力量が問われます。

〔関連記事:シール工事〕

シール工事

シール打ちは、一見するとガンで隙間に注入しているだけなので、簡単そうに見えますが、掃除と撤去技術習得のために数年、打つ技術で数年、抑えを数年と、かなり職歴を詰まないと美しいシールというのは打てません。

最近では、新人でも勘のいい職人だとシール打ちをする人がいますが、スタンダードな工事はできても応用がきかないことがほとんどです。
シールは、防水材とは少し違いますが、雨水の侵入をふせぐために大切な防水箇所なので、技術経験不足は命取りとなってしまいます。
1㎝×1㎝のわずかな隙間ではありますが、防水の肝なのです。

〔関連動画:マンション外壁タイルのシーリング〕

防水工事の矛盾

以前もこんなことがありました。
役所からの依頼で、保育園の屋根防水をして、2階部分の広いバルコニーでは防水工事を施すことになったのです。
役所からの依頼の場合、搬入した缶数をしっかり写真に撮り、注文通りの缶数を使用したかどうか、その後も空となった缶の写真を提出します。

しかし、ここに矛盾が生まれるのです。
例えば、壁や床の材質が塗料を吸いやすいものの場合、通常よりも塗料の量が必要となります。かといって、塗料を余分に用意したものの通常通りの使用しかせずに余ることも。
こうなってしまうと、空き缶の撮影ができません。だからといって、吸い込みはないものとして塗料を注文すれば、足りない時は工事が数日〜数週間ほどストップしてしまうことに…。

この保育園の屋根防水工事では、役所からの指示通りの計算をしたものの、建物のイレギュラーで計算した以上に膜厚が出てしまい、ベランダに取り付けられた扉が開かなくなってしまいました。
言われたとおりに正しくやったとしても、現場とはイレギュラーの連続なため予測どおりにはいかないのです。

〔関連動画:屋上防水の実物施工を展示するショールーム〕

防水工事は技術と経験を集結させたものだからこそ

 

たまにお見積もり依頼を頂いたお客様から、値下げをして欲しいと言われることがあります。
たしかに多少のサービスであれば気持ちとしてすることはできますが、値下げとなると材料費や人件費など削れる物がないため、そうなると材料費などを落とすか、もしくは工事する箇所を絞るかになっていきます。
他社が安かったとしても、それは値引きの理由にはなりません。

なぜなら他社が塗装職人とまったく同じ工事をやって値引きをしているとしたら、赤字になってしまうはずだからです。ということは、安くするために工事内容の中でなにかしらの帳尻合わせをしているのでしょう。
今でも塗装工事費を、一昔前に工事費の目安としてよく言われた100万円ほどだと思って、見積もりにいらっしゃるお客様もいます。
しかし材料費なども上がり、現在では100万円で一軒家の外壁、屋根を含めた塗装工事をすることは、不可能に近いです。
そして100万円におさめようとすると、不確かな工事しかできません。

ペーパードライバーと毎日運転する人。

その中でも、あまりお上手でない方と上手な方

免許を持っていますが、ヤブ〇〇といろいろ表し方があります。

故に誰?どんな人間が施工することがやはり一番大切です。

 

防水工事には技術や、家によって起こるイレギュラーに対する対応力がなによりも大切になります。
だからこそ、前回と今回のブログで紹介したような職人の経験が必要なため、費用も必要となるのです。
たかが防水工事ですが、されど防水工事…。家にとって雨漏りは、一番防がなければならないものと言えます。

〔関連記事:防水工事〕

防水工事

防水工事の内容について知りたいことがあれば、いつでもお問い合わせ下さい。
確かな技術を持って、お答え致します。

雨漏りしにくいウレタン屋上防水の仕組み

By 屋上防水, 防水担当の日誌

塗装職人の施工の場合、よく行う種類の施工としてウレタン防水が半数以上を占めます。
ウレタン防水の特徴としては施工時が液状です。

マンションやビルの屋上は必ずしも平坦ではありません。アンテナ架台やフェンスの架台、トップライトなど様々な凹凸のある設備基礎的なものがあります。防水工事の種類はウレタン防水のほかに「シート防水」「アスファルト防水」「FRP防水」など様々な種類がありますが、この凹凸がある屋上には基本ウレタン防水が適しています。
液状化のため凹凸があっても継ぎ目のない施工が出来るからです。

 

もちろん現状の下地の状況によって、施工が出来るか出来ないかの判断はありますし、他の防水工事である塩ビシート防水やトーチ工法でも施工事例はあります。
ただ防水工事をしても一番雨漏り発生の確率が高いのは屋上の一番端に当たる端末部分やこの継ぎ目から漏水してしまう事です。

他の防水工事では、継ぎ目の処理は熱源や溶剤で材料を溶解する方法をとるため雨漏りすることはまずないと良いのですが、仮に万一1ミリにでも融着などの施工ミスがあれば雨水は侵入してきます。施工時が液状のウレタンの場合はジョイント部に隙間を生じさせてしまう施工ミスは非常に考えにくいです。

それでも他の防水工事を選択する理由は、屋上の上をよく歩くか歩かないかです。
歩行にも点検程度の歩行や居住者が多くが歩く場合などで大きな違いはありますが、より多く歩行する場合は塩ビシートやアスファルトやシート防水の方が適していたりする場合もあります。
バルコニーやベランダで洗濯する場合の歩行程度であれば全く問題ありません。

また通気緩衝工法のウレタン防水の場合、クラックなど現状の下地が荒れているなどしてもウレタンの防水層とモルタル下地との間に「通気緩衝シート」を敷き込むことによってゴム化したウレタンも下地からの影響を受けずに耐久性のある防水工事をすることが出来ます。

