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外壁

足場解体前の検査 足場解体後の点検 プロの目線とは

By コンクリート, タイル, 外壁, 防水担当の日誌

前回、メインの塗装工事までご紹介したマンションの塗装補修工事の現場ですが、いよいよメインの工事が終わり、検査、そして点検の段階となりました。

弊社では、さまざまな現場で工事をしています。塗装職人の工事で大事なことはクオリティです。

今回ご紹介する検査や点検は、弊社の工事に関するクオリティに大きく関わってきますので、どのような点をチェックしているのかなど詳しくお話したいと思います。

 

関連記事 前回のブログ

技術と経験則を集結させる防水工事とは

 

足場解体前検査

 

工事を終えたら、足場を解体する前に検査を行います。

足場を組む際に外したアクリル板などは、まだ足場を組んでいるため取り付けはしません。

足場があるからこそできるチェックを、徹底的にやります。

お客様からのリクエスト通りに塗れているか、工事内容と仕上がりが相違ないかなどなど。

写真の白い天井裏のサイドに塗られた紺色は、お客様からリクエストを頂いた色です。

目安になる色味などもありましたので、色合わせしチェックしました。

また、足場があるからこそ作業ができ、確認も出来る箇所が以下の写真の高架水槽です。

普段高架水槽は、なかなか上までチェックすることはできません。

 

さらに、痩せていたシールも充填しなおしましたので、しっかりとシールが入りラインも綺麗にでているかどうかを確認します。

シールを充填した目地に、ひげやバリが出ていないかどうかを調べるのも大事なチェックポイントです。

前回のブログでもお話しましたが、シール材を充填した時に半乾きの状態で養生を外すと、乾ききっていないシール材がひっぱられひげのように伸びてしまうことがあります。

このひげができたということは、シール材も一緒にひっぱられたことを示しますので、せっかく注入したシール材と目地の間に隙間を作ってしまっている可能性があるということです。

隙間ができてしまうと、防水効果が半減してしまいます。

関連動画 マンションのシーリング

 

そのため、仕上がり具合をチェックする際に、ひげが出ているか出ていないかということは、防水効果を確認するためにも重要な確認ポイントとなるのです。

 

さらに、足場全体の写真もご覧ください。

建物の形が不規則だったり、アーチになっていたりする部分があるため、これだけイビツとも言える足場の形状になっています。

足場の形を、壁面の形などに合わせて建てたことで、きっちりと建物のそばにより綿密なチェックができるのです。

足場があるうちに確認する箇所としてさらに大事なのが、屋根上と言っても過言ではありません。

最近では安全上の理由などから、足場なしに屋根上に上ることが出来ないからです。

こちらは今回白色で仕上げ、遮熱効果を上げました。

 

最後に全体を通して塗り残しなどがないか、しっかりと検査します。

 

写真の写っている箇所で、所々屋根にアクリル板が入ったままになっている箇所もありますが、こうした箇所のチェックも必須です。

足場を組む際に、外すこと無く作業が可能なアクリル板は、屋根をはずしません。

なぜなら、少しでも工事費のコストカットが出来るからです。

ただし、アクリル板は割れやすいので、こうした最終点検で傷など付けていないかを、工事前に撮った写真なども元にして、しっかりとチェックを行います。

関連動画 安全な足場を組むためのひと手間

 

足場解体後の検査

 

足場を解体すると、「これで工事が全部終わったのかな?」と思う方もいらっしゃいます。

実は、足場解体後も残工事というものが残っているのです。

 

今回の場合は、廊下に敷く長尺シートなどが残工事となります。

長尺シートは、足場を解体前に貼り込んでしまうと、足場解体時に汚れてしまうことがあるため、貼り込みを後回しにしました。

また、足場を建てる前に外したものなどもきちんと戻せているかも確認します。

 

今回の工事でマンション1階に住んでいらっしゃる方が、ベランダに洗濯機があり、今回の期間中、前回もそうしたことで、1ヶ月近くも家の中にしまって頂いたのですが、ずっとコインランドリーを使って下さり、最後まで快く協力してくださいました。足場解体後は、いの一番に洗濯機を元に戻させて頂き、御礼申し上げたのですが、どこの現場でもこのように率先して協力して頂けるわけではありませんので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

足場解体後は、足場によって傷が入った外壁やフェンスなどがないかチェックします。

このように足場解体前も、解体後もこのような徹底した検査、点検をすることがプロとして大切なのです。

 

塗装職人ができることとできないこと

 

足場解体前の検査や足場解体後の点検時に、お客様からご質問が出る場合があります。

例えば「あの出っ張っているところ、最後に直せない?」なです。

確かに最後のチェック時に気になって頂いたご質問ではあるのですが、工事内容に関係の無く、美観を補修する追加工事となってしまいます。

塗装工事というのは、あくまでも古くなった家を持たせるための工事です。

ですので、塗装工事をしたからといって、家が新築時に戻るわけではありません。

つまり補修工事は必ずしも美観がともなうわけではないのです。補修するために美観を損なうこともあります。

もしも美観の補修をするのであれば、またそれ用の工事が必要となるのです。

関連動画 防水工事の実物施工を展示する無人ショールーム

他にも…お見積もりに伺った際に「足場を無しにしてさ、梯子で補修工事できない?」と言われることもありました。

梯子は職人の両手の自由がきかないことと、安全性の面からよほど簡単な工事箇所でないかぎり行いません。

いくら工事費用を安くするためとはいえ、職人の安全性を無視するわけにはいかないのです。

 

また防水材について、防水材=雨漏りを止めると思い込まれている方も。

「あそこに小さい雨漏りがあるからさ、防水材塗って雨漏りが染み出ないようにしてもらえない?」

と言われたこともありました。

防水材は、あくまでも雨漏りの経路を絶って、補修工事をし、下地調整をした上で初めて効果が発揮されます。

補修もせずに雨漏りしているところを塞いだら、出口を塞がれた水が今度はどこから噴き出すか分かりません。

 

こうした、1箇所だけにスポットライトを当てた考えは、工事を迷走させることになります。

細かい点だけに注目をして、工事の全体を見ていないからです。

僕たち塗装職人は、プロだからこそ適当な工事はできませんし、しません。

きちんと最後まで完結出来る、全体をうまくおさめた工事をいつも心がけています。

 

なぜ他社の工事方法で塗装職人の工事ができないのか

 

最近では、ネットに沢山の塗装工事についての記事や動画などがあり、みなさんそうした情報を知った上でお見積もりにいらっしゃいます。

もちろん、塗装工事をする上でそうした知識は必要です。

しかし、多くの方は偏った情報や値段の事だけに着目して、それ以外の大事なことを無視してご依頼に来る方がいらっしゃいます。

最も多いのが、工事費用についてです。

「〇×塗装さんはこういう工事をやってこの値段だったよ。お宅もこの工事方法で安くしてよ」とおっしゃることが…。

これには、本当に困ってしまいます。

 

他社さんのやっている工事内容というのは、材料、職人の質、そして工事へのアプローチ方法すべてが違います。

もしも他社さんの工事方法を良いと思うのであれば、それらを提案している業者で工事をすべきなのです。

なぜなら、その工事方法を得意とする業者なのですから。

 

他社のやり方というのは、全ての業者の工事内容には当てはまるわけではありません。

パッと見同じ工事方法に見えますが、業者によって細かい工事内容の差があります。

この差が、金額にも繋がってくるのです。

例えば、上記であげた検査や点検などはその最たるものでしょう。

塗装職人の工事内容も、作業に照らし合わせてはじき出された工事費用ですので、安くするということは、何かしら工事の質を落としたり、検査や工事工程を無くしたりすることに繋がります。

僕としては、できれば金額だけを見るのではなく、工事内容も合わせて見て頂ければ…と思うのです。

 

今回のブログで紹介した、足場解体前の最終検査と、足場解体後の点検ですが、私たち塗装職人はプロだからこそ、しっかりとクオリティを保つ工事を追求しています。

関連動画 このマンションの施工動画

 

是非工事の内容について調べたり考えたりする際は、様々な方向から検討してみて下さい。

工事の値段だけではなく、家の状態、工事の内容、工事の方法。

これらに向き合うだけでも、より良い工事を行うことが出来ます。

 

その上で、私たち職人の声に耳を傾けてくだされば、きっとお客様が真に望む工事が出来るはずです。

 

マンション補修塗装工事とクオリティを求める工事とは

By コンクリート, タイル, 外壁, 防水担当の日誌

前回の工事の続きとなります。今回はいよいよ本番の塗装工事です。

塗装工事をする際に、いつもお客様の問題点を補修できる工事内容ができれば…と考えていますが、そこにはさまざまな方法と材料の種類があります。

今回は、そんな工事の方法と費用の関係性についてのお話です。

〔関連記事:前回のブログ〕

雨漏り補修を視野にいれた塗装工事前の作業とは

鉄板屋根の塗装 

 

