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屋上防水

雨漏りを止める 仕上がりから逆算した防水工事

By ウレタン, 屋上防水, 長尺シート, 防水担当の日誌

通常防水工事のブログというと、「どのようにして工事をするか…」 という工事内容についてお話をするのですが、今回は少し視点を変えて工事後の結果から考えた工事についてご説明いたします。

防水工事について

通常、業者が防水工事をご依頼頂いた際には、現場調査をして、その建物に合った防水工事を行い、手順に従って塗布防水の場合、材料を積層し、最後に仕上げ作業をします。
しかし防水工事は、工事を終えた後のことをしっかりとイメージしてから行わないと、ひどい状況をまねく場合があるのです。

 

防水工事をすると、加工した床は雨水をはじくことができます、しかし勾配のつけ方次第で水の逃げ場が無くなり、防水してあるからこそ床に水たまりができてしまうことがあります。
溜まった水は、そのうち防水塗装の効果を弱め、劣化した箇所から壁の内側や床の内部に入り混み、土台を腐蝕させていくことも。
そうならないために、あらゆる結果を想定して、防水工事を行う必要があります。

 

〔関連記事:こちらの現場の工事内容〕

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

予測を立てて行う防水工事とは

防水工事は、逆算して考えることが大切です。
水の流れを把握し、床の勾配や、ちょっとした数ミリの段差なども計算に入れます。
しかしこの計算は、ベースになる教本的なものがあるわけではないため、職人の現場経験だけが頼りです。

弊社の防水チームには、僕と同じ名字の松尾という職人がいます。彼は防水チームのエキスパートですので、こちらのお宅の防水工事についていろいろな意見を出し合ってどのように工事を進めるか相談をしました。
僕と彼の経験値をすりあわせることで、今回の防水工事の仕上がり予想を立てたのです。

この建物では、階段部分は、防水塗装とタキステップ(階段用長尺シート)を採用し、そして2階部分(陸屋根)の防水工事としては、いわゆるQV工法と呼ばれる防水工事と長尺シートを併用することになりました。
それでは、どのような対策を採ったか工事内容について詳しく見て行きましょう。

 

階段の防水工事

階段は鉄骨階段の上にモルタルを施してあるタイプで、劣化したモルタルの隙間から雨水が入り混み階段下への雨漏りを引き起こしていました。


そのため、雨漏りを止める為に防水塗装をして、その上にタキステップを貼り込むことに。


本来であれば、階段全体にタキステップを貼り込めば防水効果も期待できるため、防水塗装まではやりません。
しかし今回は、階段の全面にタキステップを貼り込むことはせず、あえて脇をあけて貼り込むことにしました。

 

なぜなら、この階段は雨ざらしなので必ず雨水が階段に溜まります。その雨水を逃がすためにも、シートとモルタル面のわずかな段差を作り、水が階段脇へと流れるようにしたかったのです。
そうすることで、階段に水が溜まることを防ぎます。
またさらにこの簡易側溝は、他にも期待できる効果がありました。

それについては、床面の防水工事の説明にて後述致します。

〔関連記事:こちらの現場の外壁の防水工事〕

外壁タイルの防水クリヤー仕上げ材を塗るプラス面とマイナス面

 

床面の防水工事

次は、2階部分の床面防水塗装についてです。
通常のQV工法で床面を防水塗装し、さらにお客様のご希望で階段から家の玄関前までレッドカーペットのように長尺シートを敷くことになりましたので、こちらも結果を予想していろいろと工夫しました。
まずQV工法は、QVシートと呼ばれる緑色のシートを防水塗装の前に床面へ貼ります。

 

なぜこの緑のシートを敷くかと言うと、防水層と建物の間に入れることで、建物が動いた際に防水面が引っ張られ切れてしまうことを防ぐためです。(通常効果は別途)

コンクリートの建物などは、地震や寒暖差による収縮や膨脹によって動きがでるため、屋上などの防水の場合、何も対策をせずに工事を行うと、建物が動いた際に塗装面が引っ張られ、表面が切れてしまうことが。

 

そうならないために、建物と防水面を絶縁します。

上から防水材を流し込み、完成です。


さらにこのQVシートは面貼りではなく点貼りとなっているため、防水層の中に入り込んだ水や湿気などを隙間から逃がすことが可能です。防水面の内部に水分が溜まることを防ぎます。
ここまでは、普通の屋上の床面防水工事についてです。
防水工事の看板を掲げているところなら、どの業者もやっているでしょう。

しかし、この防水面の上に長尺シートを貼る場合は、少し工事方法が変わります。
というのは、長尺シートは先ほどの階段部分でタキステップと同様で、防水面のわずかな段差がでるからです。通常防水工事をした際には、床面にゆるやかな勾配をつけて水の流れを作ります。


しかし長尺シートを貼り込むと、水の流れをせき止めてしまうことになるのです。ほんの数ミリのわずかな段差ですが、ここに水が溜まりやすくなります。
また、今回のお宅では最初の下地調整の際に下地職人から床面のわずかな勾配についても報告を受けました。
そこで、それらを加味して防水職人の松尾と相談をしながら、この長尺シートの間に隙間を作り簡易側溝とすることにしたのです。

とはいえ、お客様としてはレッドカーペットのような状態で家までに敷き詰めたいという希望もありましたので、そこはご相談を。
あまりにも側溝の本数が多いのも嫌だけど、水が溜まってしまうのも嫌なので、ぎりぎりの本数で水を逃がすのであればOKと…話し合いの末に合意を頂きました。
結果、先日の大雨の際に2階部分の長尺シートの段差から水を排出し、見事上記の階段を防水工事する際に作っておいた簡易側溝を通して水を逃がすことができたのです。
本当に工夫したことがすべて上手くいって、非常によい仕上がりとなりました。

お客様へのリスク管理

今回のお客様宅の防水工事は、選んだ対策がたまたま上手くはまりましたが、あくまでもこれは運が良かっただけだったと思います。他の現場の場合、実際工事をしてみても見つけられなかった勾配などがあって、うまく水が逃げないこともありました。