その他のメリットとしては、もしも部分的に雨漏りなどで補修の必要性が出できた場合、ウレタン防水は液状施工ならではのメリットを発揮します。
屋上防水のトラブルとしてはふくれというものもあります。下地内部の湿気が水蒸気となって防水層を押し上げてしまう現象です。

我が塗装職人でも多用しているサラセーヌの通気緩衝工法にはQV工法やAV工法などがありますが、いずれも水蒸気は緩衝シートにある通気層や経路を通って脱気筒から排出されるためふくれが起きることを防止します。

施工的にはウレタンの厚みも耐久性には重要な要素の一つです。
アスファルト防水やシート防水などは、いわば製品を現場で取り付ける作業なのでどの屋上で施工をしても”防水材料の品質”には差はありませんが、液状のウレタンの場合は層の厚みで質が変わってきます。

要は職人の作業によってウレタンの厚みが変わってきます。
施工時ウレタンを流す際はコテやヘラなどで塗布していきますが職人の腕によって質が変わるため施工によっては耐久性にも差が出たりすることがあります。

紫外線から保護するため一番上に塗装するトップーコートで施工上の品質に差が出てくることは少ないと言えますが、ウレタンの1層目と2層目の厚み確保は重要です。
ちなみに塗装職人ではその厚みがわかるよう実物施工の見本も店舗に展示しています。

屋根・防水工事をリアルに再現した無人店舗ショールーム

By お知らせ, ウレタン, 屋上防水

屋上防水と屋根工事の工程そのままリアルに再現した無人スマートショールームをオープンします。マンションに見立てたジオラマで屋上を作り、戸建ては大工の内藤によってミニチュアの住宅を作り屋根工事の工程を再現しています。

外壁塗装のショールームはあっても屋上防水のショールームは全国的に見ても少ないです。大規模修繕のショールームはちらほらあるようですが、現場での施工を忠実に再現したショールームは恐らく日本初だと思われます。

この屋上防水、実際に防水職人の手によって現場と同じそのままのウレタン防水が施工してあります。

通常の塗膜防水をするのならば、QVシートを使用して本格的な通気緩衝工法で再現しようということになりました。言わずと知れず防水の工程は層を作るたび乾燥時間が必要なため実質5日間ぐらいに分けて施工しました。ただ現場作業もあるため実質1か月間の時間を要しました。

ジオラマは発泡系の為、屋上部分には木材の型をはめてその上にモルタル下地を作りシーラー塗布と下地シートである通気緩衝シートを貼り、サラセーヌにて1層、2層とウレタンを流しトップコートで仕上げというように現場と同じ工程を踏んで施工してあります。

ジオラマは一級建築士の専門家によって作り上げたものです。

実際の現場と唯一違いを持たせてのは、ウレタンの厚みを確認できることです。実際の現場では膜厚計という厚みを図る機器で測定したりするわけですが、このショールームでは工程のリアル感をより感じてもらうため、部分的に密着させていない層を作りウレタンを触って厚みの確認ができる工夫をしてあります。

 

この厚みの違いは耐久性はもちろん、雨漏りの観点からも重要な要素です。もし今後防水工事の予定があるのだとしたら知っていて損はない情報元だと思われます。そして実際の工事は良質なものばかりではありません。逆に施工ミスの状態も感じてもらえる展示物も飾っています。ウレタン防水にありがちな触るとべたべたする「硬化不良」を再現しました。

防水関係ではウレタンのほかに塩ビシート防水のサンプルも置いてあります。ディスク版とシートの断面がわかるサンプルですが、これはジオラマではなく一般的な見本ではありますが、構造がわかります。同様にこちらも小さいサンプルではありますがアスファルト防水の見本も飾えてあります。

サンプルと言えども業者でない限り実際に見る機会がないと思うので、これから防水工事を検討している方には多少でも参考になるものだと思っています。

塗装に関しては、イベントとして毎年開催していたミニチュアの家の作品を飾っています。一般作品も飾ってありますがそれぞれの一級技能士がどのような作品を作っているのか、実際の住宅での塗装とはまた異なる視点で職人さんの個人的センスが垣間見れるので、とても面白いものなのかなと思っています。

戸建てのミニチュアの外壁にはサイディングを貼り、目地シールには打ち替えを再現しているので、シール材の撤去の状態やボンドブレーカー代わりのバックアップ材を入れた状態の工程を飾っています。もちろんシール職人による施工です。

屋根工事は葺き替え工事の工程を再現して、野地板から防水シート、スレートの上に屋根材を貼るなどこちらもリアルに作りました。スレートはわざわざクラックも意図的に作っています。実際の現場から持ってきた劣化した下地シートを使用しリアルにこだわりました。

屋根に関しては、スレート屋根の塗装前と遮熱塗装の仕上がりとでの温度感の違いを体感していただきます。こちらも本物のスレート一枚を使用し一級技能士による現場と同じ工程で塗装をしています。

こちらのスマートショールームは、防犯上のため予約制です。基本予約にて玄関のスマートロック解除を遠隔にて行います。無人の為セールスは一切ありませんのでゆっくりと現場と同じリアル感を感じていただけたらと思います。

また展示物を見ながらもし質問等があれば受付システム端末から直接担当者などへ質問ができます。

但し現在、年内の工事予定はすでに埋まっていることもあり業務が非常に多忙な状況です。展示物は見ることはもちろん見ることはできますが、質問等の対応はその時の状況次第で出来かねてしまう場合もあります。

展示物目的とは異なるかもしれませんが、いつもイベント時に無料プレゼントとして配布する「塗装セット」も飾ロ得ています。

 

