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長尺シート

5階建てマンション大規模改修の現場②長尺シート・バルコニー防水

By ベランダ, 長尺シート, 防水担当の日誌

マンション大規模改修工事。
こちらのマンションの前には1日中、電車が走っています。

振動が少なからず外壁タイルの劣化に影響があるかもと感じました。

前回は外壁タイルの打診検査。タイルの補修工事。薬品洗浄、シーリングのことをご紹介しました。
シーリングと並行して塗装工事を行いました。

外壁塗装は1階から5階までの外壁や腰壁に行いました。
一級塗装技能士、塗装科・職業訓練指導員の資格を持つ職人によって見違えて行きます。

付帯部塗装は主に鉄部で、玄関ドア、PS扉、出窓上、パーテーション、室外機止めバンドなどを塗装させていただきました。

居住者の方の在宅日や希望日をアンケートして施工させていただきました。

 

関連動画 こちらのマンションの玄関扉のシーリングと塗装

 

そして、防水工事。長尺シート貼りとバルコニー防水工事です。

 

関連記事 マンション防水工事

防水工事

長尺シートはマンションの解放廊下とエントランスと階段の貼り込みを行いました。

長尺シートは表面は硬くクッション性がないので、衝撃に強い、傷がつきにくいのが特徴です。メンテナンスがしやすく維持管理コストが少なくて済みます。

 

施工は貼り込み面にボンドを塗布します。それを櫛目ゴテで均等にならします。その上にシートをしごき棒を使って圧着していきます。端はローラーを使って圧着します。シートの余分な部分はパーキリやカッターを使用してカットします。

踊り場の施工は床材を仮敷きしたあとにボンドを塗布します。そして、床材を半分ずつ、しごき棒を使用して圧着します。継ぎ目の処理をしてローラーで圧着します。
階段の施工は床材を一段一段貼っていきます。ローラーで圧着したら余分な部分はパーキリやカッターを使用してカットします。

職人によってマンション全ての廊下、踊場、階段に長尺シートをきっちりと施工致しました。

関連動画 こちらのマンションの長尺シート施工

そして、全戸のバルコニーにウレタン塗膜防水を行いました。

防水工事ははじめてとなるバルコニーです。

施行はバルコニーの床の清掃。防水層を劣化させぬように丁寧におこないます。

プライマー塗布。ウレタンと床の密着をよくします。

 

そして、ウレタン1層目を塗布。すべて手作業で丁寧に塗って行きます。

翌日、ウレタン2層目を塗布。床をフラットにさせるのはベテランの防水職人の腕の見せどころです。

さらに翌日、トップコートを塗布で工事は完了です

大規模改修は約2か月の工事期間でした。管理会社様、オーナー様にはご満足いただける工事となりました。

今回の工事は塗装、防水、シール、洗いなどそれぞれのエキスパートの職人によって工事が行われました。

マンション、アパートを住みやすく、長持ちさせるためには定期的にメンテナンスは必要です。

これから改修をお考えのオーナー様。

塗装職人が的確な工事のご提案を致します。どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

鉄骨階段・塗装と長尺シート

By コンクリート, タイル, 外壁, 長尺シート, 防水担当の日誌

鉄骨階段は外部で使用されることが多いので、どうしても劣化しやすいです。

錆びやすいです。錆びは放置すると否が応でもどんどん広がってしまいます。

塗装ははげ落ちて塗膜はボロボロになってしまいます。

穴が開いてしまう事もあります。

その穴から水が侵入してしまうこともあります。

 

例えば、鉄骨の外階段があるタイプの建物だったのが、鉄骨階段が崩れ、2階には行くことができなくなってしまうこともあるのです。

錆は侮れないのです。

関連動画 マンション外階段を塗装する

鉄骨階段の塗装をするときは、最初に下地処理、ケレンを行います。

ナイロンたわしで丁寧に除去、電動工具を使用することもあります。

 

どうしても除去仕切れないサビにはハイポンサビスタという、さび面素地調整補助剤を使用します。

除去しきれない部位・さびやすい部位のさびを固着化させるのです。

また、必要な場合は溶接工事を行うこともあります。

そして、錆止めの塗布。中塗り、上塗りを行います。

鉄骨階段の塗装は状態によっては、床用の塗料があるのでそれを使用するのもよいです。立駐機用の塗料と同じで塩害地用とか立駐機用とかの床用の塗料を使うのもいいです。

関連動画 立駐機の塗装

塗装ではなく鉄骨階段に長尺シートを貼るという選択肢もあります。

長尺シートを貼るメリットは音がしなくなる。美観が保てることです。

しかし、ちょっとでも水が入ったら、すごく錆びるので、貼る時には細心の注意が必要です。

長尺シートを使って長持ちすればいいのですが、塞いでしまう分、諸刃になってしまいます。

一番いい例は、鉄骨階段で踏み面のところがコンクリートになっているタイプのものがあります。
昔のアパートの鉄骨階段などがそうですが、デッキプレートという製氷機のお皿みたいのがあります。そこにコンクリートを流し込む、モルタルとか階段も同じで、お皿があって踏み面を作るために氷を固めるため流して、受け皿に対して階段を作っています。

 

しばらくたってくると、ムーブメント違うので鉄は伸びるし、モルタルは伸びないので、割れたりした時に隙間が出来た時に虫歯菌が侵入するように、水が入って錆びてしまうのです。
ですので裏から穴があいて出てきたりとかするのです。

 

中にはモルタル入れるところに分厚いゴムを入れる施工する業者がいます。コンクリートは付きますが、ゴムは付かないので、ゴムをどけたら大変なことになってしまいます。その施工は大変にまずいです。