僕は、必ずこうした難しい工事をする際に、予測される工事後の良い面も悪い面もすべて話します。
あまりにも「できないかもしれないこと」などをはっきりといいますので、まれにではありますが、「なぜそんなにネガティブなことばかりいうのですか?」とお客様から言われることも…。
しかし、ネガティブなことを言いたいわけでは無く、あくまでもリスク管理の一貫なのです。
どんな塗装工事にもリスクはあります。
それを隠して工事をすることは、お客様に対して不誠実であると僕は思うのです。

家というのは、さまざまな材料がかけ合わさって建てられているため、工事方法に正解というものはありません。
何かをおさめるためには、引き受けなければならないリスクを伴うのです。
雨漏りに関しても、僕はほとんどの場合「止まらないかもしれません」とお伝えします。
なぜなら雨漏りというのは、原因が多数あり本当に難しい補修工事だからです。
しかし、お客様に「止まらないかも」とお伝えしながらも、僕の心の中では「絶対止めてやる」と決意を固めています。
しかし、それを口には出せません。
自分の仕事に責任を持っているからこそ、100%確実なことしか言えないのです。

たかが水たまり、されど水たまり

今回の工事は、長尺シートと防水塗装のハイブリッド工事でしたが、無事水を散らすことができ雨漏りから家を守ることができました。
長尺シートに溝を作り、壁際に逃げた水をさらに階段へと流したことで、予測通りに水の排出ができたのです。下記が実際に簡易側溝を水が流れる様子となります。

本当に上手くいってくれたので、ホッとしました。

長尺シートの上に溜まった水は、そのうちシートの中に浸透します。
それでは、せっかく貼ったシートが無駄になるどころか、シートで覆ってあることでさらに水の逃げ場がなくなり、より内部を腐らせるなどして雨漏りを加速させるでしょう。
だから複雑な工事こそ、工事後を見据えたいわゆる工事の逆算が必要となるのです。

〔関連動画:こちらの現場の工事後の様子〕

実は、今回の防水工事後…僕は何度か現場に足を運びました。
自分の仕事にきちんと向き合うために、しっかりと結果を受け止めたかったのです。


奇跡的にうまくいきましたが、ほとんどの場合は上手くいかず何度もトライアンドエラーの繰り返しになることも。
防水工事は材料だけ揃えて、ただ貼り込んだり塗ったりすれば雨漏りを止めることになるわけではありません。
家の状態や、形状、環境あらゆることを踏まえて、工事後の状況を予測することで初めて、お客様が望む『雨漏りを止める』という防水工事ができるのです。

防水工事を依頼する際には、さまざまな状況を予測した上で工事をする業者を選びましょう。
逆算から導き出す工事こそ、理想的な防水工事といえるのです。

〔関連動画:雨漏りの悩みから解放された3度目の屋上防水〕

 

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

By ウレタン, 屋上防水, 長尺シート, 防水担当の日誌

これまでのブログでは、塗装や防水工事などそれぞれに特化してご紹介をして参りました。
普通の一軒家では、予算的にも工期的にも同時に複数の工事をすることが難しいものです。

しかし今回のお宅は、通常の一軒家とは違い、店舗の上が陸屋根となっており、さらにその陸屋根の家にオーナー様の家が建っているお宅でした。

そのため、様々な工法が必要となり、チーム塗装職人の技術と知恵をフルで注ぎ込む工事となったのです。
こちらの工事に関しては、何回かに分けてブログに書きたいと思います。

本日は、導入編です。
まずは、お客様宅の工事内容についてご紹介致します。

店舗と住宅 大改修工事その内容

お客様のご自宅は、先ほども少し書きましたように、1階部分に店舗があり、その店舗の上は陸屋根。そしてその陸屋根の上に中二階のある平屋が建っている建物となります。
今回はお客様から大規模改修のご依頼がありまして、工事をすることになりました。

まずは1階部分です。
足場については、店舗の営業の妨げにならぬよう組みました。
『営業中』と書いたシートも大きくかかげ、さらには駐車場部分にはコーンを置きます。
これは、万が一車止めぎりぎりまで駐車してしまうと、車と足場が接触してしまう恐れがあるからです。

 

 

店舗はALC構造となっており、店舗の周りを覆うタイルにところどころ滑落やヒビが見受けられるため、補修してセブンSSというタイルに対する外壁防水化粧材を使います。

また店舗の裏は、今回の改修の際にウッド調で統一をするため、茶色に塗装することとなりました。

〔参考ページ:外壁タイル補修〕

外壁タイル補修

さらに陸屋根部分は、ウレタン塗膜防水をおこないます。
陸屋根は、排水口を屋根に穴を開けて下まで通してあるため、工事の際には注意が必要です。

というのも、昨今ではゲリラ豪雨などが多くなり、陸屋根が設計された当時に予想されていた雨量を遙かに超える日があるので、工事する際にそうしたことも計算する必要があります。

そもそも陸屋根というのは、トラブルの多い屋根です。
通常は勾配をつけた三角屋根などが主流ですが、三角屋根は陸屋根と同じように傷んで穴があいたとしても勾配があるため多少被害の広がりが遅くなります。
(とはいっても三角屋根の場合でも、水の巻き上げなどもあるので必ず三角屋根がベストか…と言われると言い切れない部分もあるのですが…。)

陸屋根は『水が溜まりやすい』という特徴から、再塗装する際には十分に注意して工事する必要があります。

〔関連ページ:ウレタン防水〕

ウレタン

次に2階部分と階段についてです。
2階部分は、まず腰壁の内壁を全てウッド調にすることになりました。

さらに、屋根がいわゆるコロニアル屋根等のノンアスベストタイプで、屋根自体がもろくなってしまったため、ジンカリウム鋼板にてカバー工法をすることに。

さらに、陸屋根部分のウレタン防水をした上に2階入り口から家の入り口までレッドカーペットのように長尺シートを貼ることになりました。

それと同じく、鉄階段部分も塗装をし、タキステップ(長尺シートの階段版)を貼り込みます。

〔関連ブログ:外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方〕

外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方

家の外壁はタイル柄ですので、タイル調に塗り分けるために多彩色カラーを使用し、これによって壁にタイルらしい風格を出すのです。

 

家に合った材料選びをするために

工事内容というのは、建物を見てパソコンに情報と数値入力をすればすぐに出てくるものではありません。
これらの工事内容を決めるためには、綿密な打ち合わせが必要なのです。