展示場やショールームは基本これから購入物や工事などをわかりやすく理解してもらうようにサポートをするものです。ただこちらのショールームでは工事後に品質を確かめたいという心づもりで来ていただく方も対象としています。

予約も簡単にできるようまた案内をしたいと思います。

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

By ウレタン, 屋上防水, 長尺シート, 防水担当の日誌

これまでのブログでは、塗装や防水工事などそれぞれに特化してご紹介をして参りました。
普通の一軒家では、予算的にも工期的にも同時に複数の工事をすることが難しいものです。

しかし今回のお宅は、通常の一軒家とは違い、店舗の上が陸屋根となっており、さらにその陸屋根の家にオーナー様の家が建っているお宅でした。

そのため、様々な工法が必要となり、チーム塗装職人の技術と知恵をフルで注ぎ込む工事となったのです。
こちらの工事に関しては、何回かに分けてブログに書きたいと思います。

本日は、導入編です。
まずは、お客様宅の工事内容についてご紹介致します。

店舗と住宅 大改修工事その内容

お客様のご自宅は、先ほども少し書きましたように、1階部分に店舗があり、その店舗の上は陸屋根。そしてその陸屋根の上に中二階のある平屋が建っている建物となります。
今回はお客様から大規模改修のご依頼がありまして、工事をすることになりました。

まずは1階部分です。
足場については、店舗の営業の妨げにならぬよう組みました。
『営業中』と書いたシートも大きくかかげ、さらには駐車場部分にはコーンを置きます。
これは、万が一車止めぎりぎりまで駐車してしまうと、車と足場が接触してしまう恐れがあるからです。

 

 

店舗はALC構造となっており、店舗の周りを覆うタイルにところどころ滑落やヒビが見受けられるため、補修してセブンSSというタイルに対する外壁防水化粧材を使います。

また店舗の裏は、今回の改修の際にウッド調で統一をするため、茶色に塗装することとなりました。

〔参考ページ:外壁タイル補修〕

外壁タイル補修

さらに陸屋根部分は、ウレタン塗膜防水をおこないます。
陸屋根は、排水口を屋根に穴を開けて下まで通してあるため、工事の際には注意が必要です。

というのも、昨今ではゲリラ豪雨などが多くなり、陸屋根が設計された当時に予想されていた雨量を遙かに超える日があるので、工事する際にそうしたことも計算する必要があります。

そもそも陸屋根というのは、トラブルの多い屋根です。
通常は勾配をつけた三角屋根などが主流ですが、三角屋根は陸屋根と同じように傷んで穴があいたとしても勾配があるため多少被害の広がりが遅くなります。
(とはいっても三角屋根の場合でも、水の巻き上げなどもあるので必ず三角屋根がベストか…と言われると言い切れない部分もあるのですが…。)

陸屋根は『水が溜まりやすい』という特徴から、再塗装する際には十分に注意して工事する必要があります。

〔関連ページ:ウレタン防水〕

ウレタン

次に2階部分と階段についてです。
2階部分は、まず腰壁の内壁を全てウッド調にすることになりました。

さらに、屋根がいわゆるコロニアル屋根等のノンアスベストタイプで、屋根自体がもろくなってしまったため、ジンカリウム鋼板にてカバー工法をすることに。

さらに、陸屋根部分のウレタン防水をした上に2階入り口から家の入り口までレッドカーペットのように長尺シートを貼ることになりました。

それと同じく、鉄階段部分も塗装をし、タキステップ(長尺シートの階段版)を貼り込みます。

〔関連ブログ:外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方〕

外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方

家の外壁はタイル柄ですので、タイル調に塗り分けるために多彩色カラーを使用し、これによって壁にタイルらしい風格を出すのです。

 

家に合った材料選びをするために

工事内容というのは、建物を見てパソコンに情報と数値入力をすればすぐに出てくるものではありません。
これらの工事内容を決めるためには、綿密な打ち合わせが必要なのです。

まずは、材料選びについてお話し致します。
現在、建築材料というのは環境対応型の材料などがどんどん発売され、家に合った材料を選ぶことは非常に難しいものです。

そして、新製品が発売されると多くの方がそれに飛びつき利用しようとしますが、僕としては「ちょっと待った」と思ってしまいます。
というのも、どんな新商品もそうですが、最初は商品の良い面だけを前面に出して販売され、悪い面は使ってから数年後に分かるものだからです。

先日も、とある塗料で発がん性物質が入っていた塗料が、発がん性物質を抜きリニューアルして発売されました。しかし以前の塗料は、塗装後建物の美観を保つことができたのですが、発がん性物質を取り除かれた塗料では、塗装しても建物の美観が保てなくなっていました。
たしかに健康面としては良いのですが、家としては持ちが悪くなってしまったのです。

その他にも、今多くの家で問題になっているノンアスベストの屋根材は、アスベストが使用禁止になったことで発売されましたが、強度が弱く補修さえ出来ない状態の屋根となっています。
ノンアスベストの屋根材を使用した家々は、数年で屋根が補修工事もできないほどひどい状態になってしまうことは予想もしなかったでしょう。

そのため、僕は材料選びをする際に材料の業者や商社などに徹底的に確認を入れ、現場で材料を扱っている職人の意見なども吸い上げながら材料を決めるのです。
今回も多くの塗料や防水剤は数々の確認をし、お客様と何度もお打ち合わせした上で決定しました。

 

家に合った工事の進め方を決める

次に、工程の相談です。

今回も一つの現場に多くの専門職人が入ります。

足場、塗装、防水、シーリング、大工、板金など、数多くの職人が入るからこそ、順番が大事です。
工事する内容によって、順番は変わりますので職長会議も必須となります。

何が先で、何を後にするかによって、仕上がりが大きく変わる場合も。
調べ抜いた材料を理想の仕上がりにするために、営業である僕と職人達で意見しながら、より良い工程を模索します。
ここをいい加減にしてしまうと、欠陥工事となってしまうのです。