鉄板屋根の塗装は、ただ屋根を塗装するだけではなく屋根用のフックボルトの防水パッキン、俗に言う止水パッキンの防水処理もします。

なぜなら、止水パッキンは日差しで劣化するからです。

また、屋根を止めているフックは鉄素材なので、サビ予防のためにフックボルトキャップなどが必要になりますが、屋根が広ければ広いほどものすごい数のフックボルトキャップ交換となりますので、そこには費用がかかってきます。

このフックボルトキャップ、職人の手でひとつひとつ被せて止めていくため、非常に手間も時間もかかり、よほど潤沢な工事費用が出ない限り難しい方法です。

そこで、でてくるのがソフトクリーム状にフックにシリコンを被せて覆う工事となります。

フックボルトキャップよりも費用を抑えることが可能です。

とはいえ、フックボルトキャップとまったく同じ効果かというと、そこは違います。

例えるのであれば、うなぎにも松竹梅があるように、フックボルトの工事にも松竹梅があるといえばお分かり頂けますでしょうか。

すべておいしく食べられるうなぎではありますが、等級が違う。

つまり、同じフックボルトの保護だとしても、その効果はやや違うのです。

 

それでも、まったくやらないよりは遙かに効果を発揮します。

予算ももちろんではありますが、目的に見合った工事が何よりも大切です。

〔関連動画:折板屋根を塗装技能士の塗装職人が施工しました〕

 

外壁の塗装

 

外壁は、タイル面をセブンSS、ALC面にはラジカル制御型塗料で塗装を行いました。セブンSSは、タイルの上にゼリー状の膜ができるような仕上がりになるため、タイルの割れを防ぐことが可能に。これは通常のタイル塗装よりもタイルを守る効果がアップしますが、もちろん通常よりも費用がかかり、見た目がすこしでこぼこした仕上がりになるためお客様によっては選ばれない方も。

それでも、この先10年タイル割れを回避したいのであれば、この工法はベストだと言えます。

また、タイルの壁面は目地が少なく割れやすい状態だったので、目地を作り力の逃げ場を設けることで割れを軽減できるようにしました。

こうすることで、さらにセブンSSの効果を向上させることができます。

〔関連動画:セブンSSの施工動画〕

そして、ALC壁部分の塗装は通常の弾性塗料ではなく、ラジカル制御型の塗料、つまりは壁の表面でおこるチョーキング現象を抑える効果に秀でた塗料を選びました。

そもそも、このチョーキング現象とはなんでしょう。

 

たまに壁の表面を触ると、まるでチョークのような白い粉が手や服についたことはありませんか?あれがチョーキング現象です。

壁に塗料の中にある酸化チタンに紫外線が当たることでラジカルが発生し、これが元で壁の劣化状態であるチョーキング現象を引き起こすのです。

〔関連記事:劣化と補修 チョーキング〕

劣化症状

外壁塗料の劣化は、雨などをはじく力が弱まり水の浸入を許し、雨漏りの可能性がでてきます。

こうした紫外線による壁の劣化を抑えるための塗料が、ラジカル制御型塗料なのです。

いろいろな塗料がありますが、外壁の紫外線の当たり具合や状態を考えると、これもお客様が選択できる範囲の中でベストだったと言えます。

ちなみに廊下天井の塗装もしていますが、こちらは同じ白で塗っているものの、別種類の塗料となります。

なぜなら、天井は水蒸気やタバコのヤニなどが付きやすいため、透湿性に特化した塗料が必要なのです。

これで外壁の塗装は終了となります。

次は、高架水槽といったイレギュラーかつ、マンションなどでは多い塗装内容についての紹介です。

より塗装効果を高めるための工事をしましたので、ご覧ください。

 

高架水槽の塗装

 

高架水槽の塗装は、専用仕様の塗料となります。

日本ペイントから発売されている、紫外線を通さないタイプのもので、下塗り剤、上塗り剤ともに専用の塗装方法があるのです。

また、ここでは金属部分の補修にサビスタを使いました。

サビスタとは、金属が組み合わさっていてサビを落とすためのケレンが出来ない場所でも、錆止めの効果が期待できる材料です。

 

高架水槽はそもそも中に水をためるもので屋外設置のため、サビは大敵。

鉄骨階段などにもこのサビスタは使われるのですが、錆止めとは持ちが違います。

ちなみにいわゆる錆止めは、サビを遅らせるだけで、完全に阻止するわけではありません。

仕様書をよく読むと、補修塗りが必要で2回錆止めを塗る必要があると書いてあります。

さらに、この錆止めは2年に1回塗装が必要です。

 

鉄部は建物の至る所に使われているため、その度に足場を組む必要がでます。

これでは、いくらお金がかかるかわかりません。

このサビスタは、錆止めに比べれば値段の高い材料です。

しかし、2年に1回足場を建てて錆止めを塗り直す工事をすることを考えれば、ケレン補助材サビスタのほうが安いと言えます。

しかも錆止めの場合は、きっちりケレンをかけていないところは、錆止め材が上手く塗装面に乗りません。

ここでも、サビスタの方に軍配があがります。

金額=クオリティというわけではありませんが、高い薬剤には高いなりの効果があるのです。

 

塗装工事でつかう塗料と費用の関係性とは

 

前回のブログも含めて、屋根、ALC、タイル、廊下天井、高架水槽などそれぞれ、箇所にあった塗装というものがあると紹介して参りました。

実は、外壁や屋根などさまざまな箇所のトラブルに対応する補修材や塗料というのは、数多く良いものがあります。

僕は、いつもさまざまな塗料について勉強をしています。

 

お客様に最適な塗料や補修剤をご提案できるように、材料についてメーカーに話を聞きに行き、実際使っている職人にも意見を求め、工事後の家の状態や経過などにも注目します。

ある意味、塗装工事における薬剤師のようなことができればと考えているからです。

〔関連動画:この工事の全行程〕

 

お客様の直したい箇所を聞き、そこに適切な塗料をご提案する。

こうした提案の最大の妨げは、ディスカウントを求められることです。

なぜか、塗装工事というのは安いところでお得に工事をするのが重要視されています。

もちろんボッタクリと言われるような悪質な業者もありますので、お客様が業者を選ぶ際に肩の力が入ってしまうことは分かるのですが、弊社の場合はこうしたブログや、これまで積み重ねてきた会社としての歴史や経験、工事や材料についての知識といった、「塗装職人ブランド」があります。

ですので、提案した工事を「安くしてよ」と言われてしまうと、その安さ合わせになり、安価な材料と工事方法をとるしかないのです。

 

なぜなら、400円だして安い牛丼を食べられたとしても、400円で高級料亭のすき焼きは食べられませんよね?

高級料亭に行って、「400円ですき焼き食べさせてよ」と言ったとして、だれが喜んで出してくれるでしょうか?

少なくとも、食材の質を落とさずに400円ですき焼きを出したら数日で店が傾いてしまうでしょう。

塗装も同じです。高い材料を使う以上は工事費用も高くなるのです。

 

もしも、サビスタなどそれなりの金額の材料を使っているのに、安い工事費を業者から提案されたら、それこそ疑わなければなりません。

それは、希釈して薄く塗っている可能性があるからです。

どんな業者も、自分の会社がマイナスになってまで仕事をしたいという人はいません。

 

きちんと対価が支払われるからこそ、職人は良い仕事をしますし、会社も成り立ちます。

サビスタは先ほども書きましたように、非常に優れた材料なのでそれなりの費用がかかります。それなのに、他と比べて工事費用が安い場合は、薄めたり薄く引き延ばしたりして使っている可能性が……。

クオリティを求めるのであれば、それなりのお金を掛けることは必要です。

 

僕は、お客様に提案する際に高い材料から提案するということはしません。

必ず、結果を出すために最良の方法を提案します。無駄にお金や手間をかけるようなことをしても、それは家のためにはならないからです。

今回の塗装工事も、各所に合った塗料をいろいろと提案させて頂きました。

お客様が、それぞれの工事に見合う金額を了承され選ばれたことで、今回さまざまな工夫を凝らした塗装が可能になったのです。

〔関連記事:今回の工事・足場設置前〕

足場を建てる前の準備 植木の剪定と現場の確認

塗装職人の工事は、高い塗料を売りつけ、わーーーっと勢いで工事を決断させるようなことはしません。

必ず、しっかりと説明し、考える時間をたっぷりと取り、お客様に判断をお任せします。

それが、良い工事をするために大切なことだからです。

 