まずは、材料選びについてお話し致します。
現在、建築材料というのは環境対応型の材料などがどんどん発売され、家に合った材料を選ぶことは非常に難しいものです。

そして、新製品が発売されると多くの方がそれに飛びつき利用しようとしますが、僕としては「ちょっと待った」と思ってしまいます。
というのも、どんな新商品もそうですが、最初は商品の良い面だけを前面に出して販売され、悪い面は使ってから数年後に分かるものだからです。

先日も、とある塗料で発がん性物質が入っていた塗料が、発がん性物質を抜きリニューアルして発売されました。しかし以前の塗料は、塗装後建物の美観を保つことができたのですが、発がん性物質を取り除かれた塗料では、塗装しても建物の美観が保てなくなっていました。
たしかに健康面としては良いのですが、家としては持ちが悪くなってしまったのです。

その他にも、今多くの家で問題になっているノンアスベストの屋根材は、アスベストが使用禁止になったことで発売されましたが、強度が弱く補修さえ出来ない状態の屋根となっています。
ノンアスベストの屋根材を使用した家々は、数年で屋根が補修工事もできないほどひどい状態になってしまうことは予想もしなかったでしょう。

そのため、僕は材料選びをする際に材料の業者や商社などに徹底的に確認を入れ、現場で材料を扱っている職人の意見なども吸い上げながら材料を決めるのです。
今回も多くの塗料や防水剤は数々の確認をし、お客様と何度もお打ち合わせした上で決定しました。

 

家に合った工事の進め方を決める

次に、工程の相談です。

今回も一つの現場に多くの専門職人が入ります。

足場、塗装、防水、シーリング、大工、板金など、数多くの職人が入るからこそ、順番が大事です。
工事する内容によって、順番は変わりますので職長会議も必須となります。

何が先で、何を後にするかによって、仕上がりが大きく変わる場合も。
調べ抜いた材料を理想の仕上がりにするために、営業である僕と職人達で意見しながら、より良い工程を模索します。
ここをいい加減にしてしまうと、欠陥工事となってしまうのです。

〔関連動画:駅前の営業中テナントビルの大規模改修工事 足場・補修・防水・塗装 全行程〕

正直、外壁塗装の世界は矛盾だらけで、マニュアル通りにいくものは一つもありません。
そのため、現場の責任者にも多くの知識が必要となるのです。

僕には、材料や塗装、防水のそれぞれの部署に信頼できる担当者がいますので、今回のような工事を組むことができます。
毎日、それぞれに材料のことや技術のことを質問し、答え合わせをし、お客様に最適な材料と工事方法をご提案できるようにしているのです。

たまに、「見積もりを1週間くらいで下さい」と言われることがあります。
僕からしますと、これは不可能です。
補修や塗装する箇所について徹底的に調べ、あまたの材料の中から最適な材料を割り出し、さらにそれらの材料や工法がそれぞれの箇所に緩衝しないかを確認し、期間や必要な職人のスケジュールを確認する。

これだけのことを盛り込んだのが、弊社の見積書なのです。

お客様の理想の塗装工事をするために僕は、工事がはじまると毎回ドキドキします。
四六時中現場のことを考え、お客様にとってベストな方法はないかと模索しているからです。

幸運なことに、僕は会社や職人を始めとして、材料の商社など周りの人々に恵まれているため、このベストな方法を実現させることができます。
塗装工事で大事なことは、リスク管理です。

材料や工事の内容の悪い点が、後出しにならないように細心の注意を払いながら工事内容を煮詰めます。
今回の大改修工事では、新商品は屋根以外使っていません。
屋根材にだけ比較的新しめなジンカリウム鋼板を使いましたが、こちらの材料は大手商社が社運をかけて作っている肝煎りの建材です。そうした裏取りをしっかりとした上で、材料のラインナップをしています。

〔関連動画:ジンカリウム鋼板で屋根の葺き替え〕

次回からは、それぞれの工事内容について詳細をご紹介できればと思いますので、ご期待下さい。

バルコニー防水の仕上げはトップコート材にチップを入れて滑り止め

By ウレタン, ベランダ

最終日になりました。今日はウレタン防水最後の仕上げ作業となります。硬化させたウレタンにトップコートを塗り、何か問題があれば手直しをしてそれで終わりです。このトップコートはウレタンを紫外線から守る効果があるため、ウレタンの早期劣化を防げるというメリットがあります。

折角防水工事をしてもすぐにウレタンが劣化してしまっては元も子もないので、2層流した後には絶対に塗りたいですね。実際に使うトップコート、サラセーヌTです。これも他の材料と同様、2液となっています。

ウレタン保護剤であるトップコート サラセーヌT

 

サラセーヌTはウレタンのように厚みを付ける材料ではないため、ウレタンの様にそこまでの量は必要ありません。なので今日もシール材の缶を洗った物を容器にして塗り込んでいきます。また、ウレタンと違い撹拌機を使わないと満足に攪拌できない材料でもないため、少量作る際は撹拌機ではなく刷毛やローラーなどで攪拌します。

攪拌前のサラセーヌT

 

サラセーヌTを作ったら、硬化させたウレタンに塗っていきます。もちろんここもダメ込みから始めていきます。

サラセーヌTのダメ込み

 

このままローラーで残りの箇所を全部塗ってしまいたいところですが、ここはバルコニーです。サラセーヌTは硬化させるとツルツルとした感触になり、人がその上を歩けば足を滑らせることになってしまいます。そのため、足を滑らせないようにするためにする必要があります。

そこで使われているのがこちら。「チップ」と呼ばれている粉です。これをサラセーヌTに入れる事で、硬化させた後にザラついた仕上がりにすることができます。その表面のザラつきが滑り止めになり、人が安心して歩けるようになります。

滑り止めの役割をする「チップ」

 

チップはそんなに大量に入れる必要はありません。少し入れれば十分効果を発揮させることができますが、粉状の物のため、一度に大量に入れるとダマになってしまいます。なので少しずつ入れて、しっかりと攪拌しダマにならないように注意する必要があります。

写真は実際にチップを入れているところです。一度に大量に入れるのではなく、少しずつ入れています。

チップを入れ、滑り止め効果のあるサラセーヌTを作りそれを土間に塗る

 

サラセーヌTはウレタンのように大量に流すものではありません。ウレタンの時は、バルコニーに勾配がつけられ撒いたウレタンが流れ、足で踏んでしまう可能性がありました。トップコートはどのメーカーのものでも流さずに塗るものなので、トップコートの塗り込みは最初にダメ込みをすべて終わらせた後、ローラーを転がして仕上げました。