〔関連動画:駅前の営業中テナントビルの大規模改修工事 足場・補修・防水・塗装 全行程〕

正直、外壁塗装の世界は矛盾だらけで、マニュアル通りにいくものは一つもありません。
そのため、現場の責任者にも多くの知識が必要となるのです。

僕には、材料や塗装、防水のそれぞれの部署に信頼できる担当者がいますので、今回のような工事を組むことができます。
毎日、それぞれに材料のことや技術のことを質問し、答え合わせをし、お客様に最適な材料と工事方法をご提案できるようにしているのです。

たまに、「見積もりを1週間くらいで下さい」と言われることがあります。
僕からしますと、これは不可能です。
補修や塗装する箇所について徹底的に調べ、あまたの材料の中から最適な材料を割り出し、さらにそれらの材料や工法がそれぞれの箇所に緩衝しないかを確認し、期間や必要な職人のスケジュールを確認する。

これだけのことを盛り込んだのが、弊社の見積書なのです。

お客様の理想の塗装工事をするために僕は、工事がはじまると毎回ドキドキします。
四六時中現場のことを考え、お客様にとってベストな方法はないかと模索しているからです。

幸運なことに、僕は会社や職人を始めとして、材料の商社など周りの人々に恵まれているため、このベストな方法を実現させることができます。
塗装工事で大事なことは、リスク管理です。

材料や工事の内容の悪い点が、後出しにならないように細心の注意を払いながら工事内容を煮詰めます。
今回の大改修工事では、新商品は屋根以外使っていません。
屋根材にだけ比較的新しめなジンカリウム鋼板を使いましたが、こちらの材料は大手商社が社運をかけて作っている肝煎りの建材です。そうした裏取りをしっかりとした上で、材料のラインナップをしています。

〔関連動画:ジンカリウム鋼板で屋根の葺き替え〕

次回からは、それぞれの工事内容について詳細をご紹介できればと思いますので、ご期待下さい。

バルコニー防水の仕上げはトップコート材にチップを入れて滑り止め

By ウレタン, ベランダ

最終日になりました。今日はウレタン防水最後の仕上げ作業となります。硬化させたウレタンにトップコートを塗り、何か問題があれば手直しをしてそれで終わりです。このトップコートはウレタンを紫外線から守る効果があるため、ウレタンの早期劣化を防げるというメリットがあります。

折角防水工事をしてもすぐにウレタンが劣化してしまっては元も子もないので、2層流した後には絶対に塗りたいですね。実際に使うトップコート、サラセーヌTです。これも他の材料と同様、2液となっています。

ウレタン保護剤であるトップコート サラセーヌT

 

サラセーヌTはウレタンのように厚みを付ける材料ではないため、ウレタンの様にそこまでの量は必要ありません。なので今日もシール材の缶を洗った物を容器にして塗り込んでいきます。また、ウレタンと違い撹拌機を使わないと満足に攪拌できない材料でもないため、少量作る際は撹拌機ではなく刷毛やローラーなどで攪拌します。

攪拌前のサラセーヌT

 

サラセーヌTを作ったら、硬化させたウレタンに塗っていきます。もちろんここもダメ込みから始めていきます。

サラセーヌTのダメ込み

 

このままローラーで残りの箇所を全部塗ってしまいたいところですが、ここはバルコニーです。サラセーヌTは硬化させるとツルツルとした感触になり、人がその上を歩けば足を滑らせることになってしまいます。そのため、足を滑らせないようにするためにする必要があります。

そこで使われているのがこちら。「チップ」と呼ばれている粉です。これをサラセーヌTに入れる事で、硬化させた後にザラついた仕上がりにすることができます。その表面のザラつきが滑り止めになり、人が安心して歩けるようになります。

滑り止めの役割をする「チップ」

 

チップはそんなに大量に入れる必要はありません。少し入れれば十分効果を発揮させることができますが、粉状の物のため、一度に大量に入れるとダマになってしまいます。なので少しずつ入れて、しっかりと攪拌しダマにならないように注意する必要があります。

写真は実際にチップを入れているところです。一度に大量に入れるのではなく、少しずつ入れています。

チップを入れ、滑り止め効果のあるサラセーヌTを作りそれを土間に塗る

 

サラセーヌTはウレタンのように大量に流すものではありません。ウレタンの時は、バルコニーに勾配がつけられ撒いたウレタンが流れ、足で踏んでしまう可能性がありました。トップコートはどのメーカーのものでも流さずに塗るものなので、トップコートの塗り込みは最初にダメ込みをすべて終わらせた後、ローラーを転がして仕上げました。

土間にチップ入りのサラセーヌTを塗り仕上げていく

 

最後はウレタンの時と同じように、塗ったトップコートを踏まないよう手すりの上からの作業となります。

塗ったサラセーヌTに足跡をつけないように、手すりの上から作業をして仕上げる

 

サラセーヌTを塗り終わった後の写真です。足跡もなく、キレイに仕上げられているのではないでしょうか。この後、硬化させてからバルコニーにあった荷物などを元に戻してウレタン防水工事は完了となります。

トップコート塗布 完了

 

この日もシール打ち替えと同時進行でした。シールも終盤だったこともあり、ネタ場から必要最低限の道具や材料だけ残し、他のものは片づけてあります。こうすることで、作業が終わった後、速やかに片づけて帰れるようにしています。

不要な物を下げ、速やかに撤収できるようにしておく

 