苔、垢、錆。そういう風になってしまう可能性がシートの裏には存在するのです。

鉄骨階段で雨漏りをしているところは長尺シートの方がいいと思います。

 

ただし、長尺シートのデメリットは老朽化や痛みが酷くなったら、剥がさなければならないことです。

長尺シートは室内の方が持ちます。紫外線の劣化がないので。

状態がいいとマンションはぶっ通しで20年使います。それができるポテンシャルが長尺シートにはあります。

 

関連動画 マンションの廊下と階段にシート貼り

但し、20年経ったら専用の機械を買って、専用の刃を買って、廃棄代を払って工事をします。

コスト的に高くつきます。20年というと持ちはいいかもしれないけど、剥がすということが必要になります。

 

長持ちさせるとランニングコストがいいという感覚の人が多いと思いますが実際は違います。

長持ちするものは高いけど、替えるのも高い。例えるのならベンツを買い替えるのと同じです。

貼るという事は剥がすという事が対角にあるから、そのデメリットは鉄骨階段でも存在します。
鉄骨階段はどんなに気密性を保ってシーリングで防水しても錆によって中に侵入経路が出きたら1ヶ月後は錆びだらけになってしまいます。

ですので、進める時にプロの目が必要です。塗りの方がいい場合がある。

関連記事 長尺シートとタキステップの貼り込み

残工事 長尺シートとタキステップの貼り込み

塗っているものは積層すればいい。剥がすという事は剥がし賃がかかります。
全部対角にあるのは、非対称なのです。

 

鉄骨階段の錆びや雨漏りでお悩みの方は是非ともご相談ください。

プロの目で最適な工事をご提供します。

 

関連動画 タキステップの施工、音でもお楽しみください。

残工事 長尺シートとタキステップの貼り込み

By 長尺シート, 防水担当の日誌

世田谷の事務所で工事を引き受けてから、7回にわたって紹介してきましたこちらの現場も、足場の解体作業が終わり…いよいよ残工事です。

今回は、ウレタン防水を施した外廊下や外階段に、長尺シートやタキステップの貼り込みをします。

たかだか長尺シートの貼り込みといっても、実は多くの技術や工具を必要とする作業です。

そこで、今回はどんな作業をしているのか、詳しくお話したいと思います。

関連記事 前回のブログ記事

足場解体前の検査 足場解体後の点検 プロの目線とは

 

ボンド缶の養生

まずは、ボンド缶の養生についてです。

タキステップや長尺シートを貼るためのボンドは、生ものなので封が甘いとどんどん乾燥して固まり、使えなくなります。

それでは、高価な材料が無駄になってしまいますので、しっかりと蓋がしまるように開け口部分を養生するのです。

小さな細工ではありますが、長尺シートを貼り込むためのボンド缶を最後まで綺麗に使い切ることも、工事の大切なポイントとなります。

 

ボンド塗布(くじびき)

次に、階段などにボンドを塗っていきます。

その際には、クシ小手という道具を使ってボンドの塗布をするのです。

クシ小手はその名の通り、クシ状になった小手で、ボンドを小手にのせると塗る際に刃先がつぶれ、ボンドが多くつくところと少なめにつくところがサンドイッチ状になります。

長尺シートを上から貼り込んだ際に、このボンドが多い部分が隙間なく潰れて広がり、ぴったりと接着することが可能に。

 

長尺シートやタキステップは一見すると、ただボンドをつけて貼り込めば良いように思いますが、実はこうしたボンドを塗ること一つとても技術が必要です。

塗装面に行き渡るようボンドに膜厚をつけて塗らないと、長尺シートなどを綺麗に貼り込むことは不可能となります。

 

関連動画  マンション階段のタキステップの設置工事

 

長尺シートのカット

長尺シートやタキステップは非常に重量があるため、現場で広げる際にも専用のベルトコンベアのような器具が必要です。

器具を使って廊下などに広げたシートを、専用のカッターで長さや余分な部分のカットをします。

幅は、階段用のタキステップの場合は、段鼻から蹴込みまで1枚になっており900、1200と幅があるため、それらを基準に敷き込みを。長尺シートは廊下幅に合わせてオーダーをします。タキステップも階段幅がイレギュラーな場合は、オーダー可能です。

 

転圧をかける

ボンドを塗って長尺シートやタキステップを重ねたら、オープンタイムとよばれるガス抜きの時間です。

オープンタイムは職人によっては、時間を計る場合もありますし、指触してカウントする場合もあります。

ガスは後から上がってくるため、ガス抜きをしっかりとしないとデコボコした仕上がりになり、美しくありません。

ある程度乾いたら、今度は転圧ローラーを使って長尺シートと床材がピッタリと密着するように圧をかけていきます。

細かい部分は小さい転圧ローラーで、広い面は大きな転圧ローラーを。広い面積用の転圧ローラーは、雑巾がけをするように床に押しつけて使います。

非常に力を使うため、慣れていない方であれば一日で体が動かなくなるほどです。

 

ボンド塗布、観音貼り

ボンドで貼り込んだ際に、気をつけなければならないことがあります。

それは、一旦廊下にシートを貼ると、廊下を歩けなくなるということです。(配慮しないと)

 

新築の場合は、人がまだ住んでいませんので一気に貼り込むことが可能ですが、塗装職人で請ける工事のほとんどは、築10年以上のお宅で、居住者の方が住んでいる状態で工事をします。

そのため、歩けなくなっては困りますので、廊下の片方に通り道を残し、半々ずつ施工をするのです。(階段は又、少し違いますが歩行を前提に施工します)