土間にチップ入りのサラセーヌTを塗り仕上げていく

 

最後はウレタンの時と同じように、塗ったトップコートを踏まないよう手すりの上からの作業となります。

塗ったサラセーヌTに足跡をつけないように、手すりの上から作業をして仕上げる

 

サラセーヌTを塗り終わった後の写真です。足跡もなく、キレイに仕上げられているのではないでしょうか。この後、硬化させてからバルコニーにあった荷物などを元に戻してウレタン防水工事は完了となります。

トップコート塗布 完了

 

この日もシール打ち替えと同時進行でした。シールも終盤だったこともあり、ネタ場から必要最低限の道具や材料だけ残し、他のものは片づけてあります。こうすることで、作業が終わった後、速やかに片づけて帰れるようにしています。

不要な物を下げ、速やかに撤収できるようにしておく

 

残りの作業も終わり、改修工事は終了です。車に入りきらなかった荷物や道具は、ブルーシートで覆い、邪魔にならないように片づけています。残った荷物は後日に引き下げます。これらが済んだ後に、足場の解体を行い改修工事は終了です。

作業面積が狭いバルコニーのウレタン防水作業

By ウレタン, シーリング(コーキング), ベランダ

今日もシールの打ち替え工事と平行しながらバルコニーの防水工事を行っていきます。最近は気温も高くなったお陰で、流したウレタンも1日でちゃんと硬化してくれていました。

2層目のウレタンを施工する前のバルコニーです。今日はここに2層目のウレタンを入れていきます。

1層目のウレタンを完全に硬化させ、2層目を入れる前のバルコニー

 

昨日は一斗缶でウレタンを合わせ攪拌して使いましたがバルコニーはあまり広くなく、流す量も少ないため今日は丸缶に材料を合わせ攪拌して使うようにしました。使用するウレタンの量だけでなく、一斗缶を持って足場を移動するのはそれなりの労力となるため丸缶の方が良いと判断したためです。実際に使用した丸缶です。

これは前日平行して作業していたシール打ち替えで使うシール材が入っていた缶です。前日の内にキレイに洗って保存していたものを使用します。

洗って保存しておいたシール缶。適度な大きさのため様々な用途がある

 

ウレタン防水工事はウレタンを流すまでが手間で、一度ウレタンを流してしまえばそこからの作業の進捗が早く、手間もあまりかかるものではありません。そのため前日にウレタンの1層目まで済ませてあるので、この日の現場はシールの打ち替えがメインとなりました。

翌日までにウレタンを硬化させるため、朝一で2層目を流したらシールをメインに作業を進めていきます。

天井にシールをする職人の技能士

シール材を養生したパネル目地に充填していく

 

因みにこちらがシール材を攪拌する機械です。ミキスタと呼ばれる機械で、シール材を攪拌するのに使用されます。この機械はシール打ち替えだけでなく、ウレタン防水の土間目地など、シールを打つ必要がある時に使われています。

シール撹拌機のミキスタ 材料を混合しセットすれば自動で攪拌してくれる

 

屋上の時のように1人作業ではなく、今回は作業人数を増やしたためウレタン防水の工程を進める人が1人、残りの人員はシールと振り分けての作業です。先日同様、サラセーヌKを比率通りに合わせたら撹拌機を使い材料を混ぜ合わせていきます。

撹拌機は結構パワーがあるため、攪拌の際は両足で固定しながら混ぜ合わせています。こうして固定しておかないと、缶ごと回ってしまったり、最悪缶が倒れ材料を飛散させてしまうことになるので必ず固定させて攪拌しています。ウレタンを作ったら早速2層目のウレタンを流していきます。1層目と同じように、まずは周囲のダメ込みからの作業となります。

仕上がった塗装壁の際のダメ込み

 

壁側だけでなく、アルミ笠木の下にも刷毛でダメ込みを入れておきます。アルミ笠木の下の立ち上がりはとても背が低いため、ゴムベラや小手を使って立ち上がり材を使っての作業ができないため、ダメ込みと同時に立ち上がりにもウレタンを塗り込んでいます。

ゴムベラや小手の入らない場所は刷毛を使いウレタンを塗布する

 

作業スペースが少ないため、全体のダメ込みの後に流す方法は取りませんでした。ダメ込んだウレタンを踏んでしまう可能性があるため、少しダメ込みを入れた後にウレタンを土間に流す…先日と同じやり方で仕上げていきました。

流したウレタンを踏まないよう、少しずつ作業を進める

 

 

【こちらはモルタル露出面からウレタンにて防水した時の工事事例です】

モルタルむき出しからのバルコニーウレタン防水工事

 

ウレタンを流す作業は最終的に足の踏み場が無くなってしまうため、最後は流したウレタンを踏まずに作業できる場所を探しておくことも大切なことです。このバルコニーでは周りにフェンスがあり、足をかけられるため1層目、2層目共に最後はフェンスに乗って仕上げました。

足の踏み場が無くなるため、逃げる場所を作っておくのも重要

 

予め足の踏み場が無くならないよう、逃げ道を作って作業したおかげで流したウレタンに足跡が残ることなく仕上げることができました。これでウレタン2層目は完了となります。後は前日同様ウレタンを硬化させるだけです。明日、最後の仕上げの作業をしてバルコニーの防水工事は完了となります。

ウレタン2層目 塗布完了

モルタル下地面からのバルコニーウレタン防水

By ウレタン, ベランダ, 下地補修

一般的な改修工事では、塗装と防水、二つの業者が同時に作業を行うことはありません。防水工事が終わったら塗装、もしくは塗装が終わったら防水とどちらか1つ終わらせた後に作業をするのが一般的な改修工事の流れです。

世田谷の改修工事の続きです。外壁塗装が終わったので、バルコニーのウレタン防水工事と建物正面のパネル面のシールの打ち替え工事を始めていきます。

ウレタン防水工事をする前のバルコニー

 

まずはケレン作業からです。ケレンとはキレイな被装面を作る作業のこと。防水工事では皮すきという道具、もしくはスクレーパーを使うことが多いです。

「皮すき」。ケレンだけでなく様々な場面で使われる万能道具

 

 