僕はいつも、雨漏り工事の依頼をされると「止められるか分かりません」とお答えします。

一見、無責任な言葉に聞こえるかもしれませんが、実はこの言葉の裏では「なんとしても止めたい!原因を突き止めたい!でもプロであるがゆえにこれだけ難しい雨漏りについて適当なことは言えない」と考え、絞り出したのが「止められるか分かりません」なのです。

〔関連動画:担当した防水工事〕

いつでもプロとして、最良の方法を提案します。

それが職人としてのプライドだからです。

これからも塗装職人の品質を実感して頂けるよう、がんばりたいと思います。

 

雨漏り補修を視野にいれた塗装工事前の作業とは

By コンクリート, タイル, 外壁, 防水担当の日誌

前回ご紹介しましたマンションの補修塗装工事の続きです。
今回は下地調整、そして雨漏り補修についてのお話をいたします。

こちらの建物は前回もお話したとおり、建物の前面がRを描いている壁のため足場を建てるのに非常に苦労をしました。

また、壁がALC造になっているのですが、通常のALCよりも造りが複雑で、足場を建てるためのアンカーが打てないため、気をつけなければならないことが…。
そんな難しい現場なので、塗装前の補修工事をするにあたって慎重かつさまざまな工夫をしました。

 

〔関連記事:前回のブログ 足場を立てる前の準備〕

足場を建てる前の準備 植木の剪定と現場の確認

 

足場つなぎの打てない外壁で難しいこととは

通常足場を建てる際には、『足場つなぎ』…つまりは壁に足場を固定させるためのアンカーが必要となります。
しかも今回は、壁面がR状でしたので尚更です。しかし壁自体が脆い状態で、ALC用のアンカーさえも打てず、補助をいれずに足場を建てることになりました。


そのため、足場が風にあおられないよう、張り巡らすメッシュシートを小まめに巻き上げるなどが必要です。
メッシュシートは、工事が続く場合は張ったままでもいいのですが、工事と工事の合間で間隔が空く場合や、ゲリラ豪雨がありそうな時や、台風予想がでた時はメッシュシートを巻き上げます。

アンカーが打てないからこそ、そうした細かな作業が安全な工事をするために重要なのです。

〔関連動画:足場のアンカーを説明〕

補修工事前の必須調査とは

さて、高層の建物は足場を建てたあとすぐに行うことがあります。それはパルハンマーを使って行う調査です。この調査では、塗装面が下地から剥離しているのかを調べます。
調べることで、補修が必要な箇所が明確になるのです。

見積もりの際に、家のまわりをぐるりとまわり外壁のクラックなどを見ておおよその補修箇所の予想をたてるのですが、これはあくまでも見込みで、建物を覆うタイルの割合などから爆裂の数を計算で出しています。

〔関連動画:パルハンマーを使った調査〕

補修工事はあくまでも実数精算のため、予想とは費用が違う場合も…。
しかし、こうした工事すべき場所をしっかりと家の傷んでいるところを把握することが大切です。
把握した上で、工事予算がオーバーしてしまう場合は、行うはずだった廊下などの工事を翌年に回し、今回は破損箇所の補修を行うなど…工事の内容をお客様と詰め、最終的な補修箇所を決定します。

今回の建物の場合は、最後にタイルの上にセブンSSを塗るため、細かなクラックは補修せずにセブンSSでカバーすることになりました。
(セブンSSは仕上げるとタイルの上に厚めの膜ができます)
工程のすべてを考えて、必要な工事と後回しに出来る工事をお客様に判断して頂くことが、良質な工事をするために何よりも大切です。

 

補修工事その1

パルハンマーで検査する際に、補修が必要なクラックなどには印やテープを貼り付けます。こうすることで、補修工事をする職人がどこを修復すればいいのか分かるのです。
こちらの写真をご覧ください。

Pという文字は、ポイントをあらわしています。またテープの色によって指示が違うので、職人はその指示にしたがって、一つずつクラックなどを補修します。

その後、下地調整をして補修材によってできた壁の段差を取り、塗装しやすいように平らにしました。
下地調整をした中で、特徴的な補修工事としては、こちらの基礎部分です。

今回補修を担当した職人が、いわゆる昔ながらの手技で基礎の割れを補修しました。
基礎はコンクリートなどで出来ているため、モルタルなどで補修を行う必要があります。

モルタルは、砂とセメントを使ってよく混ぜあわせ最後に水で堅さを調整するのですが、最近ではこうしたモルタルを作れる職人が減っていることをみなさんご存じでしょうか?
このモルタル作りは、気温や湿度も関わってくるため、職人が目で見て、手の感覚を頼りに作ります。

水を扱うため、軍手もせず素手で触りながら調整するのです。
こうすることで、補修するのに的確なモルタルが出来上がります。

今回は小手だけで、このように美しくしあげました。1回だけではなく、何回も塗り込めることで、しっかりと補修をするのです。

最近は職人も大分変わってきましたので、これだけモルタルを操り、コンクリートも打てる人はなかなかいません。(この職人は土間打ちもある程度やります)

塗装職人は安さに走らず技術を大切にする会社だからこそ、こうした手技を持った職人が工事に携わるのです。

 

補修工事その2

次にタイルの補修工事を行いました。
こちらは、割れた部分のタイルをはがし、その後下地をつくりタイルを貼っていきます。

20数年前のタイルなので、普通は色合わせが難しいのですが、弊社の職人はドンピシャにタイルの色をあてはめ、オーナー様も非常に喜んでいました。
今回はタイル補修とともに、雨漏りの補修も。

まずはクラックや、タイルなどの割れ部分など取り除き掃除をします。

雨漏り原因として考えられるところを接着材プラス下地材でしっかりと塞いで、下地のシールも打ち、最後にタイルを貼り込み、タイルの貼り込みように覆った紙を濡れたスポンジでなでて、シールを剥がし完成です。

〔関連動画:タイルの張り替え〕

タイルの貼り込みが終わったら、目地材も打ち込み、こちらも余分な目地材はスポンジで拭うことによって目地部分にしっかりと目地材が入ります。ただ、タイルの上には目地材がうっすら残ることもあるので、洗浄が必要です。そこで、高圧洗浄を行います。

雨漏りを防ぎ、下地や目地材もしっかりと打ちましたので、高圧洗浄することで散水試験も兼ねることが可能となるのです。

雨漏りのある建物の場合、補修工事を行ってから高圧洗浄をすることで、散水試験を兼ねることができます。
といっても、この散水試験だけで雨漏りが止まったと言えるわけではないのです。
なぜ散水試験だけではだめなのか、雨漏りを根治させることの難しさについてもお話しいたします。

 

高圧洗浄を行う理由について

高圧洗浄を行う際に、散水試験を兼ねることについてはお話しいたしました。
それ以外に、高圧洗浄をおこなう最大の理由は、塗料が密着しやすいように壁面や屋根についた汚れを取り除くことです。

また、補修する際にでた余分な補修材などもしっかりと落とします。

(塗装箇所ではありませんが…洗浄のついでに、カーポートや階段部分にかかっている屋根のアクリル板も洗うことも。しかし、こちらの汚れは日光で焼け残ってしまっているため洗っても落ちないことが多いです。)


また屋根上など高圧洗浄で落としにくい汚れは、薬品を使って洗浄する場合も。

高架水槽、外壁、窓周りのシール部分、シャッターなど、すべてをしっかりと洗うことで塗装しやすくするのです。

 

さらに高圧洗浄する際には、建物の下から順に水をかけるよう気をつけなければなりません。
これは散水試験を兼ねている場合に大きな意味を持つのですが、上から一気に水をかけてしまうとどこから雨漏りしているかが分からなくなってしまいます。
雨漏り箇所が屋根か外壁かを見分けるためにも、下から順番に洗っていくことが重要なのです。

〔関連記事:マンション大規模改修の高圧洗浄〕

マンション大規模改修で高圧洗浄

雨漏り補修工事の難しさ

ここまで高圧洗浄時に散水試験を行うことをご説明いたしましたが、高圧洗浄時に漏れている箇所が無いからと言って『雨漏りが止まった』とは言えません。
というのも、雨漏りの原因箇所は、破損している箇所から単純に雨が入り込む場合と、台風などの風の吹き方で雨が入り込み雨漏りとなる場合もあるからです。
そのため、工事が終わってからも雨漏りの経過観察は続きます。

たまに、ネットの広告などで「雨漏りを100%止めます」と銘打っているのを目にします。
僕からしますと、これは非常に怖い広告です。
なぜなら、雨漏りを止めるためにたった1回の工事結果では、根治したとは言い切れません。