この時に使う技法が、観音貼りとなります。

仏壇の観音開きを想像してみて下さい、あの仏壇の扉のように長尺シートを折りたたみながら、半分ずつ塗って乾かし転圧して歩けるようになってからもう片方にボンドをつけて貼り込むのです。

関連動画  マンション廊下と階段の長尺シート

溶接作業

長尺シートの貼り込みが終わったら、長尺シートの接続部分の溶接をします。階段同様薄堀はあり。

ただ貼り込んだだけでは、接続部分から剥がれてしまうため、ガスバーナーを使って溶接し、しっかりと接続部分が繋がるように接着を。(コードレスの事例。ライスターが基本→電動項)

こうした端末処理を疎かにすると、そこから長尺シートが剥がれ、せっかく大金を使っておこなった工事が無駄になってしまいます。

しかし、工事費用が安い業者などの場合は、時間を短縮するためボンドで貼り付けただけで端末処理を疎かにする場合も。(外周のシールも含む)

同じ長尺シートの貼り込みでも、こうしたところで値段の差がでます。

 

シール処理

長尺シートの端末部分は、溶接後さらにシール処理を施します。

シーリングは、防水の効果としてはウレタン防水や、長尺シートに比べると強度は落ちるものの、そうした防水材にプラスする事で効果を高めてくれるのです。

たかがシーリング、されどシーリング…。最後のおさめをしっかりすることがプロの工事といえます。

 

ボンドのガス抜きとステップの貼り込み

ボンドをつけ長尺シートなどを貼り込んだ際に、ガス抜きが大事だとお話ししました。

階段に貼り込むタキステップも同様となります。

 

さらにタキステップの場合、段鼻の部分にはステップの重ね張りが必要になるため、ガスの抜き方にも一工夫必要です。

ステップを貼り込む際は、タキステップの貼り付け状態を指触して、半熟状態のところで重ねます。そして端にこうして印を挟んで完全には接着しない状態を作り、ガス抜きができる部分を作っておきます。

タキステップの表面にガスが上がってきたところで、この部分からガスを抜くのです。

一段一段丁寧にガス抜きをし、こうした細やかな作業が、美しいタキステップの階段の仕上げへと繋がります。

 

つなぎ目のU字溝掘り

シート同士に角があるのでつなぎ目が四角柱みたいな形になるため、角があってまっすぐ溶接棒が入りません。

ですので、溝を掘る専用の刃物でU字にカットして、そこを溶接します。

密着性をあげるために、長尺シートの溶接と同様にブチルゴムを投入する場合も。

前回のブログでも言いましたが、こうした端の処理をしっかりすることで、工事に差が出ます。

素人のDIYや、安い費用で工事した場合、こうした細かい工事を落としがちです。

しかし端末をしっかりと溶接しないとせっかくタキステップや長尺シートを使って防水工事を兼ねた工事をしたとしても無駄になってしまいます。

 

コーナーの溶接

シートのめくれが出やすいのが、コーナーです。

このコーナー部分も、しっかり溶接をします。

ライスターに溶接棒を通して、ぐっと端を押さえ込むように温風を出しながら接着させます。

長尺シートはボンドでも十分に接着すると言われていますが、こうした端の処理は特殊な器具が必要となります。

関連記事 長尺シート

長尺シート

その他エアコン裏施工

エアコンの室外機の下なども、長尺シートを敷き込みます。

今回の現場では、2階建ての大きな室外機でしたので非常に大変でした。

ここでも観音貼りでシートを貼って、室外機を持ち上げて敷き込みを。

室外機をずらして室外機を戻せるところを先に貼って、その後、戻して空いたスペースに貼ります。

ボンド、シート貼り込み、転圧と作業を進め、シールまでしたところで室外機をもどし、後半部分も同様に作業を。

塗膜防水の時はジャッキのような工具で持ち上げたりもしますが四点の跡がつきます。ですので、ここでは人力で持ち上げることに。この室外機は異様に重かったので職人泣かせでした。

関連動画 床に置いてある室外機の下はどうやって施工する?

長尺シートやタキステップの貼り込みは単純に見えてプロの技が必要

塗装職人に見積もり依頼を頂いた際に、半分くらいのお客様は工事費用が他の業者と違うため、高いと感じるようです。

 

しかし、前回と今回で紹介したブログの通り、たかだか長尺シートの貼り込みでも、ここまで手間と技と器具を駆使した工事を行っています。

そのため職人も選んでいますし、他の業者のようにその場雇いの職人などはいません。

そんな専門家集団の塗装職人ですが、実はできないことがあります。

DIYやひどい工事で手がつけられない状態になった外壁などです。

DIYが好きなお客様で、ホームセンターなどで買った塗料などを塗って、そろそろ手に負えないからプロにお願いしますという方もいらっしゃいますが、この場合プロでも手の施しようがありません。

 

なぜなら、重ねられない塗料の場合、元の塗料を撤去しない限り剥がれてしまうため塗装工事自体ができないからです。水性の塗料は基本塗り重ねができるとされていますが、これも塗り重ねには細かい決まりや組み合わせがあります。

さらに、このブログで説明した長尺シートも状態によっては貼り込めません。貼り込むと10年ほどは持ちますが、傷んだ時にはすべて剥がして貼り替えが必要なため、剥がすのにも費用がかかります。

しかし、下地の処理が悪く剥がしても貼り込めない場合などが出てくるのです。

そのため、安易に素人の方が貼り込むのはおすすめできません。

 

関連動画 こちらのマンションの剪定・溶接・屋根塗装・タイル塗装・左官・長尺シート 全工程動画

 