被装面というと、難しい作業のように感じるかもしれませんが、あまり難しいものではありません。皮すきでバルコニーの土間など、ウレタンを塗布する箇所の突起物やザラつきを削ればいいだけです。実際にケレンしている動画になります。ケレンが終わったらバルコニー内全体を掃除し、ゴミや埃を取り除いていきます。

今回はブロアーでゴミを寄せた後、ホウキを使いました。ケレン・清掃が終わったらプライマーを塗っていきます。使うのはサラセーヌのPです。

ウレタン防水で使用するプライマー「サラセーヌP」

 

屋上の防水工事と同様、狭いところや仕上がった塗装付近などのダメ込みをしていきます。ローラーではどうしても壁の仕上げられた塗装に触れてしまうため、あえて刷毛を使っています。

刷毛を使用したサラセーヌPのダメ込み

 

全体のダメ込みが終わったら、今度はローラーを使い土間全体にサラセーヌPを塗り込んでいきます。ローラーを勢いよく転がすと材料が飛散してしまい、周りを汚してしまうので静かに転がして塗っていきます。

土間にはローラーを使いサラセーヌPを塗り込んでいく

 

次はウレタンの1層目を流していきます。今回も使うのはサラセーヌKです。

平場用ウレタン「サラセーヌK」

 

二つの材料を合わせて攪拌します。ウレタンを攪拌する前に、缶の内側についている硬化剤をシンナーで洗い流しておきます。あまり意味のないことのように感じるかもしれませんが、これをしておかないとウレタンの硬化不良が起きやすくなってしまうため洗浄は必要な作業です。

缶内側の材料をシンナーで洗浄し硬化不良を防ぐ

 

材料の攪拌が終わったらバルコニーにウレタンを流していきます。狭く作業しづらいため、今回はローラーと刷毛を使い仕上げていきます。

サラセーヌKを使ったバルコニーのウレタン1層目

 

流したウレタンを踏んでしまわないよう、ダメ込みをしながらウレタンを流していきます。

刷毛を使ったダメ込み

 

バルコニーにウレタンを流した後の様子です。硬化させた後、もう1度ウレタンを流します。

ウレタン1層目完了

 

バルコニーが1つあるため、これらの作業を繰り返して同じように仕上げていきます。まずは皮すきでケレンし…

ケレン作業

 

掃除し埃を取り除きます。

清掃

 

プライマーをダメ込んで…

プライマーダメ込み

 

ローラーで全体を塗り込む。

プライマー塗布

 

そしてプライマーを乾燥させた後、ウレタンを流す。これがウレタン防水工事の一連の流れとなります。屋上では通気緩衝のためにシートを貼ったり、メッシュクロスを貼る作業もありましたが、掃除した後にプライマーを入れてウレタン、これが基本的な流れです。

2階バルコニーのウレタン防水工事

 

この日はシールの打ち替えと平行し作業していました。バルコニーのプライマーを乾燥させている間にシール工事、乾燥したらウレタン防水、といった具合に作業を進めたため、ウレタンの1層目が終わった頃にはキリの良い時間となっていました。写真は劣化した既存シールの撤去のものです。

撹拌機をシンナーで洗浄しているところの写真です。洗い終わった後、ネタ場を片づけてこの日の作業は終了となりました。

 

ウレタン防水・施工後

ウレタン屋上防水の最終工程はトップコートで完成

By ウレタン

2層目のウレタンを流し、再び1日開けての作業となります。
今日はウレタン防水最後の工程であるトップコートを塗る作業となります。
トップコートを塗る前の屋上の様子です。
本日の世田谷も晴天です。
1層目のウレタン同様、1日置いたことで2層目のウレタンもしっかりと硬化していました。

トップコート塗布 施工前

トップコート塗布 施工前

 

1層目のウレタンを流した時と同じように、まずは速乾性に優れたオートンのクイックを使いウレタンの補修から行っていきます。

写真に写っているのは、トップライトの止め金具の上からシール材を充填した時のものです。少し分かりづらいですが、止め金物のネジの頭がうっすらと見えている状況です。

このような出っ張りがある箇所はウレタンの傷が付きやすく、ウレタンそのものが破れたり千切れたりすることがあるので、シール材でさらに厚みを付けて補強する必要があります。

ウレタン補修

ウレタン補修

 

一通り見て回り、補修を済ませたらトップコートを塗り込んでいきます。

写真に写っているのは実際に使用したトップコートです。サラセーヌのTと呼ばれる材料です。サラセーヌのトップコートには、他にサラセーヌTフッ素と呼ばれる材料もありますが、今回はこちらの材料を使用します。

これも立ち上がり材や、サラセーヌKと同様、2液性の材料のため合わせて攪拌する必要があります。

今回使用するサラセーヌのトップコート「サラセーヌT」

今回使用するサラセーヌのトップコート「サラセーヌT」

 

本来であれば、計りを使い決められた比率で必要な量のトップコートを作りますが、今回は材料すべて使い切っても足りないと分かっているため、缶を切って1缶丸ごと合わせています。

切った缶同士を重ねて材料を合わせる

切った缶同士を重ねて材料を合わせる

 

合わせた材料を攪拌します。

トップコートはとても揮発の早い材料です。ウレタンのようにガチガチに硬化してしまうということはありませんが、あまり時間を置くと表面に膜を張ってしまうこともあります。

今は冬の時期なのでそこまで極端に早く膜ができることはありませんが、なるべく早く使い切る方が良いです。

ウレタン材料の攪拌

ウレタン材料の攪拌

 

トップコートもこれまでと同様、まずは大きなローラーが入らないような細かいところから塗っていきます。この作業のことをダメ込みといいます。

まずはトップライトの枠から、刷毛とローラーを使い作業していきます。これが終わったら周囲の立ち上がりのダメ込みです。

トップライト枠 サラセーヌT塗布

トップライト枠 サラセーヌT塗布

 

パラペット付近アルミ笠木と土間の間隔が狭いため刷毛のみで仕上げています。ここの立ち上がりのトップコートはダメ込みがそのまま仕上げとなります。

立ち上がり サラセーヌT塗布

立ち上がり サラセーヌT塗布

 

立ち上がりにサラセーヌTを入れたら、土間にもローラー一本分ダメ込みを入れておきます。ローラーを勢いよく転がすとトップコートが飛散してしまうため、静かに転がします。