弊社で雨漏り補修を請け負った場合は、工事が終わり、ゲリラ豪雨や台風なども3〜4回ほどやり過ごし雨漏り症状がでないことで、なんとか雨漏り原因を塞ぐことができたと判断します。
どんな家でもそうですが、家が古くなっていくのを新しくすることはできませんし、雨漏りをして腐った箇所を乾燥することはできても、元の状態には戻りません。
だからこそ、長期で経過観察することが必要なのです。

また、雨漏りは補修工事をしていくと、ほつれが出てくることがあります。
水の出口を塞いでしまったが故に、水の行き場がなくなるなどして他の場所に不具合がでるのです。だからこそ僕は雨漏りの補修工事は切りきざんでつなぐ大手術ではなく、温存できる補修をできればと思います。

〔関連動画:雨漏りの悩みから解放された3度目の屋上防水〕

非破壊的措置をとることで、雨漏りを止めたいのです。
また雨漏り原因は様々ですので、僕は職人だけでなく建材のメーカーや商社にも話を聞きます。
そうして原因などを追求して考え抜くことで、なんとか雨漏りを根治へと導くことができるのです。

雨漏りを止めることがいかに大変かを知っているからこそ、「100%止めます」という言葉を怖く思います。
今回の雨漏り箇所も、工事中に散水試験も行っていますが経過を見ないことには止められたのか止められていないのかと言うことは分かりません。
それでも、そうした中で最良の工事をおこなうことで、お客様の希望に応えていきたいのです。

 

お客様のご希望に応えるために塗装職人ができること

今回、補修工事を行う際に、壁にツバメの巣がありました。


オーナー様から「ツバメの巣は縁起物だから、巣立ってから壊して欲しい」とリクエストがあり、ぎりぎりまで様子を見ることに。
結果としては、なんとか高圧洗浄前に巣立ちが間に合い事なきを得たのです。

もちろん、ぎりぎりまで他の作業を進めるタイミングを見ていましたが、最終的に工事が止まることになっていたら、お客様に最終的な判断をお願いしたかと思います。
工事が伸びれば、その分だけ人工代などがかかり、しいてはお客様の負担となるからです。
工事は、その時折でお客様に判断していただくことが多くあります。

私たちは決して工事の方法を押しつけることや、勝手な工事をして法外な値段をふっかけるということはしません。

今回も、パルハンマーで検査の結果、見積もりよりは多い破損箇所があり、お客様に修復するところ、今回は後回しにするところなどを選んで頂きました。
そうした判断をする際にも、寄り添い丁寧な提案をするのが我々塗装職人の役目です。

本番工事前の塗装準備ではありますが、ただの下地調整や高圧洗浄であっても、お客様の家に合った工事を完成させるために、さまざまなご提案ができるよう、これからも工事に取り組んで行ければと思います。

〔関連動画:こちらの現場の工事全工程〕

 

足場を建てる前の準備 植木の剪定と現場の確認

By コンクリート, タイル, 外壁, 防水担当の日誌

塗装工事をするために、何よりも大事なことはしっかりと安定した足場を建てることです。
今回は足場を建てる際に必要な、環境を整えることを中心にお話したいと思います。

足場を建てるために必要な剪定

 

大きな建物の周りは、比較的植物が植えられていることが多く、足場を建てる障害になることが……。
そこで、塗装職人ではご依頼があれば剪定を行います。

 

剪定を担当するのは弊社の内藤です。彼は大工と植木職人という経歴を持ちますので、植木の剪定についてもまさにプロフェッショナル。
ただ木を伐採するのではなく、切断面が傷まないための処理もします。

また、今回はオーナー様からご依頼を頂きましたので、足場を建てる前と、足場を解体した後の2回に分けて剪定いたしました。

最初に足場の邪魔になる木を伐採し、足場解体後に木の形を整えスッキリとした仕上がりに。

もちろん、伐採した木の処分も致します。

この処分は個人で行おうとすると大変な作業ですので、剪定した後すぐに建物周りがすっきりとするのです。
さらに、伐採後はブロアとホウキを使って綺麗に掃除します。

塗装職人では、工事だけではなくこうした家周りのことも合わせてご依頼頂くことが可能です。

 

〔関連記事:前回のこの建物のブログ〕

マンション大規模改修 次々とおこるトラブルを乗り越えて

足場を建てるためにアクリル屋根板の撤去

 

カーポートや、マンションの階段部分などにアクリル屋根が付いている建物も、足場を建てる際には注意が必要です。
そのほとんどが、足場を建てる障害となるため、アクリル板を外し、骨組みも邪魔になる場合は撤去をします。


ここで大切なのは、後ほど元に戻せるようにするということです。

〔関連動画:安全な足場を組むためのひと手間〕

そのため、アクリル屋根の構造を熟知している必要があります。
はずす手順を間違えて、壊してしまってはいけません。

先ほども書きましたが、弊社の内藤は大工でもありますので、こうしたアクリル屋根などは取り付け工事もお手のものです。

今回もアクリル屋根が二箇所ありましたので、取り外しを行い、工事後はしっかりと元通りにしました。
足場は建物に密着して建てることが何よりも大切です。そうすることで、職人たちが安定して足場に立つことができ、作業もスムーズになります。

スムーズな動きは、塗装の効率もあげるので本当に大事な基礎なのです。

足場を建てる前に現場の環境も熟知することが必要

 

今回、一番の難関はR状になった建物の壁面、さらに次いでの難関はその真下にある狭い駐車場へ続く私道でした。
こうした現場の把握も、足場を組むためには大切です。
R状になっている壁面の場合、通常壁にアンカーを打つのですが、こちらの建物はALC構造といい、壁面が少々脆いタイプの建物でした。


カラメルなどパリパリの飴を想像して頂くと分かりやすいのですが、それくらい薄い壁になっています。
ですので、アンカーを打っても効くかの問題があります。

また、上記の写真の下部を見て頂くと分かるのですが、入り口に続いている車椅子用のスロープなどがあります。そもそもこのスロープは、サイド部分が立ち上がった普通のスロープだったのですが、駐車場から車が入庫する際に多くの車がこのスロープの側面にこすってしまったのだそうです。そこで、車が乗り上げられるように、急遽スロープの側面をなだらかに作り替えたのだとか。

このスロープ位置でさえ多くの車がこすってしまったということは、R状になった壁に沿って足場を建てた際に、車が足場に衝突する可能性がある…ということです。
そのため、パイロンを立てるなど足場を建てるための対策をいろいろと考えたのですが、テナントの方からの意見などもあり、かなり足場の建て方について難航しました。


こうした足場を建てるための段取りは、足場班が現場に入ってからでは作業を止めることになってしまうため、手遅れになってしまいます。
そのためにも、こうした下準備をして調整することが何よりも大切なのです。

〔関連動画:足場の設置から解体までを5分で紹介 〕

足場は良い塗装工事をするための大事な基礎

足場は高さのある建物であれば、どの現場でも必要です。
そして足場班にも組む技術に優れた業者とそうでない業者があります。
これも工事のクオリティには大きく響きますので、弊社では選りすぐりの足場班が足場を建てているのです。

一見すると足場なんて塗装の土台みたいなものなのだから、簡単に組んで安く上がれば…と考えるお客様もいらっしゃるでしょう。
しかし、塗装工事をしっかりとやろうとするのであれば、足場や、こうした植木の剪定などに規定の料金をかけることが、良い塗装工事をする近道になります。

今年は、本当に怒濤の一年でした。コロナだけなくウクライナ情勢もあり、材料代の値上がりが激しく、現場としても営業としても非常に苦労を……。
いくら僕たちがしっかりと直したいと思っても、結局お客様が出して下さる予算のなかでしか塗装工事はできません。
足場ひとつ、木の剪定一つではありますが、こうした小さなことが積み重なって工事は成り立ちます。

〔関連動画:こちらの建物の全施工〕

今後もお客様にしっかりと現状をお伝えしながら、ご依頼頂いた内容には全力でお答えしていきたいと思います。

本年は誠にありがとうございました。
また来年も、塗装職人を宜しくお願い致します。

マンション大規模改修 次々とおこるトラブルを乗り越えて

By コンクリート, タイル, 外壁, 防水担当の日誌

本日から、新シリーズとなります。
今回は規模の大きなマンションの改修工事です。
こちらのマンションの場合は住居だけでなく店舗もあるため、前回までのシリーズで紹介していた建物よりも規模が大きく形も複雑な敷地にある建物でした。

今回の工事で一番困ったのは、次々と起こる工事中のトラブルです。
古い建物であるということや、オーナー様と店子の方の意見が合わないことなどで、工事がストップすることも。

