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技術と経験則を集結させる防水工事とは

By 2023年2月24日3月 1st, 2023屋上防水, 防水担当の日誌

今回は防水工事のお話です。
僕のブログでは、今まで何回か防水工事についてお話しています。さらっと施工方法をご紹介してはいますが、実はものすごく技術のいる工事です。
DIYで防水工事をしようとされる方もいらっしゃいますが、どういった所がプロとの違いなのかについてご説明いたします。

高圧洗浄後にモルタルを塗る

高圧洗浄で汚れをしっかりと落としたら、モルタルを床や壁面などに塗っていきます。
DIYで工事をしようとするとき、まずはこの洗浄から大きく差がでるのです。

きちんと洗えていない箇所は、塗料が剥がれることがあります。

また、洗えない洗いずらい位、その場合の対処も分からないでしょう。

〔関連動画:一級塗装技能士が行う高圧洗浄〕

そしてその上での、モルタル塗りです。これも技術のいる作業となります。

弊社では左官職人が、ローラーでモルタルを塗っていき、下地調整をおこなうのです。
(小手を使ってモルタル塗りをする場合も)

モルタルは、下地のくっつきを良くします。
まずノリを水で溶き、そこに粉を混ぜてモルタルを作るのですが、この糊が下地との接着力を上げてくれるのです。

最近では元から粉に糊剤が入っていて、水で溶くだけのモルタルもありますが、2段階で溶くタイプの方が、接着力が高いように現場を見ていて思います。

〔関連動画:モルタル補修〕

プライマーを塗る

次はプライマー、つまり下地の塗装です。
防水工事の下地として使用するプライマーは、非常にニオイが強く、酔っ払ってしまう人もいます。

ショッピングモールなどの大型店舗などで塗装をする場合は、屋上だとしても換気口などからニオイが入ってしまうため、休館日や閉店後の工事となってしまうほどです。


しかし、このいわゆる溶剤タイプのプライマーを使わないと、防水用の接着性が弱くなってしまいます。
水性でニオイがそこまで強くないものもありますが、やはり接着の持ちが違うのです。
防水の塗装は、壁面よりもさらに密着性が必要とされます。なぜなら、水の侵入を防ぐことが目的だからです。

そのため、塗るのに苦労する溶剤ではありますが、しっかりと使用して接着力を高めます。
たまに、YouTubeなどで屋上防水の仕方などを見て、DIYで防水工事をしようとされる方もいらっしゃいますが、こうした溶剤の使用など、素人の方では難しいでしょう。
取り扱いがハードな材料ではありますが、防水の職人だから扱えるのです。

〔関連動画:屋上防水〕

ゴム剤の塗装

本塗りとしてゴム剤を塗ります。今回使うのはウレタン2液混合タイプのものです。1液タイプのゴム剤もあるのですが、硬化不良がないものの厚くついてしまうと表は乾く物の中身はぐちゅぐちゅした状態に。
防水塗装は、壁面塗装に比べると10倍ほどの膜厚をつけます。そのため、中身が乾かないと大変なことになるのです。

だいたい1階の広さに対して、ゴム剤を1キロほど使います。2回に分けて撒くのですが、均一に膜厚をつけることが大切です。
その後トップコートをします。これは通常の塗料と同じものです。

 

こちらの消火器が写っている場所のゴム剤の撒き方は、少し違います。


長尺シートが貼られるので、ウレタン防水との複合工法となり、ここの場合は厚く塗ればいいというわけではありません。
塗り方を間違えてしまうと、長尺シートが盛り上がってしまいます。

基本的には防水工事は膜厚を均一に厚く仕上げますが、場所によってはただ厚く仕上げればいいわけではないので、ローラーを変えるなど小さい技や細部への注意が必要となるのです。

〔関連動画:ウレタン防水工事〕

防水の要 シール剤

防水工事において、大切なのはベランダや屋上などの雨の進入口に対策をすることと、サイディングやタイルの隙間から入る水にたいしての対策をすることと言えるでしょう。
そして、その隙間を塞ぐのが、このシールなのです。


シールは、元にあるものをすべて撤去するところからはじめます。
前回このシールを施工した業者が2面接着だったため、写真のように引き出すと上手くシールが剥がれますが、職人によっては3面接着や、モルタルをきれいに処理していなくてシールがまったく剥がすことができず、ほじるように取り除くことも。

そして、綺麗に掃除した目地に新しいシール剤を充填します。
この時、目地周りは養生をしてはみ出しがなく綺麗なラインが出るように仕上げを。

ここで大切なのは、養生を剥がすのを翌日にすることです。
というのも、目地に打ち込んだシールのはみ出しが、養生にくっついていた場合、養生を取る際に打ち込んだシールを引っ張り、隙間を作ってしまう場合があります。