外壁の塗装、長尺シートの貼り込みと、一見すると簡単そうに見える作業ですが、建材や材料、環境などとのバランスや、重ねたり端をおさめたりするような細かな技術がどれも必要です。

そのためにも、外壁や屋根などでお困りの事が起こったときは自己判断するのではなく、まずはプロに相談してみて下さい。

何千万円もかけて、購入した家や建物です。

最後まで手を抜くことなく、しっかりとした工事をして家を持たせて下さい。

私たちは、持てる技術全てを持って、そのお手伝いを致します。

 

雨漏りを止める 仕上がりから逆算した防水工事

By ウレタン, 屋上防水, 長尺シート, 防水担当の日誌

通常防水工事のブログというと、「どのようにして工事をするか…」 という工事内容についてお話をするのですが、今回は少し視点を変えて工事後の結果から考えた工事についてご説明いたします。

防水工事について

通常、業者が防水工事をご依頼頂いた際には、現場調査をして、その建物に合った防水工事を行い、手順に従って塗布防水の場合、材料を積層し、最後に仕上げ作業をします。
しかし防水工事は、工事を終えた後のことをしっかりとイメージしてから行わないと、ひどい状況をまねく場合があるのです。

 

防水工事をすると、加工した床は雨水をはじくことができます、しかし勾配のつけ方次第で水の逃げ場が無くなり、防水してあるからこそ床に水たまりができてしまうことがあります。
溜まった水は、そのうち防水塗装の効果を弱め、劣化した箇所から壁の内側や床の内部に入り混み、土台を腐蝕させていくことも。
そうならないために、あらゆる結果を想定して、防水工事を行う必要があります。

 

〔関連記事:こちらの現場の工事内容〕

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

予測を立てて行う防水工事とは

防水工事は、逆算して考えることが大切です。
水の流れを把握し、床の勾配や、ちょっとした数ミリの段差なども計算に入れます。
しかしこの計算は、ベースになる教本的なものがあるわけではないため、職人の現場経験だけが頼りです。

弊社の防水チームには、僕と同じ名字の松尾という職人がいます。彼は防水チームのエキスパートですので、こちらのお宅の防水工事についていろいろな意見を出し合ってどのように工事を進めるか相談をしました。
僕と彼の経験値をすりあわせることで、今回の防水工事の仕上がり予想を立てたのです。

この建物では、階段部分は、防水塗装とタキステップ(階段用長尺シート)を採用し、そして2階部分(陸屋根)の防水工事としては、いわゆるQV工法と呼ばれる防水工事と長尺シートを併用することになりました。
それでは、どのような対策を採ったか工事内容について詳しく見て行きましょう。

 

階段の防水工事

階段は鉄骨階段の上にモルタルを施してあるタイプで、劣化したモルタルの隙間から雨水が入り混み階段下への雨漏りを引き起こしていました。


そのため、雨漏りを止める為に防水塗装をして、その上にタキステップを貼り込むことに。


本来であれば、階段全体にタキステップを貼り込めば防水効果も期待できるため、防水塗装まではやりません。
しかし今回は、階段の全面にタキステップを貼り込むことはせず、あえて脇をあけて貼り込むことにしました。

 

なぜなら、この階段は雨ざらしなので必ず雨水が階段に溜まります。その雨水を逃がすためにも、シートとモルタル面のわずかな段差を作り、水が階段脇へと流れるようにしたかったのです。
そうすることで、階段に水が溜まることを防ぎます。
またさらにこの簡易側溝は、他にも期待できる効果がありました。

それについては、床面の防水工事の説明にて後述致します。

〔関連記事:こちらの現場の外壁の防水工事〕

外壁タイルの防水クリヤー仕上げ材を塗るプラス面とマイナス面

 

床面の防水工事

次は、2階部分の床面防水塗装についてです。
通常のQV工法で床面を防水塗装し、さらにお客様のご希望で階段から家の玄関前までレッドカーペットのように長尺シートを敷くことになりましたので、こちらも結果を予想していろいろと工夫しました。
まずQV工法は、QVシートと呼ばれる緑色のシートを防水塗装の前に床面へ貼ります。

 

なぜこの緑のシートを敷くかと言うと、防水層と建物の間に入れることで、建物が動いた際に防水面が引っ張られ切れてしまうことを防ぐためです。(通常効果は別途)

コンクリートの建物などは、地震や寒暖差による収縮や膨脹によって動きがでるため、屋上などの防水の場合、何も対策をせずに工事を行うと、建物が動いた際に塗装面が引っ張られ、表面が切れてしまうことが。

 

そうならないために、建物と防水面を絶縁します。

上から防水材を流し込み、完成です。


さらにこのQVシートは面貼りではなく点貼りとなっているため、防水層の中に入り込んだ水や湿気などを隙間から逃がすことが可能です。防水面の内部に水分が溜まることを防ぎます。
ここまでは、普通の屋上の床面防水工事についてです。
防水工事の看板を掲げているところなら、どの業者もやっているでしょう。

しかし、この防水面の上に長尺シートを貼る場合は、少し工事方法が変わります。
というのは、長尺シートは先ほどの階段部分でタキステップと同様で、防水面のわずかな段差がでるからです。通常防水工事をした際には、床面にゆるやかな勾配をつけて水の流れを作ります。


しかし長尺シートを貼り込むと、水の流れをせき止めてしまうことになるのです。ほんの数ミリのわずかな段差ですが、ここに水が溜まりやすくなります。
また、今回のお宅では最初の下地調整の際に下地職人から床面のわずかな勾配についても報告を受けました。
そこで、それらを加味して防水職人の松尾と相談をしながら、この長尺シートの間に隙間を作り簡易側溝とすることにしたのです。