そうしたトラブルを乗り越えながら完工しましたので、まずはどのようなトラブルがあったのかについてお話ししたいと思います。

R状になった壁面と足場を建てにくい敷地

こちらの建物は、前面がR状になっていてタイルが一面に敷き詰められていました。
Rになっている壁面というのは、通常の外壁よりも足場を建てることが難しくなります。面に対して垂直に立てることができないため、足場を細かく立てる必要がありますし、不安定な足場だからこそ、壁面にアンカーを打って安全を確保する必要もあるのです。

しかし、こちらの建物、アンカーが打てませんでした。


さらに敷地に問題があり、駐車場に足場を建てる必要があったのですが、こちらも縦列駐車でないと停められないような狭い駐車場だったため、足場を建てると車が足場に追突してしまう可能性が・・・。

そのために、パイロンなどで注意喚起をしたかったのですが、マンションに店子として入っている方から、「パイロンをおかれるのは困る」とクレームが入ってしまったのです。

足場を建てることの難しさ、敷地の問題、注意喚起ができないことなどなど。
足場を建てる段階から、本当に問題が山積みでした。

あわせて読みたい〔前回の大規模修繕ブログ〕

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

増築された仕様の違う階段

この建物には階段が3箇所ついており、そのうち2箇所の階段はテナントさんの正面口とスタッフ用入り口として使っているもので、もともと建物に建て付けてあったものとは1つは別でした。
なので当然仕様も違い、もともとあった階段と同じ工程で工事することができません。


また難しかったのは、色決めです。

施工内容や色味についてもオーナー様を通してテナントさんの方にご意見も頂いていたのですが、途中からオーナー様とテナントさんの意見が合わなくなり、色の変更がでるなどして現場が大混乱に。

こうしたトラブルも、工事の流れを止めてしまうので工期に大きく関わってきます。

合わせて観たいYouTube〔駅前の営業中テナントビルの大規模改修工事 足場・補修・防水・塗装 全行程〕

工事の期間

工事の期間についても、いろいろとありました。
通常、工事が始まる前に契約書などで工期を提示します。しかし、この『工期』というのは非常に予測しにくいものです。
というのも、トラブルが一つでも起きれば工期は後ろに倒れていきますし、ましてや狭小住宅などで、足場をお隣に建てなければならないにも関わらずお隣との仲が悪い場合、足場を建てることすら時間がかかってしまうことも。

また工事中に、思いも寄らぬ雨漏りや建物の破損を発見することもあります。
業者によっては、あまりにも状態がひどく手の施しようが無い場合は、時間や手間、そして費用をかけることができないため、そのまま補修箇所を放置するほどです。

これは、次で説明する足場を組む期間にも関係する話ではあるのですが、補修期間が足場の建設期限に間に合わず、しかもお客様の方で「これ以上お金はかけられない」と言われてしまいますと、修繕をせずに工事を終えるしかありません。


今回の工事でもトラブルが続いたため、あわや補修ができないかも・・・という場面はありましたが、最善を尽くしました。
塗装職人では、途中で工事を終えると言うことが無いように、どんなにひどい雨漏りだったとしても、なんとか状態を改善できるようにします。

しかし、その分やはり工事の時間がかかってしまうのです。
そうなりますと、予定していた工期をオーバーしてしまうことが・・・。

今回も、さまざまな理由で工事が止まってしまったため、工期が変わりました。
これから工事を検討されている方は、工期をできるだけ予想通りにしたいとお考えでしたら、どうかこうしたトラブルと工期の因果関係を胸にとどめて下さい。

私たち業者は、できる限りお客様のご希望にそって工期を守りたいと考えています。
そのためには、お客様や入居者様にご協力頂くことが工期を予定内に収めるために、何よりも大事なのです。

足場を建てるのは2ヶ月以内に

上記の文章でも少し触れましたが、足場を建てる期間について・・・ここで少し補足したいと思います。
塗装工事をする際、足場を組んでから解体するまでの期間は、どの業者も2ヶ月が目安です。

というのも、足場を2ヶ月以上建てておくと、工事の申請手続きが複雑化します。
職人の詰め所などが必要になったり、労働安全関係の確認事項も増えたりするのです。


そのため、こうした中規模なマンションなどの場合は、足場を2ヶ月以内におさめるため突貫工事をします。
この突貫工事と言う言葉ですが、誤解されている方をよく見かけることが・・・。

突貫工事と言う言葉は、工期を2ヶ月以内に収めるために手際よく作業を進めるための言葉で、『やっつけで適当にやるという』意味ではありません。
あくまでも短い期間で一気に完成させる工事というのが本来の意味です。

もちろん、そのためには施主様や居住者様のご協力がないとできません。
施主様に工事をご理解頂き、必要な足場を建てるためにご協力を頂くことで、足場の期限を守ることができる突貫工事をすることができるのです。

問題の多い建物でも塗装職人ではしっかりと工事致します

今回の現場は、工事が始まったことで様々なトラブルが表面化し、工期が伸びてしまう可能性や、足場の建て方によっては安全が確保されないため、補修工事ができなくなる可能性などがありました。

そんな工事が先日無事完工したので、今は少しホッとしています。

次回からのブログは、こうしたトラブルに塗装職人ではどのように対応したのかということと、足場工事、ルーフトップのアクリル板取り外し、折板屋根の塗装、雨漏り工事、外壁塗装、階段への長尺シートの貼り込みなどの工程を詳しくご紹介できればと思います。

合わせて観たいYouTube〔このビルの工程動画〕

 

外壁タイルの防水クリヤー仕上げ材を塗るプラス面とマイナス面

By タイル, 外壁, 防水担当の日誌

このシリーズ最初のブログでご紹介しました外壁の防水材、セブンSSのご説明を致します。
外壁に塗る防水材は、実のところパラペットの屋根などに敷く防水材と同じではありません。

今回は、防水材との違いや、外壁タイル部に防水材を塗るプラス面やマイナス面もお話し致します。

〔最初にご紹介した記事〕

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

セブンSSの施工

外壁タイル部の修理と高圧洗浄が終わり、ここからはセブンSSの塗装となります。
高圧洗浄は、散水試験や目地材のほこりなどを飛ばすことも兼ねています。
薬品洗浄をしながら不備がないか確認。

洗浄後は、いよいよ防水材の塗装に進みます。

このセブンSS、便宜上タイル壁面用の防水材と呼んでいますが、正確には陸屋根(パラペット)の上に施工する防水材とは別物です。
陸屋根など平面に敷く防水材の一部は、2液混合や1液混合などで、床の上に流し込み時間が経つと固まる仕組みになっています。

立面と呼ばれる、床から壁へと続いた立ち上がり部分に使う防水材は、床面用のものに、ダレ止め入った防水材で、立ち上がった立面でも付着して固まるものになっているのです。
これがいわゆる『防水材』ですが、壁面に塗るのはこれら防水材とは別物で、防水効果のある『塗料』となります。

新築風に蘇る、5階建てマンション外壁タイルの塗装

壁面に防水を施す場合は、膜厚をつければつけるほど防水の効果が高くなりますので、いかにして塗膜の厚みを出すかということが重要です。
そんな膜厚を作るための塗料として、良く使用されるのがセブンSS。
この塗料は、タイル壁などに適しています。

セブンSSの施工方法は、5回塗りです。
シーラーで下塗りをした後、セブンSSを2回塗り、さらにトップコートを2回重ねます。

さらにセブンSSで塗る際にはマスチックローラーというローラーを使って、わざとボコボコした面に仕上げるのです。これを柚肌塗りといいます。

セブンSSの仕上がりは、少し特殊な仕上がりです。
元の壁面の上に、ちょうどカエルの卵をおおうゼリー状のものを想像して頂くと分かりやすいのですが、少し濁った透明なゼリーっぽい膜ができます。
テカテカした仕上がりになりますし、デコボコとしていますので人によっては綺麗な仕上がりと思わない方もいらっしゃいます。

それでも、こうして膜厚をつけることで防水効果をアップさせるのです。
この仕上がりがどうしてもダメな方もいらっしゃり、誰でもできる工事ではありませんが、タイル壁面の防水工事として、僕はこれをおすすめ致します。

(通常の壁にセブンウォール等がある)
他にも、少しでも壁面を綺麗に仕上げる方法として、柚肌にはせず、セブンSSを三回塗りする方法もありますが、回数が通常の工事よりも増えますので、それだけ料金も高額になります。
このセブンSSを含め、防水効果のある塗料は一つ気をつけなければならないことがあるのです。

防水効果のある塗料は塗った後のことまで考えることが必要

セブンSSなど、防水効果のある塗料を塗った壁にはある約束事が課せられます。
それは、次の再塗装もセブンSSと同等のものを使用しなければならないということです。

一度こうした塗料を使用したらランクを下げたり種類を変えたりすることは、物理的にできなくなります。
なぜなら、メーカーが他の塗料を塗り重ねることを推奨していないからです。

また間違った塗料を塗ってしまうと、せっかく高いお金を出して前回塗ったセブンSSの効果が台無しになる場合も。
それだけ家の建て方と塗料の選び方は、数年後、さらには10年後と未来を見る必要があるのです。

効果だけを考えれば、どんな外壁にも使用したくなりますが、このセブンSSはどの壁にも使えるわけではありません。
セブンSSが使えない外壁にはどのような方法があるのか、そして外壁に防水効果の塗料を塗るには、どんなプラス面とマイナス面があるのか説明を致します。

 

〔セブンSSを解説した記事〕

ALCの特性・構造を理解する 雨漏りしないための補修塗装工事とは? 