残りの作業も終わり、改修工事は終了です。車に入りきらなかった荷物や道具は、ブルーシートで覆い、邪魔にならないように片づけています。残った荷物は後日に引き下げます。これらが済んだ後に、足場の解体を行い改修工事は終了です。

作業面積が狭いバルコニーのウレタン防水作業

By ウレタン, シーリング(コーキング), ベランダ

今日もシールの打ち替え工事と平行しながらバルコニーの防水工事を行っていきます。最近は気温も高くなったお陰で、流したウレタンも1日でちゃんと硬化してくれていました。

2層目のウレタンを施工する前のバルコニーです。今日はここに2層目のウレタンを入れていきます。

1層目のウレタンを完全に硬化させ、2層目を入れる前のバルコニー

 

昨日は一斗缶でウレタンを合わせ攪拌して使いましたがバルコニーはあまり広くなく、流す量も少ないため今日は丸缶に材料を合わせ攪拌して使うようにしました。使用するウレタンの量だけでなく、一斗缶を持って足場を移動するのはそれなりの労力となるため丸缶の方が良いと判断したためです。実際に使用した丸缶です。

これは前日平行して作業していたシール打ち替えで使うシール材が入っていた缶です。前日の内にキレイに洗って保存していたものを使用します。

洗って保存しておいたシール缶。適度な大きさのため様々な用途がある

 

ウレタン防水工事はウレタンを流すまでが手間で、一度ウレタンを流してしまえばそこからの作業の進捗が早く、手間もあまりかかるものではありません。そのため前日にウレタンの1層目まで済ませてあるので、この日の現場はシールの打ち替えがメインとなりました。

翌日までにウレタンを硬化させるため、朝一で2層目を流したらシールをメインに作業を進めていきます。

天井にシールをする職人の技能士

シール材を養生したパネル目地に充填していく

 

因みにこちらがシール材を攪拌する機械です。ミキスタと呼ばれる機械で、シール材を攪拌するのに使用されます。この機械はシール打ち替えだけでなく、ウレタン防水の土間目地など、シールを打つ必要がある時に使われています。

シール撹拌機のミキスタ 材料を混合しセットすれば自動で攪拌してくれる

 

屋上の時のように1人作業ではなく、今回は作業人数を増やしたためウレタン防水の工程を進める人が1人、残りの人員はシールと振り分けての作業です。先日同様、サラセーヌKを比率通りに合わせたら撹拌機を使い材料を混ぜ合わせていきます。

撹拌機は結構パワーがあるため、攪拌の際は両足で固定しながら混ぜ合わせています。こうして固定しておかないと、缶ごと回ってしまったり、最悪缶が倒れ材料を飛散させてしまうことになるので必ず固定させて攪拌しています。ウレタンを作ったら早速2層目のウレタンを流していきます。1層目と同じように、まずは周囲のダメ込みからの作業となります。

仕上がった塗装壁の際のダメ込み

 

壁側だけでなく、アルミ笠木の下にも刷毛でダメ込みを入れておきます。アルミ笠木の下の立ち上がりはとても背が低いため、ゴムベラや小手を使って立ち上がり材を使っての作業ができないため、ダメ込みと同時に立ち上がりにもウレタンを塗り込んでいます。

ゴムベラや小手の入らない場所は刷毛を使いウレタンを塗布する

 

作業スペースが少ないため、全体のダメ込みの後に流す方法は取りませんでした。ダメ込んだウレタンを踏んでしまう可能性があるため、少しダメ込みを入れた後にウレタンを土間に流す…先日と同じやり方で仕上げていきました。

流したウレタンを踏まないよう、少しずつ作業を進める

 

 

【こちらはモルタル露出面からウレタンにて防水した時の工事事例です】

モルタルむき出しからのバルコニーウレタン防水工事

 

ウレタンを流す作業は最終的に足の踏み場が無くなってしまうため、最後は流したウレタンを踏まずに作業できる場所を探しておくことも大切なことです。このバルコニーでは周りにフェンスがあり、足をかけられるため1層目、2層目共に最後はフェンスに乗って仕上げました。

足の踏み場が無くなるため、逃げる場所を作っておくのも重要

 

予め足の踏み場が無くならないよう、逃げ道を作って作業したおかげで流したウレタンに足跡が残ることなく仕上げることができました。これでウレタン2層目は完了となります。後は前日同様ウレタンを硬化させるだけです。明日、最後の仕上げの作業をしてバルコニーの防水工事は完了となります。

ウレタン2層目 塗布完了

モルタル下地面からのバルコニーウレタン防水

By ウレタン, ベランダ, 下地補修

一般的な改修工事では、塗装と防水、二つの業者が同時に作業を行うことはありません。防水工事が終わったら塗装、もしくは塗装が終わったら防水とどちらか1つ終わらせた後に作業をするのが一般的な改修工事の流れです。

世田谷の改修工事の続きです。外壁塗装が終わったので、バルコニーのウレタン防水工事と建物正面のパネル面のシールの打ち替え工事を始めていきます。

ウレタン防水工事をする前のバルコニー

 

まずはケレン作業からです。ケレンとはキレイな被装面を作る作業のこと。防水工事では皮すきという道具、もしくはスクレーパーを使うことが多いです。

「皮すき」。ケレンだけでなく様々な場面で使われる万能道具

 

 

被装面というと、難しい作業のように感じるかもしれませんが、あまり難しいものではありません。皮すきでバルコニーの土間など、ウレタンを塗布する箇所の突起物やザラつきを削ればいいだけです。実際にケレンしている動画になります。ケレンが終わったらバルコニー内全体を掃除し、ゴミや埃を取り除いていきます。