とはいえ、お客様としてはレッドカーペットのような状態で家までに敷き詰めたいという希望もありましたので、そこはご相談を。
あまりにも側溝の本数が多いのも嫌だけど、水が溜まってしまうのも嫌なので、ぎりぎりの本数で水を逃がすのであればOKと…話し合いの末に合意を頂きました。
結果、先日の大雨の際に2階部分の長尺シートの段差から水を排出し、見事上記の階段を防水工事する際に作っておいた簡易側溝を通して水を逃がすことができたのです。
本当に工夫したことがすべて上手くいって、非常によい仕上がりとなりました。

お客様へのリスク管理

今回のお客様宅の防水工事は、選んだ対策がたまたま上手くはまりましたが、あくまでもこれは運が良かっただけだったと思います。他の現場の場合、実際工事をしてみても見つけられなかった勾配などがあって、うまく水が逃げないこともありました。

僕は、必ずこうした難しい工事をする際に、予測される工事後の良い面も悪い面もすべて話します。
あまりにも「できないかもしれないこと」などをはっきりといいますので、まれにではありますが、「なぜそんなにネガティブなことばかりいうのですか?」とお客様から言われることも…。
しかし、ネガティブなことを言いたいわけでは無く、あくまでもリスク管理の一貫なのです。
どんな塗装工事にもリスクはあります。
それを隠して工事をすることは、お客様に対して不誠実であると僕は思うのです。

家というのは、さまざまな材料がかけ合わさって建てられているため、工事方法に正解というものはありません。
何かをおさめるためには、引き受けなければならないリスクを伴うのです。
雨漏りに関しても、僕はほとんどの場合「止まらないかもしれません」とお伝えします。
なぜなら雨漏りというのは、原因が多数あり本当に難しい補修工事だからです。
しかし、お客様に「止まらないかも」とお伝えしながらも、僕の心の中では「絶対止めてやる」と決意を固めています。
しかし、それを口には出せません。
自分の仕事に責任を持っているからこそ、100%確実なことしか言えないのです。

たかが水たまり、されど水たまり

今回の工事は、長尺シートと防水塗装のハイブリッド工事でしたが、無事水を散らすことができ雨漏りから家を守ることができました。
長尺シートに溝を作り、壁際に逃げた水をさらに階段へと流したことで、予測通りに水の排出ができたのです。下記が実際に簡易側溝を水が流れる様子となります。

本当に上手くいってくれたので、ホッとしました。

長尺シートの上に溜まった水は、そのうちシートの中に浸透します。
それでは、せっかく貼ったシートが無駄になるどころか、シートで覆ってあることでさらに水の逃げ場がなくなり、より内部を腐らせるなどして雨漏りを加速させるでしょう。
だから複雑な工事こそ、工事後を見据えたいわゆる工事の逆算が必要となるのです。

〔関連動画:こちらの現場の工事後の様子〕

実は、今回の防水工事後…僕は何度か現場に足を運びました。
自分の仕事にきちんと向き合うために、しっかりと結果を受け止めたかったのです。


奇跡的にうまくいきましたが、ほとんどの場合は上手くいかず何度もトライアンドエラーの繰り返しになることも。
防水工事は材料だけ揃えて、ただ貼り込んだり塗ったりすれば雨漏りを止めることになるわけではありません。
家の状態や、形状、環境あらゆることを踏まえて、工事後の状況を予測することで初めて、お客様が望む『雨漏りを止める』という防水工事ができるのです。

防水工事を依頼する際には、さまざまな状況を予測した上で工事をする業者を選びましょう。
逆算から導き出す工事こそ、理想的な防水工事といえるのです。

〔関連動画:雨漏りの悩みから解放された3度目の屋上防水〕

 

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

By ウレタン, 屋上防水, 長尺シート, 防水担当の日誌

これまでのブログでは、塗装や防水工事などそれぞれに特化してご紹介をして参りました。
普通の一軒家では、予算的にも工期的にも同時に複数の工事をすることが難しいものです。

しかし今回のお宅は、通常の一軒家とは違い、店舗の上が陸屋根となっており、さらにその陸屋根の家にオーナー様の家が建っているお宅でした。

そのため、様々な工法が必要となり、チーム塗装職人の技術と知恵をフルで注ぎ込む工事となったのです。
こちらの工事に関しては、何回かに分けてブログに書きたいと思います。

本日は、導入編です。
まずは、お客様宅の工事内容についてご紹介致します。

店舗と住宅 大改修工事その内容

お客様のご自宅は、先ほども少し書きましたように、1階部分に店舗があり、その店舗の上は陸屋根。そしてその陸屋根の上に中二階のある平屋が建っている建物となります。
今回はお客様から大規模改修のご依頼がありまして、工事をすることになりました。

まずは1階部分です。
足場については、店舗の営業の妨げにならぬよう組みました。
『営業中』と書いたシートも大きくかかげ、さらには駐車場部分にはコーンを置きます。
これは、万が一車止めぎりぎりまで駐車してしまうと、車と足場が接触してしまう恐れがあるからです。

 

 

店舗はALC構造となっており、店舗の周りを覆うタイルにところどころ滑落やヒビが見受けられるため、補修してセブンSSというタイルに対する外壁防水化粧材を使います。

また店舗の裏は、今回の改修の際にウッド調で統一をするため、茶色に塗装することとなりました。

〔参考ページ:外壁タイル補修〕

外壁タイル補修

さらに陸屋根部分は、ウレタン塗膜防水をおこないます。
陸屋根は、排水口を屋根に穴を開けて下まで通してあるため、工事の際には注意が必要です。

というのも、昨今ではゲリラ豪雨などが多くなり、陸屋根が設計された当時に予想されていた雨量を遙かに超える日があるので、工事する際にそうしたことも計算する必要があります。