土間 トップコートダメ込み

土間 トップコートダメ込み

 

周囲の立ち上がりと土間のダメ込みが終わったら本格的に土間へサラセーヌTを塗っていきます。

トップコートを塗る際、あると便利な道具がこちらの2点です。棒のものは「長柄」という道具で、もう一つは台車です。

長柄は先端にローラーを取り付けられるように作られているため、これがあると腰を曲げてローラーを転がす必要がなくなります。
台車は材料の入った缶を乗せておけば、缶を手に持って作業しなくて良くなるためあると便利です。

土間のトップコート塗り込みであると便利な道具

土間のトップコート塗り込みであると便利な道具

 

長柄と台車を実際に使いながら作業している様子です。屈むことなく作業できるため、ウレタンを流すのに比べると労力が格段に減ります。

また、ローラーはプライマーを塗った時のものよりも大きなものを使っています。ローラーの玉が大きければ、それだけ塗れる面積も大きくなるのでこちらも労力を半減させることができます。

動画で見て分かる通り、土間にサラセーヌTを塗っているところですが一定の間隔で同じ方向にローラーを転がして塗っていきます。
こうすることでキレイに仕上げることができます。

 

最後はこれまでと同様、踏んでしまわないよう笠木に乗って仕上げます。

トップを全面に塗ればウレタン防水工事は完了です。

ウレタン防水・施工後

ウレタン防水・施工後

 

こちらはトップコートを塗布して後日、雨が降った後の世田谷ビジネススクエアを背にした屋上です。

 

逆側からみた屋上。

 

防水工事前はこのような状態でした。

 

砂埃も加わってモルタル面がザラザラと荒れている状態でした。

 

下地からの湿気を逃がす脱気筒です。

 

平場と立ち上がりの笠木の隙間もきっちりウレタンで防水されています。

 

雨漏り原因の一つだったトップライト廻りも修復して仕上がりも良いと思います。

 

他に外壁タイルや塗装などもありますが、それはまた別にご報告いたします。

 

【すべての工程の説明をした完工後までのページはこちらにあります。一気に見たい方はどうぞご覧ください。】

雨漏りしていた屋上がウレタン防水で雨水をはじく完全防水の屋上へ

 

 

屋上ウレタン塗布の「流し手」と「ネタ屋」の防水職人の連携

By ウレタン, 屋上防水

本日も世田谷にある鉄筋コンクリート造建物の屋上防水の続きで、メインはウレタンの2層目となります。

寒さが続き、ウレタンの硬化が悪いため1日開けてからの施工となります。

1日開けたことで無事にウレタンも硬化していました。今日は屋上全体にウレタン2層目を入れる作業となります。

まずは補修作業からとなります。これは硬化したウレタンにゴミが埋まっていたりするものを、予めそれを取り除き速乾性のシールで埋めるといった作業になります。

今回も時間短縮のため、オートンのクイックを使いました。

オートンのクイックを使ったウレタン補修

 

まずは枠と周囲の立ち上がりのウレタン2層目から塗布していきます。先日と同じように、ここは立ち上がり材とサラセーヌKをブレンドした材料を使用します。

立ち上がり、枠用に作ったブレンドしたウレタン

 

トップライトの枠にウレタンの2層目を入れます。この枠や、立ち上がりなど床に対して垂直になっている箇所では立ち上がり材、もしくは平場材をブレンドしたウレタンをゴムベラで仕上げるのが一般的です。

2層目を塗布したトップライトの枠

 

この現場の立ち上がりのように、幅の狭い箇所を仕上げる時には、ゴムベラを使うことができないため刷毛を使いウレタンを塗り込みます。

立ち上がり ウレタン2層目

 

防波堤となる養生は今日も使えないため、ウレタン1層目の時と同じように樋付近にブレンドしたウレタンを塗り付けていきます。

1層目も同じやり方ですが、樋の中にウレタンが流れ込んでいないことが写真からも分かります。

樋付近のウレタン塗布

 

今日は2人での作業です。1人が時計回りに、もう1人が半時計周りにと作業することで効率を上げています。

これは短時間で終わらせることができることが前提でのやり方となります。この現場以上に広い現場であれば、各自の作業より2人で作業した方が良い場合もあるので、その時の状況に合わせて作業することが大切です。

2人作業で効率アップ

 

両者がかち合い、樋付近のウレタン塗布が終わるところです。

大規模な現場だと、1人がウレタンを付け、もう一人が刷毛や小手を使い仕上げるというやり方の方が効率的ですが、現場によっては1人ずつ作業した方が早く終わります。

作業員が複数居る時は、その状況に合わせて作業

 

今日は2人作業なので、1人がウレタンを流しもう1人が材料の攪拌を担当することになりました。ウレタンを流す人を「流し手」といい、攪拌する人のことを「ネタ屋」と呼びます。

3人以上いる場合は「運び屋」と呼ばれる、攪拌した材料を流し手に運ぶ人もいますが、2人の場合だとネタ屋の人が運び屋をやることが多いです。

材料の攪拌

 

混ぜる前のサラセーヌKの写真です。既にアメと硬化剤が合わさった状態のものです。表面の水のようなものはシンナーです。シンナーでウレタンを希釈し、流しやすくしています。

攪拌前の平場材

 

平場材を攪拌しているところです。硬化不良が起きないようしっかりと攪拌します。

 

 

ネタ屋担当が新しい材料を運んできて、使い終わった缶を回収しているところです。缶の淵に付いたウレタンが垂れないよう、ゴムベラで削いでから運んでいきます。

ネタ屋が新しい材料を運ぶと同時に、使い終わった缶を回収

 

最後の缶を受け取ったネタ屋は、流し手が仕上げている間ネタ場の片づけをすることが多いです。これは撹拌機を洗浄しているところになります。

流し手が仕上げている間、ネタ屋は片づけに入る

 

作業が終わったら使っていた道具もシンナーで洗いキレイにします。これは小手を洗っているところになります。

作業終了後の片づけ

 

1人が洗っている間、もう1人の人は使わない缶を潰しています。大規模の現場だと、缶潰しは最終日付近で一気にやることが多いです。

使わなくなった缶を潰す

 

缶潰しが終わった後の様子です。ひとまとめにされたことで、散らかっている印象はあまり感じないのではないでしょうか?