今回はブロアーでゴミを寄せた後、ホウキを使いました。ケレン・清掃が終わったらプライマーを塗っていきます。使うのはサラセーヌのPです。

ウレタン防水で使用するプライマー「サラセーヌP」

 

屋上の防水工事と同様、狭いところや仕上がった塗装付近などのダメ込みをしていきます。ローラーではどうしても壁の仕上げられた塗装に触れてしまうため、あえて刷毛を使っています。

刷毛を使用したサラセーヌPのダメ込み

 

全体のダメ込みが終わったら、今度はローラーを使い土間全体にサラセーヌPを塗り込んでいきます。ローラーを勢いよく転がすと材料が飛散してしまい、周りを汚してしまうので静かに転がして塗っていきます。

土間にはローラーを使いサラセーヌPを塗り込んでいく

 

次はウレタンの1層目を流していきます。今回も使うのはサラセーヌKです。

平場用ウレタン「サラセーヌK」

 

二つの材料を合わせて攪拌します。ウレタンを攪拌する前に、缶の内側についている硬化剤をシンナーで洗い流しておきます。あまり意味のないことのように感じるかもしれませんが、これをしておかないとウレタンの硬化不良が起きやすくなってしまうため洗浄は必要な作業です。

缶内側の材料をシンナーで洗浄し硬化不良を防ぐ

 

材料の攪拌が終わったらバルコニーにウレタンを流していきます。狭く作業しづらいため、今回はローラーと刷毛を使い仕上げていきます。

サラセーヌKを使ったバルコニーのウレタン1層目

 

流したウレタンを踏んでしまわないよう、ダメ込みをしながらウレタンを流していきます。

刷毛を使ったダメ込み

 

バルコニーにウレタンを流した後の様子です。硬化させた後、もう1度ウレタンを流します。

ウレタン1層目完了

 

バルコニーが1つあるため、これらの作業を繰り返して同じように仕上げていきます。まずは皮すきでケレンし…

ケレン作業

 

掃除し埃を取り除きます。

清掃

 

プライマーをダメ込んで…

プライマーダメ込み

 

ローラーで全体を塗り込む。

プライマー塗布

 

そしてプライマーを乾燥させた後、ウレタンを流す。これがウレタン防水工事の一連の流れとなります。屋上では通気緩衝のためにシートを貼ったり、メッシュクロスを貼る作業もありましたが、掃除した後にプライマーを入れてウレタン、これが基本的な流れです。

2階バルコニーのウレタン防水工事

 

この日はシールの打ち替えと平行し作業していました。バルコニーのプライマーを乾燥させている間にシール工事、乾燥したらウレタン防水、といった具合に作業を進めたため、ウレタンの1層目が終わった頃にはキリの良い時間となっていました。写真は劣化した既存シールの撤去のものです。

撹拌機をシンナーで洗浄しているところの写真です。洗い終わった後、ネタ場を片づけてこの日の作業は終了となりました。

 

ウレタン防水・施工後

ウレタン屋上防水の最終工程はトップコートで完成

By ウレタン

2層目のウレタンを流し、再び1日開けての作業となります。
今日はウレタン防水最後の工程であるトップコートを塗る作業となります。
トップコートを塗る前の屋上の様子です。
本日の世田谷も晴天です。
1層目のウレタン同様、1日置いたことで2層目のウレタンもしっかりと硬化していました。

トップコート塗布 施工前

トップコート塗布 施工前

 

1層目のウレタンを流した時と同じように、まずは速乾性に優れたオートンのクイックを使いウレタンの補修から行っていきます。

写真に写っているのは、トップライトの止め金具の上からシール材を充填した時のものです。少し分かりづらいですが、止め金物のネジの頭がうっすらと見えている状況です。

このような出っ張りがある箇所はウレタンの傷が付きやすく、ウレタンそのものが破れたり千切れたりすることがあるので、シール材でさらに厚みを付けて補強する必要があります。

ウレタン補修

ウレタン補修

 

一通り見て回り、補修を済ませたらトップコートを塗り込んでいきます。

写真に写っているのは実際に使用したトップコートです。サラセーヌのTと呼ばれる材料です。サラセーヌのトップコートには、他にサラセーヌTフッ素と呼ばれる材料もありますが、今回はこちらの材料を使用します。

これも立ち上がり材や、サラセーヌKと同様、2液性の材料のため合わせて攪拌する必要があります。

今回使用するサラセーヌのトップコート「サラセーヌT」

今回使用するサラセーヌのトップコート「サラセーヌT」

 

本来であれば、計りを使い決められた比率で必要な量のトップコートを作りますが、今回は材料すべて使い切っても足りないと分かっているため、缶を切って1缶丸ごと合わせています。

切った缶同士を重ねて材料を合わせる

切った缶同士を重ねて材料を合わせる

 

合わせた材料を攪拌します。

トップコートはとても揮発の早い材料です。ウレタンのようにガチガチに硬化してしまうということはありませんが、あまり時間を置くと表面に膜を張ってしまうこともあります。

今は冬の時期なのでそこまで極端に早く膜ができることはありませんが、なるべく早く使い切る方が良いです。

ウレタン材料の攪拌

ウレタン材料の攪拌

 

トップコートもこれまでと同様、まずは大きなローラーが入らないような細かいところから塗っていきます。この作業のことをダメ込みといいます。

まずはトップライトの枠から、刷毛とローラーを使い作業していきます。これが終わったら周囲の立ち上がりのダメ込みです。

トップライト枠 サラセーヌT塗布

トップライト枠 サラセーヌT塗布

 