そもそも陸屋根というのは、トラブルの多い屋根です。
通常は勾配をつけた三角屋根などが主流ですが、三角屋根は陸屋根と同じように傷んで穴があいたとしても勾配があるため多少被害の広がりが遅くなります。
(とはいっても三角屋根の場合でも、水の巻き上げなどもあるので必ず三角屋根がベストか…と言われると言い切れない部分もあるのですが…。)

陸屋根は『水が溜まりやすい』という特徴から、再塗装する際には十分に注意して工事する必要があります。

〔関連ページ:ウレタン防水〕

ウレタン

次に2階部分と階段についてです。
2階部分は、まず腰壁の内壁を全てウッド調にすることになりました。

さらに、屋根がいわゆるコロニアル屋根等のノンアスベストタイプで、屋根自体がもろくなってしまったため、ジンカリウム鋼板にてカバー工法をすることに。

さらに、陸屋根部分のウレタン防水をした上に2階入り口から家の入り口までレッドカーペットのように長尺シートを貼ることになりました。

それと同じく、鉄階段部分も塗装をし、タキステップ(長尺シートの階段版)を貼り込みます。

〔関連ブログ:外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方〕

外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方

家の外壁はタイル柄ですので、タイル調に塗り分けるために多彩色カラーを使用し、これによって壁にタイルらしい風格を出すのです。

 

家に合った材料選びをするために

工事内容というのは、建物を見てパソコンに情報と数値入力をすればすぐに出てくるものではありません。
これらの工事内容を決めるためには、綿密な打ち合わせが必要なのです。

まずは、材料選びについてお話し致します。
現在、建築材料というのは環境対応型の材料などがどんどん発売され、家に合った材料を選ぶことは非常に難しいものです。

そして、新製品が発売されると多くの方がそれに飛びつき利用しようとしますが、僕としては「ちょっと待った」と思ってしまいます。
というのも、どんな新商品もそうですが、最初は商品の良い面だけを前面に出して販売され、悪い面は使ってから数年後に分かるものだからです。

先日も、とある塗料で発がん性物質が入っていた塗料が、発がん性物質を抜きリニューアルして発売されました。しかし以前の塗料は、塗装後建物の美観を保つことができたのですが、発がん性物質を取り除かれた塗料では、塗装しても建物の美観が保てなくなっていました。
たしかに健康面としては良いのですが、家としては持ちが悪くなってしまったのです。

その他にも、今多くの家で問題になっているノンアスベストの屋根材は、アスベストが使用禁止になったことで発売されましたが、強度が弱く補修さえ出来ない状態の屋根となっています。
ノンアスベストの屋根材を使用した家々は、数年で屋根が補修工事もできないほどひどい状態になってしまうことは予想もしなかったでしょう。

そのため、僕は材料選びをする際に材料の業者や商社などに徹底的に確認を入れ、現場で材料を扱っている職人の意見なども吸い上げながら材料を決めるのです。
今回も多くの塗料や防水剤は数々の確認をし、お客様と何度もお打ち合わせした上で決定しました。

 

家に合った工事の進め方を決める

次に、工程の相談です。

今回も一つの現場に多くの専門職人が入ります。

足場、塗装、防水、シーリング、大工、板金など、数多くの職人が入るからこそ、順番が大事です。
工事する内容によって、順番は変わりますので職長会議も必須となります。

何が先で、何を後にするかによって、仕上がりが大きく変わる場合も。
調べ抜いた材料を理想の仕上がりにするために、営業である僕と職人達で意見しながら、より良い工程を模索します。
ここをいい加減にしてしまうと、欠陥工事となってしまうのです。

〔関連動画:駅前の営業中テナントビルの大規模改修工事 足場・補修・防水・塗装 全行程〕

正直、外壁塗装の世界は矛盾だらけで、マニュアル通りにいくものは一つもありません。
そのため、現場の責任者にも多くの知識が必要となるのです。

僕には、材料や塗装、防水のそれぞれの部署に信頼できる担当者がいますので、今回のような工事を組むことができます。
毎日、それぞれに材料のことや技術のことを質問し、答え合わせをし、お客様に最適な材料と工事方法をご提案できるようにしているのです。

たまに、「見積もりを1週間くらいで下さい」と言われることがあります。
僕からしますと、これは不可能です。
補修や塗装する箇所について徹底的に調べ、あまたの材料の中から最適な材料を割り出し、さらにそれらの材料や工法がそれぞれの箇所に緩衝しないかを確認し、期間や必要な職人のスケジュールを確認する。

これだけのことを盛り込んだのが、弊社の見積書なのです。

お客様の理想の塗装工事をするために僕は、工事がはじまると毎回ドキドキします。
四六時中現場のことを考え、お客様にとってベストな方法はないかと模索しているからです。

幸運なことに、僕は会社や職人を始めとして、材料の商社など周りの人々に恵まれているため、このベストな方法を実現させることができます。
塗装工事で大事なことは、リスク管理です。

材料や工事の内容の悪い点が、後出しにならないように細心の注意を払いながら工事内容を煮詰めます。
今回の大改修工事では、新商品は屋根以外使っていません。
屋根材にだけ比較的新しめなジンカリウム鋼板を使いましたが、こちらの材料は大手商社が社運をかけて作っている肝煎りの建材です。そうした裏取りをしっかりとした上で、材料のラインナップをしています。