ウレタンの2層目が終わったので、再度1日開けての作業となります。次回はウレタン防水の仕上げであるトップコートの塗布の作業です。

潰され、ひとまとめにされた缶

 

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防水材サラセーヌの平場用と立ち上がり用でウレタンの一層目

By ウレタン, 屋上防水

先日の防水工事の後、出来上がったトップライトの枠が設置しました。

今日はこの枠周りの防水と、土間のウレタン1層目がメインの施工となります。

新たに設置されたトップライトの枠

 

新たに設置された枠の下の箇所に隙間があるため、ここにシールを打ち込む必要があるためネジと金物を一旦取り外しておきます。

ウレタン防水施工のため、ネジと金物を一旦外す

 

枠とアルミ笠木下の立ち上がりには立ち上がり用のウレタンを使用します。仕様する材料はサラセーヌのものです。いつもは写真に写っている、丸いフタを開けて必要な量を分けていますが、残りの量が少ないため缶を切っています。

実際に使用するサラセーヌの立ち上がり用ウレタン

 

サラセーヌの平場材です。こちらは土間などに使うウレタンとなります。立ち上がり材に平場材を混ぜて使うことで、小手や刷毛のムラを消すことができるため、今回はブレンドした材料を使用しました。

「平場材」と呼ばれているサラセーヌのウレタン

 

実際に材料を合わせているところです。
主剤と呼ばれる材料は、お菓子の水飴と同じで温めると柔らかく、冷やすと硬くなります。この日はまだ2月下旬ということもあり外は寒く、主剤がとても硬く合わせるのにも時間がかかりました。

因みに見た目も水飴に似ていることから、職人たちはこれを「アメ」と呼んでいます。

攪拌する前の立ち上がり用ウレタン

 

実際に立ち上がり材を合わせ、攪拌する前のものです。
立ち上がり材に平場材を加えたものです。

立ち上がり材に平場材を合わせたもの

 

ブレンドした材料を実際に攪拌しているところです。周りにまだアメが残っているので、これがなくなるまで攪拌します。

 

枠が1つしかなく、あまり大きくないのでスケールを使わず、枠の幅に合わせてメッシュを裁断していきます。枠の幅に対し、両端共に5㎝以上余らせるように切っています。

メッシュの寸法切り

 

4面すべてにメッシュを貼り付けた後の写真です。ゴムベラを使い仕上げています。これを硬化させた後、さらにウレタンを2回塗り込みます。

メッシュ貼りが終わった枠

 

 

笠木下の立ち上がり1層目です。幅がとても狭く、ゴムベラが入らないため刷毛を使いウレタンを塗っています。

立ち上がりウレタン1層

 

立ち上がり1層と同時に、シートの端末メッシュ処理もしておきます。メッシュを押えるのにゴムベラを使いました。

端末メッシュ処理

 

寒さのせいでアメが硬いので、枠や立ち上がりのウレタン作業をしている間に平場のアメ缶を太陽の日に当てておき、平場材を合わせやすくしています。

太陽の熱でアメを温めておく

 

本来であれば、写真の立ち下がったところにガムテープを貼り、ウレタンが樋に流れないように防波堤を作るやり方が一般的です。
しかしこの現場は立ち下がったところにもウレタンを入れておく必要があるため、予め樋付近の土間にブレンドした材料を塗って厚みをつけておくやり方にしました。
こうすることで樋付近に規定量の平場材の塗布をしなくても良いようにしておき、樋にウレタンが流れてしまうことを防いでいます。

雨どい側にもブレンドした材料を塗っておく

 

ウレタン1層目です。樋付近はローラーを使い、少し離れたところから小手を使うようにすることで樋にウレタンが流れるのを防ぎつつ、しっかりウレタンの厚みが付くように作業しています。立ち上がりとトップライトの枠には立ち上がり材と平場材のブレンドしたウレタンを使いましたが、土間の1層目は平場材であるサラセーヌKのみのものです。

サラセーヌK 1層目塗布

 

流したウレタンを踏まないように作業し、最後はアルミ笠木の上に乗り仕上げました。

 

ウレタンを流し終わった後は、使用した缶を潰して終了です。

これはネタ場のスペースが取れなかったための処置で、広さがある場合は後日に行うことが多いです。
今日の作業はここまでとなります。まだ寒く、ウレタンの硬化に時間がかかるため、次は1日開けて2層目の作業となります。

 

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屋上トップライトのシールと通気緩衝のシート貼り

By ウレタン, 屋上防水

トップライトの枠が完成すれば窓に合わせて設置することになりますが、この枠の下にも防水処理をしておく必要があります。今日はその処理からの作業となります。

トップライトの枠をはめ込む前の処理

 

まずは前日に塗らなかった箇所へプライマーを塗っていきます。このプライマーはウレタンだけでなく、この後に貼る通気緩衝のシート、シール材の接着剤なので施工する箇所には一通り塗ることになります。この屋上だと周りのアルミ笠木、中央にあるトップライト以外のすべての箇所に塗ることになります。

前日通り道として塗らなかった箇所へのプライマー塗布

 

枠をはめ込む前に、トップライト周りの金物にシールを充填します。一見問題無いように見えますが、トップライトの周りには僅かな隙間があり、雨が降ると雨漏りするためシールで防水をしておく必要があります。

充填しているのはオートンのクイックシールという材料です。これは通常のシールと比べ、速乾性に優れたもの。シールの硬化の時間を短縮したい場合、この材料を使うことが多いです。

トップライト周りのシール充填

 

シール材は充填するだけでは効果はありません。金ベラなどを使い、シール材を均してやることで初めて防水効果を得ることができます。今回は金ベラにバックアップ材を貼り付けた道具を使い均しました。一般的に馴染みのない道具ですが、シール工事では定番の道具となっています。

充填したシール材をヘラなどで均す

 

実際にシール材を均しているところです。かなり手早く均していますが、このような早さで均すにはそれなりの経験が無いとできません。

 

次はQVシートを貼っていきます。これは通気緩衝工法では必須と言えるシートで、このシートの下を建物から出る湿気の通り道にするためのものです。

幅、凡そ1mのシートを土間全体に貼り付けます。この時、シートが斜めにズレてしまったりするためきちんと真っ直ぐに貼れるように注意する必要があります。

QVシートは最初の1枚目を貼ったら2枚目以降はシートに合わせて貼っていくため、最初の1枚目がズレてしまうと全体もズレた仕上がりとなるため特に最初の1枚目の貼り出しには注意が必要です。