隙間を作ってしまっては、せっかくのシール工事が無駄になってしまうことに。


また水というのは、こうした小さな隙間から徐々に侵入していき、少しずつめくるように隙間を広げて行き、壁の中へと入り込むのです。
シール工事は、養生の剥がし方次第で打ったシールが成功にも失敗にもする…それくらい繊細な工事といえます。
またシールの打ち方にも、習字の留め跳ね払いのような打ち込み方があるのをご存知でしょうか?
シール材はただ隙間に打ち込むのではなく、重なるところ、打ち込みが終わるところなどを考えて打ち込まないと、そこに無駄な盛り上がりやだらしなさが出て美しくありません。

また壁表面に模様のあるサイディング壁の場合、目地のラインを出すように仕上げるのではなく、ぼかして仕上げます。
目地がはっきりとしてしまうことで、壁面で悪目立ちをするからです。
あえて養生をせずに適量で打つのですが、養生しない分、職人の力量が問われます。

〔関連記事:シール工事〕

シール工事

シール打ちは、一見するとガンで隙間に注入しているだけなので、簡単そうに見えますが、掃除と撤去技術習得のために数年、打つ技術で数年、抑えを数年と、かなり職歴を詰まないと美しいシールというのは打てません。

最近では、新人でも勘のいい職人だとシール打ちをする人がいますが、スタンダードな工事はできても応用がきかないことがほとんどです。
シールは、防水材とは少し違いますが、雨水の侵入をふせぐために大切な防水箇所なので、技術経験不足は命取りとなってしまいます。
1㎝×1㎝のわずかな隙間ではありますが、防水の肝なのです。

〔関連動画:マンション外壁タイルのシーリング〕

防水工事の矛盾

以前もこんなことがありました。
役所からの依頼で、保育園の屋根防水をして、2階部分の広いバルコニーでは防水工事を施すことになったのです。
役所からの依頼の場合、搬入した缶数をしっかり写真に撮り、注文通りの缶数を使用したかどうか、その後も空となった缶の写真を提出します。

しかし、ここに矛盾が生まれるのです。
例えば、壁や床の材質が塗料を吸いやすいものの場合、通常よりも塗料の量が必要となります。かといって、塗料を余分に用意したものの通常通りの使用しかせずに余ることも。
こうなってしまうと、空き缶の撮影ができません。だからといって、吸い込みはないものとして塗料を注文すれば、足りない時は工事が数日〜数週間ほどストップしてしまうことに…。

この保育園の屋根防水工事では、役所からの指示通りの計算をしたものの、建物のイレギュラーで計算した以上に膜厚が出てしまい、ベランダに取り付けられた扉が開かなくなってしまいました。
言われたとおりに正しくやったとしても、現場とはイレギュラーの連続なため予測どおりにはいかないのです。

〔関連動画:屋上防水の実物施工を展示するショールーム〕

防水工事は技術と経験を集結させたものだからこそ

 

たまにお見積もり依頼を頂いたお客様から、値下げをして欲しいと言われることがあります。
たしかに多少のサービスであれば気持ちとしてすることはできますが、値下げとなると材料費や人件費など削れる物がないため、そうなると材料費などを落とすか、もしくは工事する箇所を絞るかになっていきます。
他社が安かったとしても、それは値引きの理由にはなりません。

なぜなら他社が塗装職人とまったく同じ工事をやって値引きをしているとしたら、赤字になってしまうはずだからです。ということは、安くするために工事内容の中でなにかしらの帳尻合わせをしているのでしょう。
今でも塗装工事費を、一昔前に工事費の目安としてよく言われた100万円ほどだと思って、見積もりにいらっしゃるお客様もいます。
しかし材料費なども上がり、現在では100万円で一軒家の外壁、屋根を含めた塗装工事をすることは、不可能に近いです。
そして100万円におさめようとすると、不確かな工事しかできません。

ペーパードライバーと毎日運転する人。

その中でも、あまりお上手でない方と上手な方

免許を持っていますが、ヤブ〇〇といろいろ表し方があります。

故に誰?どんな人間が施工することがやはり一番大切です。

 

防水工事には技術や、家によって起こるイレギュラーに対する対応力がなによりも大切になります。
だからこそ、前回と今回のブログで紹介したような職人の経験が必要なため、費用も必要となるのです。
たかが防水工事ですが、されど防水工事…。家にとって雨漏りは、一番防がなければならないものと言えます。

〔関連記事:防水工事〕

防水工事

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確かな技術を持って、お答え致します。