パラペット付近アルミ笠木と土間の間隔が狭いため刷毛のみで仕上げています。ここの立ち上がりのトップコートはダメ込みがそのまま仕上げとなります。

立ち上がり サラセーヌT塗布

立ち上がり サラセーヌT塗布

 

立ち上がりにサラセーヌTを入れたら、土間にもローラー一本分ダメ込みを入れておきます。ローラーを勢いよく転がすとトップコートが飛散してしまうため、静かに転がします。

土間 トップコートダメ込み

土間 トップコートダメ込み

 

周囲の立ち上がりと土間のダメ込みが終わったら本格的に土間へサラセーヌTを塗っていきます。

トップコートを塗る際、あると便利な道具がこちらの2点です。棒のものは「長柄」という道具で、もう一つは台車です。

長柄は先端にローラーを取り付けられるように作られているため、これがあると腰を曲げてローラーを転がす必要がなくなります。
台車は材料の入った缶を乗せておけば、缶を手に持って作業しなくて良くなるためあると便利です。

土間のトップコート塗り込みであると便利な道具

土間のトップコート塗り込みであると便利な道具

 

長柄と台車を実際に使いながら作業している様子です。屈むことなく作業できるため、ウレタンを流すのに比べると労力が格段に減ります。

また、ローラーはプライマーを塗った時のものよりも大きなものを使っています。ローラーの玉が大きければ、それだけ塗れる面積も大きくなるのでこちらも労力を半減させることができます。

動画で見て分かる通り、土間にサラセーヌTを塗っているところですが一定の間隔で同じ方向にローラーを転がして塗っていきます。
こうすることでキレイに仕上げることができます。

 

最後はこれまでと同様、踏んでしまわないよう笠木に乗って仕上げます。

トップを全面に塗ればウレタン防水工事は完了です。

ウレタン防水・施工後

ウレタン防水・施工後

 

こちらはトップコートを塗布して後日、雨が降った後の世田谷ビジネススクエアを背にした屋上です。

 

逆側からみた屋上。

 

防水工事前はこのような状態でした。

 

砂埃も加わってモルタル面がザラザラと荒れている状態でした。

 

下地からの湿気を逃がす脱気筒です。

 

平場と立ち上がりの笠木の隙間もきっちりウレタンで防水されています。

 

雨漏り原因の一つだったトップライト廻りも修復して仕上がりも良いと思います。

 

他に外壁タイルや塗装などもありますが、それはまた別にご報告いたします。

 

【すべての工程の説明をした完工後までのページはこちらにあります。一気に見たい方はどうぞご覧ください。】

雨漏りしていた屋上がウレタン防水で雨水をはじく完全防水の屋上へ

 

 

屋上ウレタン塗布の「流し手」と「ネタ屋」の防水職人の連携

By ウレタン, 屋上防水

本日も世田谷にある鉄筋コンクリート造建物の屋上防水の続きで、メインはウレタンの2層目となります。

寒さが続き、ウレタンの硬化が悪いため1日開けてからの施工となります。

1日開けたことで無事にウレタンも硬化していました。今日は屋上全体にウレタン2層目を入れる作業となります。

まずは補修作業からとなります。これは硬化したウレタンにゴミが埋まっていたりするものを、予めそれを取り除き速乾性のシールで埋めるといった作業になります。

今回も時間短縮のため、オートンのクイックを使いました。

オートンのクイックを使ったウレタン補修

 

まずは枠と周囲の立ち上がりのウレタン2層目から塗布していきます。先日と同じように、ここは立ち上がり材とサラセーヌKをブレンドした材料を使用します。

立ち上がり、枠用に作ったブレンドしたウレタン

 

トップライトの枠にウレタンの2層目を入れます。この枠や、立ち上がりなど床に対して垂直になっている箇所では立ち上がり材、もしくは平場材をブレンドしたウレタンをゴムベラで仕上げるのが一般的です。

2層目を塗布したトップライトの枠

 

この現場の立ち上がりのように、幅の狭い箇所を仕上げる時には、ゴムベラを使うことができないため刷毛を使いウレタンを塗り込みます。

立ち上がり ウレタン2層目

 

防波堤となる養生は今日も使えないため、ウレタン1層目の時と同じように樋付近にブレンドしたウレタンを塗り付けていきます。

1層目も同じやり方ですが、樋の中にウレタンが流れ込んでいないことが写真からも分かります。

樋付近のウレタン塗布

 

今日は2人での作業です。1人が時計回りに、もう1人が半時計周りにと作業することで効率を上げています。

これは短時間で終わらせることができることが前提でのやり方となります。この現場以上に広い現場であれば、各自の作業より2人で作業した方が良い場合もあるので、その時の状況に合わせて作業することが大切です。

2人作業で効率アップ

 

両者がかち合い、樋付近のウレタン塗布が終わるところです。

大規模な現場だと、1人がウレタンを付け、もう一人が刷毛や小手を使い仕上げるというやり方の方が効率的ですが、現場によっては1人ずつ作業した方が早く終わります。

作業員が複数居る時は、その状況に合わせて作業

 

今日は2人作業なので、1人がウレタンを流しもう1人が材料の攪拌を担当することになりました。ウレタンを流す人を「流し手」といい、攪拌する人のことを「ネタ屋」と呼びます。

3人以上いる場合は「運び屋」と呼ばれる、攪拌した材料を流し手に運ぶ人もいますが、2人の場合だとネタ屋の人が運び屋をやることが多いです。

材料の攪拌

 

混ぜる前のサラセーヌKの写真です。既にアメと硬化剤が合わさった状態のものです。表面の水のようなものはシンナーです。シンナーでウレタンを希釈し、流しやすくしています。

攪拌前の平場材

 

平場材を攪拌しているところです。硬化不良が起きないようしっかりと攪拌します。

 