QVシートの貼り出し

 

2枚目のQVシートを貼り付けているところです。最初のシートがしっかりと真っ直ぐ貼ることができたので、2枚目もそれに合わせて貼り付けています。

QVシートを貼る時、いきなり貼り付けるのではなく一回シートを広げて曲がったりしていないか確認してから貼り付けるのが一般的な貼り方。写真は貼り付ける前の確認の段階のものです。しっかりと直線が出ていることから1枚目のシートが真っ直ぐに貼られたことが分かるのではないでしょうか?2枚目以降のシートもこれに合わせて貼り付けていきます。

真っ直ぐに貼られていくQVシート

 

通気緩衝のシートの貼り方は、メーカーによって若干の違いがあります。

今回使用したQVシートはサラセーヌ社のシート。このメーカーのシートの場合、シートの継ぎ目箇所を5㎝程重ねて貼る仕様となっています。

写真に写っているのは、5㎝重ねて貼ったシートの継ぎ目。メーカーによってはこの継ぎ目の箇所に、1~2mmの隙間を開けるものもありますが、土間が見えないことからシートがしっかりと重なっていることが分かります。

貼り付けたQVシートの継ぎ目

 

床一面にシートを貼ったら、転圧ローラーという道具を使いQVシートをしっかりと土間に接着させます。写真に写っている黒い道具が転圧ローラーです。

このローラーは5kg程度の重さがあるため、極端に力を入れなくても転がすだけでシートを密着させられる道具です。

転圧ローラー

転圧が終わったらシートの継ぎ目箇所にジョイントテープを貼り付けます。これはウレタンがQVシートの下に入らないようにするためのもの。継ぎ目のジョイントテープだけでなくシート端末部分にも、MBテープ100という端末用のシールを貼り付けます。

転圧後のジョイントテープ貼り

 

必要な箇所にテープを貼り終わったら脱気筒の設置です。

通気緩衝工法は、シートの下を湿気が通り、最終的に脱気筒から抜けていく…という仕組みになっています。そのため、ワザとシートの一部をカットし、湿気の抜け道を作っています。この穴の上に脱気筒を設置します。

脱気筒設置箇所のシート撤去

 

脱気筒に開けられている穴に合わせ、ドリルで穴あけをしてインパクトドライバーでネジ止めをします。

 

トップライトの枠の設置もあり、丁度キリのいいところということで本日の作業はここで終了となりました。明日からウレタンを使った作業です。

 

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荒れた屋上を下地補修材にてコテで補修

By ウレタン, 屋上防水

世田谷で行っている改修工事の屋上防水です。

まずは荒れてしまっている保護モルタルの補修作業からとなります。写真は屋上の土間をアップで撮影したものです。モルタルの表面がザラついているのは、雨に打たれてモルタルが削れてしまっているから。まずはこの補修から始めて行く、という訳です。

 

早速作業を始めていきたいところですがウレタン防水だけでなく、どんな工事でも準備は必要です。ウレタンは1平米に流す量が決まっているので、スケールを使い屋上が何平米あるのかを予め計っておきます。

 

計測が終わったらまずは材料を作るためのネタ場の用意が必要となるので、ネタ場を作っていきます。写真は実際に準備したネタ場です。

 

ネタ場の準備も終わったので、早速モルタル補修…といきたいところですが、モルタル補修をするための準備も必要です。屋上中央に明かり取りのためのガラスがはめ込まれており、その周りにブチルテープが貼られていました。これは糊をタールで代用したもので、このままウレタンを流してしまうとこのタールがウレタンの硬化不良などを引き起こしてしまうため、まずはこのテープの撤去作業をする必要があります。スクレーパーという道具を使い、ブチルテープを撤去します。

トップライト周りのブチルテープの撤去

 

ブチルテープの撤去が終わったら、テープのゴミを掃除しキレイにしておきます。

テープ撤去後の清掃

トップライト周辺のブチルテープの処理だけでなく、屋上の周りを囲っているアルミ笠木の継ぎ目のシール材の撤去もしておきます。シール材が劣化し、完全に痩せてしまっていることが分かります。

劣化したアルミ笠木の継ぎ目のシール

 

カッターで切り込みを入れ、劣化したシール材を撤去します。

既存シールの撤去

 

これらの下準備を終えてようやく保護モルタルの補修です。今回使う材料がこちらの材料となります。ハイモルスーパー#10と書いてあるのがモルタルの原料。手前の白い容器の、NSハイフレックスHF-1000と書かれているものが接着剤の役割を果たす液体材料です。

下地補修で実際に使う下地材

 

これらと水を攪拌してモルタル補修をする材料を作ります。実際に材料を攪拌している様子です。ハイモルスーパー#10は攪拌前は粉の材料なので、動画のように柄杓を使うことで周囲に飛散しないようにしています。

 

材料が出来上がったら小手を使いモルタル補修を行っていきます。動画のように、小手を弧を描くように動かして、ザラついたモルタルの表面を埋めるようにして補修します。

 

モルタル補修の途中の写真です。奥に写っているところが最初に手を付け始めた箇所で、手前がその後に手を付けたところ。奥の下地材は日に照らされ、乾燥し始めている様子が分かります。

塗りたての下地材と、乾きかけている下地材

 

写真に写っていない、手前側が足場と屋上の出入り箇所です。手前側から作業を始めてしまうと、最後補修した上を歩くことになってしまうため、奥から手前と施工することで補修したモルタルの上を歩かなくても良いようにしています。屋上全面、補修が終わったので後は下地材が乾くのを待ちます。

下地補修が終わった直後の様子

 

下地材が乾いたらプライマーを塗り込んでいきます。塗ったプライマーはサラセーヌPという材料。本来であれば全面塗る必要がありますが、設置されているトップライトに枠をはめ込むため、枠を作る大工さんが通りやすく作業しやすいよう、通り道を作るように塗り込んでいます。枠も簡単に出来上がるものでもないため、本日の作業はここまでとなりました。

サラセーヌPの塗布

 

次の翌日の工程は通気緩衝シートを敷き詰めていきますので、またお伝えしていきます。

 

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