 

どんな壁にもセブンSSは有効?

モルタルやコンクリートの打ちっぱなし壁であれば、セブンSSではなく弾性塗料を使用する場合があります。
この弾性塗料は名前の通り、塗った後に高い伸縮性を持つ塗料なので、クラックなどができたモルタル壁には適しているのです。

しかし、気密性が高く(防水に優れている為)膨れの原因となってしまい、一度塗膜が風船のように膨らんでしまうと元には戻りません。(蒸気発泡)などで濃い色は選びずらくなります。

つまり、これらの塗料は剥落防止のような効果もあり、利点も多いですが、壁によっては膨れの原因となり、さらには一度この塗料を使ったら最後まで

塗装工事とはプラス面のためにマイナス面を引き受けること

再塗装のご依頼を頂く際に、その多くは外壁の状態に問題があり、それをなんとかおさめるための塗装工事をします。
そのため、家の状態によって使用する塗料はさまざまですし、工法も一つではありません。
塗装工事は、必ずどこかでプラス面とマイナス面の折り合いをつけなければならないのです。

プラス面としてクラックを補修し、防水効果をアップしたことで、マイナス面として補修工事のあとが目立つ状態で残ることもあるでしょう。
防水効果がアップはしたものの、元の壁よりもゴツい仕上がりになってしまい見た目が劣ってしまう場合も・・・。
再塗装の場合、少しでも壁の問題を抑え家の寿命を持たせるためには、必ずマイナイス面を引き受けなければならないのです。

しかし、マイナス面を引き受けてプラス面が出る工事は、まだ良い方なのかも知れません。

なぜなら、あまりにも元の状態が悪く・・・手の施し用の無い家というのがあるからです。

 

たった一度の間違いが、外壁の未来を決めてしまう

 

ご依頼をして来られる方の中には、大きな誤解をしていらっしゃる方もいます。
それは、家がどんな状態であってもプロの業者に頼めばなんとかなると思っていることです。
しかし、DIYや安い工事を選んだことで、適当なシリコン系のシーリング材を外壁に塗ってしまい、それによって他の塗料を重ねることが出来なくなってしまうと、もはや何も手をだすことはできません。

「なんでプロなのにできないの?」
と言われることもありますが、一度間違った材料を塗ってしまった外壁は、他の材料を重ねても剥がれてしまい、物理的に何もできないのです。

それだけ、外壁と材料には相性がありますし、塗料と塗料にも相性が存在します。
安いことだけを前面に推して建てた家や、DIYで安く済ませた塗装工事。さらには相見積もりを取って、料金の安い業者で行った工事は、下地や塗料との相性を無視することが多いため、その金額に見合った結果がついて回ります。

家の塗装は、いくら後からリカバーしようとしても、元が悪ければおしまいです。
だからこそ、僕は塗料を選ぶ時に慎重になり、材料担当にしつこいほど確認をして、お客様にご提案をします。(担当にはいつも助けていただいています)
間違った塗料を重ねないために。現状をなんとか維持するために。
たとえ結果として、外壁が汚く見えたり補修箇所が目立ってしまったりしたとしても、雨漏りを止め、今後10年お客様が快適に過ごせる家を目指します。

 

〔セブンSSの施工例〕

新築風に蘇る、5階建てマンション外壁タイルの塗装

外壁の防水工事はそれぞれの専門職人、お客様との連携がなによりも大切

工事をしていると天候や状況で順番通りに工事が進まないことがありますが、その際に職人同士がお互いの仕事をリスペクトしていれば、現場は上手く事が運びます。
特に防水工事の場合は、手順次第で防水をダメにしてしまうことがあるのでなおさらです。
逆にお互いの工事にリスペクトがなく、意思の疎通が取れていないと、せっかく防水工事を施した壁に、設備他の方が穴を開けてしまい、防水を台無しにしてしまうなどトラブルが起こります。(使ってほしくないシリコンなどを適当に施工する人たちもいる)

そうならないために、各担当の初日には現場に立ち会い、現場で打合せします。
施主様とも膝を突き合わせて工事内容を確認して内容を詰めるのが大切なのです。

今回こちらの建物に施したセブンSSは、壁面の防水効果を求める上でベストの選択だったと思っています。
見た目はたしかに少し悪くなったと思う方もいると思いますが、施主様はその結果は引き受けてくださいました。
多少の見た目よりも、今後も雨漏りしない仕上がりをめざして下さったことで、塗装職人とお客様の思いが足並みを揃えられたのだと思います。

このブログを見ていらっしゃる方が、塗装工事をする際にもきっと同じ問題がついて回ります。
そんな時、どこまで工事のマイナス面を引き受けることができるか、一度考えてみて下さい。

そうすれば、おのずとベストな工法が見えてくるはずです。
実りある工事をするためには、それが一番近道となります。

 

ALCの特性・構造を理解する 雨漏りしないための補修塗装工事とは? 

By ALC, シーリング(コーキング), タイル, 外壁, 防水担当の日誌

今回のブログも、前回書きましたお客様宅のお話です。

1階がお店で、陸屋根の上にオーナー様のご自宅があるこちらの建物。

今回は、ALC壁の塗装について書きたいと思います。

〔前回のブログです〕

塗装、防水、カバー工法、長尺シートの大規模改修

ALCは地震に強いと言われていますが、それにはさまざまな理由や、ALCだからこそ気をつけなければならないことがあるのです。
今回、施主様はALCの特性を理解した塗装材や防水材をご選択なさいましたので、そちらについてご紹介します。

ALCとはどんな建材なのか

ALCとは、「Autoclaved Lightweight Concrete」の略称です。日本語訳をすると「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」。
外壁材として使用できる素材でありながらも、軽いため地震などの揺れに強く、建物の外壁材として重宝されています。

 

ところが、このALCには大事な決まり事が一つあるのです。
それは、仕上げの際に皮膜=表面のコーティングをしなければならないということ。

外壁の中に水が入り混まないように、塗装やシーリングなどをして皮膜を施すことが必要なのです。

なぜならば、ALCの中身は軽石のようになっており、中身がむき出しになると水を吸って柔らかくなります。

シリアルに牛乳をかけると柔らかくなりますよね。それと同じです。
そのため、ALCは亀裂が入ってもダメ、シールが剥げてもダメ、塗膜が剥がれてもダメ。
さらには、エアコン用に外壁に穴を開けるのはもってのほかなのです。

〔関連記事:ALC塗装について〕

ALC塗装

 

ALCは地震に強いけど割れやすい?

さらには、このALCは割れやすい素材でもあります。
先ほど「地震に強い」と書いたのに、割れやすいというとおかしな感じですよね。
実はALCが地震に強いと言われているのは、軽さが理由です。
地震が起きても、建物自体が軽いため揺れが少ない…というのが「地震に強い」という表現となります。

 

ALCは、パネルとパネルの間に、60ピッチくらいにシーリングを打って、壁を壁の隙間を繋ぎ、建物のムーブメントについて行けるようにすることで、割れにも対応することが可能となるのです。しかし、ALCで施工されるお客様が全て細かにシーリングを打っているかといいますと、そうではありません。
ALCの特徴を知らずに、シーリングをあまり打たず、ALCを採用しているお宅をみかけます。

先日も、自宅そばにスーパーがあるのですが、まだ建って3年くらいにもかかわらず、すでに補修の跡が見られました。
外からみると、ALCの建物であることが分かりますので、きっとどこかで雨漏りでも発生したのでしょう。
あまりシーリングも打っていないからこそ、建物のムーブメントについていけず割れなどがでたのかもしれません。

僕がALC構造のお宅を担当する際に、雨漏りがあるときは、必ず上階から見て行きます。
ALCは非常に水が染みやすく、2階に出ている雨漏りの原因が4階部分にあることなどもザラだからです。
ALCはこれらの理由によって、地震に強いにもかかわらず、RCよりも値段が安い建材です。
しかし安いからこそ、RCよりもマメなケアが必要な建材でもあります。