 

ネタ屋担当が新しい材料を運んできて、使い終わった缶を回収しているところです。缶の淵に付いたウレタンが垂れないよう、ゴムベラで削いでから運んでいきます。

ネタ屋が新しい材料を運ぶと同時に、使い終わった缶を回収

 

最後の缶を受け取ったネタ屋は、流し手が仕上げている間ネタ場の片づけをすることが多いです。これは撹拌機を洗浄しているところになります。

流し手が仕上げている間、ネタ屋は片づけに入る

 

作業が終わったら使っていた道具もシンナーで洗いキレイにします。これは小手を洗っているところになります。

作業終了後の片づけ

 

1人が洗っている間、もう1人の人は使わない缶を潰しています。大規模の現場だと、缶潰しは最終日付近で一気にやることが多いです。

使わなくなった缶を潰す

 

缶潰しが終わった後の様子です。ひとまとめにされたことで、散らかっている印象はあまり感じないのではないでしょうか?

ウレタンの2層目が終わったので、再度1日開けての作業となります。次回はウレタン防水の仕上げであるトップコートの塗布の作業です。

潰され、ひとまとめにされた缶

 

【すべての工程の説明をした完工後までのページはこちらにあります。一気に見たい方はどうぞご覧ください。】

雨漏りしていた屋上がウレタン防水で雨水をはじく完全防水の屋上へ

 

防水材サラセーヌの平場用と立ち上がり用でウレタンの一層目

By ウレタン, 屋上防水

先日の防水工事の後、出来上がったトップライトの枠が設置しました。

今日はこの枠周りの防水と、土間のウレタン1層目がメインの施工となります。

新たに設置されたトップライトの枠

 

新たに設置された枠の下の箇所に隙間があるため、ここにシールを打ち込む必要があるためネジと金物を一旦取り外しておきます。

ウレタン防水施工のため、ネジと金物を一旦外す

 

枠とアルミ笠木下の立ち上がりには立ち上がり用のウレタンを使用します。仕様する材料はサラセーヌのものです。いつもは写真に写っている、丸いフタを開けて必要な量を分けていますが、残りの量が少ないため缶を切っています。

実際に使用するサラセーヌの立ち上がり用ウレタン

 

サラセーヌの平場材です。こちらは土間などに使うウレタンとなります。立ち上がり材に平場材を混ぜて使うことで、小手や刷毛のムラを消すことができるため、今回はブレンドした材料を使用しました。

「平場材」と呼ばれているサラセーヌのウレタン

 

実際に材料を合わせているところです。
主剤と呼ばれる材料は、お菓子の水飴と同じで温めると柔らかく、冷やすと硬くなります。この日はまだ2月下旬ということもあり外は寒く、主剤がとても硬く合わせるのにも時間がかかりました。

因みに見た目も水飴に似ていることから、職人たちはこれを「アメ」と呼んでいます。

攪拌する前の立ち上がり用ウレタン

 

実際に立ち上がり材を合わせ、攪拌する前のものです。
立ち上がり材に平場材を加えたものです。

立ち上がり材に平場材を合わせたもの

 

ブレンドした材料を実際に攪拌しているところです。周りにまだアメが残っているので、これがなくなるまで攪拌します。

 

枠が1つしかなく、あまり大きくないのでスケールを使わず、枠の幅に合わせてメッシュを裁断していきます。枠の幅に対し、両端共に5㎝以上余らせるように切っています。

メッシュの寸法切り

 

4面すべてにメッシュを貼り付けた後の写真です。ゴムベラを使い仕上げています。これを硬化させた後、さらにウレタンを2回塗り込みます。

メッシュ貼りが終わった枠

 

 

笠木下の立ち上がり1層目です。幅がとても狭く、ゴムベラが入らないため刷毛を使いウレタンを塗っています。

立ち上がりウレタン1層

 

立ち上がり1層と同時に、シートの端末メッシュ処理もしておきます。メッシュを押えるのにゴムベラを使いました。

端末メッシュ処理

 

寒さのせいでアメが硬いので、枠や立ち上がりのウレタン作業をしている間に平場のアメ缶を太陽の日に当てておき、平場材を合わせやすくしています。

太陽の熱でアメを温めておく

 

本来であれば、写真の立ち下がったところにガムテープを貼り、ウレタンが樋に流れないように防波堤を作るやり方が一般的です。
しかしこの現場は立ち下がったところにもウレタンを入れておく必要があるため、予め樋付近の土間にブレンドした材料を塗って厚みをつけておくやり方にしました。
こうすることで樋付近に規定量の平場材の塗布をしなくても良いようにしておき、樋にウレタンが流れてしまうことを防いでいます。

雨どい側にもブレンドした材料を塗っておく

 

ウレタン1層目です。樋付近はローラーを使い、少し離れたところから小手を使うようにすることで樋にウレタンが流れるのを防ぎつつ、しっかりウレタンの厚みが付くように作業しています。立ち上がりとトップライトの枠には立ち上がり材と平場材のブレンドしたウレタンを使いましたが、土間の1層目は平場材であるサラセーヌKのみのものです。

サラセーヌK 1層目塗布

 

流したウレタンを踏まないように作業し、最後はアルミ笠木の上に乗り仕上げました。

 

ウレタンを流し終わった後は、使用した缶を潰して終了です。

これはネタ場のスペースが取れなかったための処置で、広さがある場合は後日に行うことが多いです。
今日の作業はここまでとなります。まだ寒く、ウレタンの硬化に時間がかかるため、次は1日開けて2層目の作業となります。

 

【すべての工程の説明をした完工後までのページはこちらにあります。一気に見たい方はどうぞご覧ください。】

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