〔関連動画:ジンカリウム鋼板で屋根の葺き替え〕

次回からは、それぞれの工事内容について詳細をご紹介できればと思いますので、ご期待下さい。

外階段廊下にウレタン防水材や長尺シートの工事種類とおさめ方

By 他共用部, 長尺シート, 防水担当の日誌

今回は、階段や廊下の防水工事についての解説です。防水剤というのは、さまざまなメーカーから用途別に数多くの種類が出ています。

しかし、お客様が『防水工事』と検索をすると、おすすめとして出てくるのは長尺シートなどで、そこまで種類があるようには見えません。
今回は階段という箇所を使って、防水剤の種類や効果、そしてなぜ金額が違うかについて解説致します。

 

外階段の防水工事とは

アパートやマンションなど、外階段の工事をよくご相談いただきます。

外階段の中には、鉄階段やコンクリート製の階段がありますが、この階段も建物の状況によって施す防水工事はさまざま。

まずは代表的なものを4つご紹介します。どちらも防水工事の補償期間は2年です。

 

ウレタン塗膜防水密着工法

一般的なのは、ウレタン塗膜防水密着工事です。この工事は新築時にやることが多い工法となります。

なぜ新築時かというと、非常に工程が多く塗り重ねが必要なため、乾燥させるために階段の上を誰も歩かない日数が必要となるからです。

そのため、居住者のいるアパートなどの場合は、階段の左半分、右半分に塗る箇所を分けて工事する必要があり、作業だけで6〜8日ほど(1日に2回塗り出来る等、条件によって違う)の時間を要します。

 

超速硬化ウレタン吹きつけ リムスプレー工法

ウレタン塗膜防水と比べて、この超速硬化のリムスプレーは、朝6時から作業すれば夜には階段を使用することができます。

居住者にかかる負担がすくないところから、アパートのオーナー様に喜ばれる工法です。しかしこのスプレーのデメリットとして、防水膜が切れやすいというのがあります。

段鼻部分や蹴り込み部分、階段の立ち上がり部分は靴の先で蹴りやすく、革靴などでこの蹴り込みを蹴ると、そこからリプスプレーのコートが切れてしまうのです。

使用頻度の高い階段には不向きです。

 

タキステップ3W35等

最近階段の防水工法としてトレンドになっているのが、この長尺シートです。

長尺シートは塩ビの防水シートで、耐久性は10年といわれています。

しかし、先日長尺シートを貼って10年経過したお客様のお宅で現場調査に伺ったところ、まだ長尺シートは綺麗なままでしたので、幅木のみ施工をしてあと10年みましょう…となりました。

それくらい耐久性のある防水シートなのです。

〔参考ページ:長尺シート〕

長尺シート

主に平場と呼ばれるフロア部分などに使用しますが、階段に貼ることもあります。防滑性、防音性、もちろん防水性があり、摩擦に強く、耐久性に優れている。防水剤として、非常に優秀な建材です。

しかし、この長尺シートはどの階段にでも使えるわけではありません。

この間も、とあるマンションで鉄階段に長尺シートが貼り込んで有り、表面は長尺シートで覆われているため階段の背部に水が流れ、階段の裏側がサビだらけになっていました。

正しい用法で、正しく施工すればとても良い効果がでる長尺シートですが、用法を間違えると剥がすこととなり、長尺シートの工事費用は塗装よりも高額なため、大変な出費となってしまいます。

 

タキステップ5W6W等

塩化ビニル樹脂を主原料とした、段鼻部と踏み面が一体になっているシートです。

長尺シートはフロアにも晴れるのに比べて、このタキステップは名前の通り階段に特化しているシートといえます。

防滑エンボスと適度なクッション性があり、階段での転倒などをおこしにくいため、学校や屋内施設などにも使用されている防水剤です。

タキステップは貼る階段によって、使用するタキステップの種類が変わります。通常の鉄骨階段はタキステップ3W、縞鋼板の場合はタキステップ3Sです。

コンクリートモルタル系は5W、6Wなど。一口にタキステップといっても、使用用途によって種類がさまざまあるため、これもまたプロによる見極めが必要となります。

ちなみに、タキステップ3Wと3S。この二つの違いは、シートにスポンジが入っているか入っていないかです。

3Wはフラットな面に貼るためスポンジが入っていません。タキボンドでしっかりと階段に密着します。

タキボンド

3Sは縞鋼板のデコボコに対応するためにスポンジが入っており、使用できるものの、接着面が甘く、サビなどが入りやすい傾向も。

最悪、高額な費用をかけて貼り付けたタキステップを剥がすことになりますので、ご自身の家に合ったタキステップを選ぶ必要があります。

以上4つです。

 

〔参考記事:階段の長尺シート施工前・施工後〕

保土ヶ谷区のマンションの廊下・階段の長尺シート工事

これ以外にも、防水材はいろいろあります。どれも良い面がありますが、使い方を間違えると貼り替え時に大変な出費となってしまうものも。

僕はよく塗料やこうした防水材を薬に例えるのですが、どんなに効くとされている薬も、病名と薬が合っていなければ薬の効果を発揮できません。薬の処方が間違ってしまったら、治るものも治らないのです。

ここからは、建物の条件によってどのように防水材を使い分けるのかを、ご説明致します。

 

マンションなどに多いウレタン塗膜防水とタキステップや長尺シートの複合工法

マンションの外階段などの場合、コンクリートのササラ部分や蹴り込み部分にウレタン防水の工事をし、平場や階段部分にはタキステップや長尺シートを貼る複合工法などがあります。

踏面部分は防滑効果を高めるためタキステップ等、その他の部分はウレタン塗膜防水にすることによって、階段の角に水が溜まらないように仕上げるのです。

こうした防水剤の良い面の相乗効果だけではなく、悪い面をカバーするために複合工事がうまれ、職人の知恵が必要となります。

〔参考動画:マンション廊下と階段の長尺シート〕

 