〔関連記事:ALCの劣化症状〕

劣化症状(ALC)

 

意外と多い間違ったALCの外壁工事

上記でALC構造というものがどんな特性があって、どのような弱点があるのかを書きましたので、次はどのような補修工事だと雨漏りになってしまうかと言うことを、ご説明いたします。

ALCは、実際壁材として使用する際は、パネルをパズルのようにくみ上げますが、外壁は家によってさまざまな形状をしているため、パネルをはめるには狭い箇所が出てくることがあるのです。
そうなると、そこに端材をくっつけるのですが、この端材の処理の仕方で、雨漏りに繋がる場合があります。
先ほどもお話ししましたように、ALCはシーリングでジョイント部分を作りながら貼り付けるのが通常です。
ですので、端材にもシーリング材を打てばいいのですが、塗装のフィラーでくっ付けてしまう業者もいるのです。フィラーはデコボコやひび割れを埋めるための下地材で、防水効果はありません。
すると、塗装後にフィラーが切れ、そこから雨水が浸入し雨漏りになってしまうことが……。
さらに、工務店の工事でよく見かけるのが、目地が足りないALC構造の壁です。

ALCは、縦横と目地打ちをするのですが、工務店の多くは横目地だけ打ちます。
本来は、ツキツキといって、突き当たりから突き当たりに目地がクロスするように目地打ちをし、以下の写真のように窓枠まわりもしっかり目地を打つのです。

しかし工務店の場合、窓枠もただ壁にはめただけでシーリングしていない場合も。
こうなってしまうと、ALCの建物はムーブメントに耐えられず割れたり、シーリングを打っていない隙間から雨が入り込んだりして雨漏りにつながります。
せっかく地震に強いALCを選んでも、工事の仕方が不十分では効果が発揮されません。

 

関連動画 一級技能士による鉄骨ALC建物のシール作業

 

 

ALCには柔軟性が不ある分、その上から貼ってあるタイルにも影響が出る場合もあります。
こちらは別の現場の動画ですが、タイルの張り替えとシール、今後のクラック対応として誘発目地を作っています。

 

ALCに適正な工事、補修工事とは

ALCは地震に強いという面がある一方で、水に弱い建材であることをお話いたしました。

それでは、どのような工事が適当なのでしょうか。

それは、できるだけ細かく縦横に目地を打ちながらおこなう工事です。
また補修の際には、打診後外壁の破損部分をチェックし、板間はマシ打ちをし、サッシ周りはシーリングを撤去して新しいシール材を入れ、ALCの上に貼られたタイルの目地は撤去後に打ち替えをし、タイルの滑落部分は補修をし、その上に皮膜となる防水材を被せると良いでしょう。

 

今回のお客様宅では、この最後にかぶせる防水材にセブンSSが選ばれました。

セブンSSは、防水材として非常に良い材料です。
防水仕上げ材なのですが、表面に貼り付けられたタイル割れや目地割れ…つまりはALCのパネルを守ってくれます。
材料の用途として滑落防止は謳っていませんが、塗装するとフィルム状になるため、何もしないよりははるかに滑落を防ぐことも可能に。

セブンSSを使って、下地造りをじっくりすることで、ALCの利点を活かしつつ長持ちさせることができるのです。
ちなみに、通常であれば塗装の前に高圧洗浄をかけるのですが、ALCの場合は防水対策をした上で、高圧洗浄となります。
なぜなら、壁の中に水を入れたらせっかく工事する意味がないからです。
このセブンSSは、あくまでも塗装する前の下準備となります。

〔関連記事:ALC4階建ての防水工事と外壁補修の改修工事〕

ALC4階建ての防水工事と外壁補修の改修工事

ALCに適切な補修工事をするために

今回のお客様は、ALCという壁自体の問題点を理解してくださったことで、このセブンSSをご選択くださいました。
お客様からご希望として、「ご自宅と1階の店舗(大通りに面しているので目立つ)を持たせるために、しっかりとした補修工事がしたい」とお話をうかがっていましたので、僕も「それならば」とセブンSSを候補に入れました。

セブンSSは5回塗りのため、正直費用もかかります。そして薬の部類としては劇薬ですので、慎重に様子を見ながら工事することが必要です。
しかし、その分持ちもよく、ALCの建物を守ることに関してはピカイチでしょう。
お客様が求める効果がはっきりしていたからこそ、ALCという土台に適した建材選びが出来たのだと思います。

〔こちらの現場のセブンSS施工動画〕

 

塗装工事の選び方 大事なのはどう家を守りたいかということ

塗装職人にご依頼をくださるお客様の中には、どうしても予算の関係から思い切った工事に踏み切れない方もいらっしゃいますし、まだ安さを重視してしまい本来であれば気にしなければならない外壁の性質などに目を向けない方も……。

営業としては、少しでも自分の持っている知識を使ってお客様の家を長持ちさせられれば…といつも考えています。
それでも、そうした想いはなかなか伝わらないのです。

今回のお客様は、冷静にご自宅の把握をして下さり、ベストな工事のご選択をして頂きました。
ALCの状態を正しく理解して頂ければ、今現在費用がかかったとしても将来的には大規模な修繕の費用がかからず安くなるのです。
塗装は、それぞれの家で使う素材や工法などが変わります。

予算、立地、もともとの土地の状態や環境、家のポテンシャルなどによっても、工事の内容と費用は変わるのです。

よく、「お隣はこの金額だった」とおっしゃるお客様がいらっしゃいますが、お隣とお客様の家では立地も代わりますし、なによりも職人が違うだけでも家の状態は変わります。
だからこそ、使用している建材が正しく扱われているかなどを確かめた上での工事が大切です。
しっかりと、外壁材の理解をした上で工事を依頼すれば、その瞬間は費用がかかったとしても、将来的には安く済むことになるでしょう。

次回もこちらのお宅の他の施工内容について、お話ししたいと思います。
どうぞお楽しみに。

 

 

東京湾近く工場の塗装工事・完工引き渡し

By ALC, 外壁, 防水担当の日誌

3月末日に、約2ヶ月間行っていました工場の塗装工事が完了しました。
塗装工事が終わった時点で、足場を外す前に完工検査を致します。

工事に不備がないか、塗装する際の足場などが原因で破損している箇所などがないかなど、弊社では専任の担当者が責任を持って検査をし、お客様へと引き渡すのです。
今回は、足場解体前の完工検査にプラスして完工引き渡しを行いましたので、その内容についてご説明いたします。

 

完工引き渡しはお客様との答え合わせ

この工事では検査後に、足場を外しさらに完工引き渡しをいたしました。
完工引き渡しの際には、お客様と一緒に建物の周りをぐるりと見ながらチェックをします。

その時に大事なのは、お客様と弊社との考えに相違が無いかどうかということです。
塗ると思った場所が塗られていなかった…など、どんなに事前に打ち合わせをしていても、思い違いや受け止め方の間違いなどがあり、そういった相違箇所が見つかった場合は、もちろん塗装職人では適宜対応します。

今回は、特に大きな建物で確認箇所も多かったため、完工引き渡しを実施することに。
幸いなことに、この工事ではそういったお客様との相違はなく、完工引き渡しが無事終了いたしました。

通常の一軒家と違い工場でしたので、経理処理などの関係から三月期末に工事を終えたいとお客様からリクエストがありました。そのため、万が一長雨などが降った場合には、工期が押してしまいますので、菊池としても非常に心配な工事の一つだったのです。
そういった意味でも足場を建てるところから完工引き渡しをするまでスムーズに終わり、本当にホッと致しました。

【関連記事:東京湾近く外壁1000㎡超えの工場塗装工事】

東京湾近く外壁1000㎡越の工場塗装工事

 

完工引き渡しの際にチェックする箇所とは

完工引き渡しの際にチェックする箇所は、建物の周りはもちろんですが、屋根上なども確認します。
引き渡しの立ち会いは、建築主任の内藤と記録担当スタッフと菊池の三人で行わせて頂きました。

この工場は、いわゆる塩害地とあります。
そのため、サビに弱い工場特有の鉄骨階段など鉄骨などは、注意深くチェックを。
さらには、足場解体後のタッチアップ箇所もチェックポイントのひとつです。
タッチアップとは、足場を外した際にでる塗り残しなどを、塗装することを言います。
通常こうした大きな建物の場合、足場もただ組み立てるのでは無く、屋根を挟んだり、壁に穴をあけて足場を固定したりするため、挟んでいた部分や、足場に隠れてしまい塗れない部分などが出て来るのです。