鉄骨階段に長尺シートを施工する

鉄骨階段は、どんなに表面のサビを落としても、サビが内在することを把握するのが大切です。

内在するサビをできるだけ押さえ込むことが、塗装する上で何よりも大切と言えるでしょう。

しっかりとケレン作業をし、メーカーの推奨する金属プライマーを塗れば、長尺シートを乗せることができます。

しかし、この写真のようにササラ部分にサビが出てしまうと、水の溜まる角から塗料がまくれ、最悪長尺シートの下に入り混んでしまいます。

そうならないためにも、定期的な塗り直しが必要なのです。もちろん、長尺シートが向かない階段もありますので、よく塗装業者に相談をしましょう。

 

タキステップの防水効果だけでなく見た目の美しさを重視する

 タキステップの実質的な効果とはズレますが、タキステップの美しさを追求する工事もあります。

階段のほとんどをタキステップで仕上げたのですが、最後の立ち上がり部分だけは階段の幅も形も違ったため、あえてタキステップではなくウレタン塗膜防水で金物のステップをつけました。

このように仕上げれば、1段目のアンバランスさを強調することなく美しい状態でおさめられます。防水材の効果とは少し違いますが、こうした見た目への気遣いは、その材料に精通した職人だからできることなのです。

〔参考動画:タキステップとタキシート〕

 

その他階段の防水塗装

 これまで紹介した防水剤以外にも、コンクリート階段に立柱式駐車場などで塗る塗料を塗っているお宅もありました。

駐車場などに使用する塗料のため、非常に防水効果の高い塗料です。しかし、それと比例するように値段も高くなります。

それ以外にも「スポーツ床仕様」といった塗料もあり、塗料の効果だけでみると、本当にいろいろな防水工事方法があるのです。

 

防水工事はどうおさめるかが大事

防水工事というと、なんとなく階段の上に雨をはじく材料を敷いたり塗ったりすれば防水になる気がしますが、実はさまざまな防水材の掛け合わせや、使い方を駆使しないと防水効果を得ることが出来ません。

防水工事は、雨の侵入を防ぐことだけでなく、侵入した雨や内側に溜まる湿気をどう逃がすかということまで考える必要があります。

この掛け合わせは一つ間違えると、長尺シートやタキステップであってもサビや腐蝕を増殖させ、階段そのものが使えなくなることがあるのです。

だからこそ、塗装工事において作業計画がなによりも大事だといえます。

〔参考ページ:マンション共用廊下の長尺シートとウレタン防水〕

マンション共用廊下の長尺シートとウレタン防水工事

 

家の状態に合わない防水工事をする怖さ

業者によっては、自分が得意な方法でだけ工事する会社もあるため、建物の状態と合っていない塗装が施される場合もあります。

また長尺シートは10年耐久性があるとされ、タキステップも非常に持ちがいいとネットに書いてあることから「うちの階段もコレを貼ってください」と指定頂く場合がありますが、お客様の家に長尺シートが合うとは限らないのです。

ネットに出ている防水剤は、どれも施工した家に合っているからこそ、効果を発揮しています。間違った防水工事は、雨漏りの原因になるのです。

防水剤を選ぶ際には、『家の症状に合った』防水剤を選びましょう。

 

防水工事は費用がかかるということを知る

防水工事で一番ポピュラーなものは、ウレタン塗膜防水工事などの塗りものの工事です。

ただし、通常の塗装とは違い膜厚なども必要なため塗り回数が多く、塗装工事よりも〇倍の費用がかかります。

さらにここも間違いが多いのですが、普通の外壁用塗料と防水材は同じではありません。まったく別物のため、値段も違うのです。

普通の油性塗料を廊下に塗って、その上を人が何度も往来していたら、すぐに塗料が剥がれてしまうでしょう。

剥がれない効果があるのが、床用の防水材なのです。

さらに、長尺シート、タキステップなどは塗膜防水工事よりも費用がかかり、より確実な防水工事をするためにはさまざまなオプションが必要となります。

費用が安い工事は、いずれかの工程や材料の質を落としているため、防水効果が低くなることも。

先日とあるお宅に現場調査で伺った際にお客様が「うちは防水を塗ってある」とおっしゃっていましたので、どんな種類の防水材なのかよくよく見てみると、防塵塗料が塗ってあったこともありました。防塵塗料では、防水効果はありません。そのため前回の工事は安く工事することができたのでしょう。

〔参考動画:劣化を防止し屋上を保護するトップコート防水〕

私達塗装業者は、ある意味家の塗装工事における『総合診療科』のドクターです。家全体の症状を見て的確に患部を判断し、さまざまなアプローチで患部を治療するための方法を提案します。

想像して下さい。みなさんは、がんを治療するためにお医者さんかかった際に「もっと治療費を安くしてくれませんか?」と聞きますか?

それよりも、がんを治すためにどんな手術や薬があるのか詳しく聞こうとするでしょう。そして提案された治療法の中で、自分が出せる金額に見合った治療を受けます。

家も同じです。雨漏りが起きていたり、なにかしらトラブルが出ていたりする家というのは、がんに侵されている状態と言えます。

トラブルを補修し家を持たせるためにも、『相見積もり』を使ってそれぞれの業者がどのような工事をするのか具体的に聞きましょう。その上で、家に合った工事内容(治療法)を探してみて下さい。

防水工事は、家をこの先10年守るための大事な工事です。値段だけにとらわれて、工事内容を見誤らぬようお気をつけ下さい。