そうした塗り残しなどをしっかりと塗り、先に塗装した箇所と綺麗になじませるのがタッチアップです。
ほとんどの場合は、足場屋の職人が解体工事と同時にタッチアップをしますが、やはり足場屋の職人の塗装技術は、専門職の塗装には劣るため、仕上がりもそれなりになります。
ですので、塗装職人では必ず足場解体後に、弊社の塗装のプロ職人がタッチアップを致します。

今回は足場を完全に撤去してからのタッチアップでしたが、足場の職人と一緒に塗装の職人が工事をする『相番』でタッチアップする場合もあります。
壊していく足場を利用しながら、しっかりと塗装をし、工夫を凝らしながら、外壁塗装を美しく仕上げるのです。

タッチアップ箇所を数人の目を通して念入りにチェックすることで、大きな建物でもしっかりとした品質を保ってお客様にお渡しすることができます。

【参考動画:工場の塗装】

 

工事など企業の塗装工事の場合

先ほど、少しだけ触れましたが今回は会社の所有する工場のため、工事の費用を経費として請求できるかどうか…ということが肝でした。
経費の中には『修繕費』という項目があり、その項目を使用すれば今回の補修工事を経費として計上することができますが、補修する必要がないところに『修繕費』は使えません。
この修繕費は、建物が破損し修繕が必要な箇所に使用が可能となります。
そのため、工事前に破損箇所や、傷んでいて危険な箇所などは写真におさめておく必要があるのです。

弊社では、こうした修繕箇所の写真もメーカー担当者立ち会いのもと現場調査を行い、しっかりと撮影し、写真を整理して提出させて頂きます。
今回はぼろぼろの消化器ボックスなどもありましたので、そちらもしっかりと写真に収めた上で新たなものと交換させて頂きました。
創業30年という弊社の塗装工事経験があるからこそ、しっかりとお客様のニーズに合わせた工事や資料作成が可能となるのです。

【関連記事:東京湾沿岸で鉄骨造の4階建て工場塗装】

東京湾沿岸で鉄骨造の4階建て工場塗装

 

大規模塗装からみる冬場の仕上がり具合とは

工場の塗装工事は2月、3月と…まだ寒い季節に行われました。
通常は塗装に適した時期といいますと、春先や秋口など暖かい時期などとされます。それなのにこんな寒い季節の塗装で塗料が乾くのか…と疑問に思われるかたもいらっしゃるでしょう。

実は、この2月〜3月こそ塗装に適した時期なのです。
というのも、2月〜3月というのは比較的雨が少なく、スケジュール通りに工事が進みやすく、仕上がりも綺麗になります。
最近の塗料は速乾性のものがほとんどで、この2月3月の気温であれば、一晩で塗料は十分に乾燥することも冬場に工事を可能にしている要因です。(通常塗料の乾燥時間は23度無風で2時間程度とされています)
そのため、意外にも2月〜3月というのは塗装に適した時期なのです。今回の工場は大きな建物ではありましたが、全体的に塗料がよく乾き、雨もほとんどなかったためスケジュール通りに進みました。

今の日本は春夏秋冬というよりは、レイニーシーズンとドライシーズンの2期に別れるような気候になっています。
今後塗装工事を考えていらっしゃる方は、是非このドライシーズンに工事を選んでみて下さい。

大きな建物全体の塗装から家のドア1枚まで塗装職人ではプロの技で工事します
今回は大きな工場全体の屋根と外壁、鉄骨部分などの塗装でしたが、弊社では一流の職人やスタッフがそろっているからこそ、大手業者では手が回らないような箇所にも目を行き届かせながら工事することが可能でした。

完工引き渡しなども、技術を持ったスタッフがお客様と一緒に確認するからこそ効果を発揮します。
もちろんその逆もまたしかりで、小さな箇所の工事だとしても手を抜くことはありません。

お客様の中には、このような大規模工事のブログを読むと「塗装業者に工事を頼むのであれば最低でも外壁塗装など大きい箇所じゃないとダメなのでは…」と思う方もいらっしゃいますが、それは違います。どんな工事にも、プロの技で対応させて頂くのが塗装職人なのです。
そして大きな工事も、戸建てに対応するときのような繊細さで工事させて頂きます。

大きな工事から、戸建てまで、どうぞ塗装職人にお任せ下さい。
弊社が培った技術で、最高の工事を致します。

 

東京湾近く外壁1000㎡越の工場塗装工事

By ALC, 外壁, 防水担当の日誌

気温の寒暖差が大きい日が続きますが、みなさまお元気にしていらっしゃいますでしょうか。

菊池は、相変わらず現場を飛び回る日々です。

リピーターのお客様が経営していらっしゃる工場の塗装のご依頼頂きましたので、今回は規模の大きな建物塗装について少しお話ししたいと思います。

 

工場の塗装とは

昨年、お客様の自宅塗装の工事に伺った際に経営されている会社の工場の話しになり、「ゆくゆくは工場の塗装工事をやろうと思っている」と伺っていました。

その後、お見積もり依頼を頂き契約となりましたので、2月頭から工事を始めさせて頂いています。

お客様の工場は、鉄骨造のALCの作りで屋根1000㎡、外壁1000㎡と規模の建物です。

塗装職人ではマンションの施工も多く手掛けていますが、それと合わせても今回うちで施工させて頂く規模としては大きい部類の工事です。

職人はともに国家資格の一級塗装技能士がリーダーでシールは市川職人が、塗装は曽根職人が行っています。

 

【参考動画・鉄骨造ALC外壁のシール作業】

 

工場は屋根や壁以外にも鉄部が多くあります。

鉄部の塗装は、通常の塗装と違い『ケレン作業』が入ります。

サビにマジックロンというナイロンたわしのような道具やワイヤーブラシなどで研磨をして、旧塗装膜を除去していきます。

 

この作業を疎かにすると、塗装が剥がれやすくなってしまいます。

そのため、広い塗装箇所でも丁寧にケレン作業をする必要があるため、ある程度人数も必要です。

今回の塗装チームは7人という施工効率と無駄に多くない人数で作業し納期を守ります。

工場は、東京湾から近い場所にある、いわゆる塩害地となります。

下地への雨や潮風の影響避けるためにもケレンと下塗りの施工間隔は短ければ短い方がいいです。

鉄部の下塗り剤(錆止め)としてハイポン20デクロ、上塗り剤はハイポン50を使用しました。

ハイポン20デクロの塗布

 

この塗料はベイブリッジなど公共工事でも使用されるものなのですが、非常に強力な錆止めのため強烈な臭いがします。

塗料には大きく分けて「弱溶剤」と「強溶剤」があります。

弱溶剤はホームセンターでも売っている通常のシンナーでどちらかと言えば石油に似た臭いがするシンナーです。

一方を強溶剤は今回のハイポン20デクロの希釈剤であるハイポンエポキシシンナーのように専用のシンナーが必要で、ツーンとした臭いがするため戸建てでは使用ができません。

強力なさび止め性能から立駐機にもよく使われている塗料です。

このように工場には工場で使える材料というものがあるのです。

 

【参考動画・鉄骨外階段の塗装】

 

私達塗装職人は、数々の現場をこなしているからこそ、戸建てには戸建て用の、工場には工場用の塗料を使い分け、効果を最大限に引き出します。

また、今回屋根が板金1枚を折り曲げて作られた折板(折半)屋根、さらに外壁がALCのためサーモ(遮熱塗料)も併せて使うことになりました。

塗料は、それぞれの場所や環境に適したものがあるため、是非工事の際には「このような効果が欲しい」など、お客様のご希望をお聞かせ下さい。

様々な現場で培った塗装職人の経験から、最適なものをご提案させて頂きます。

 

塗装工事に欠かせない挨拶回り

今回は京浜工業団地の工場でしたが、戸建ての塗装工事の時と同様に、近隣の工場へ挨拶回りに伺います。

ただ工業団地ということで、挨拶といっしょに近隣の方から工事の許可を取る必要があります。

そのため、今回菊池はいつもの作業着では無く、スーツを着て各工場をまわりました。直接近隣会社の社長さんや役員の方とお会いして、ご説明のした上で正式にサインをいただくためです。『賛成・保留・反対』を書類で提示させて頂き、無事みなさまから賛成のサインをいただけました。

こうした工事をするための近隣への確認作業も、大切な塗装工事の一環といえます。

 

工場規模の塗装を塗装職人に頼む利点とは

塗装工事などの建築業には、『一般建築』と『特定建築』というものがあります。

塗装職人は『一般建築』の業者となるのですが、その場合4000万以上の金額で請けた工事を下請けに出すことができません。

弊社の場合、施工は一級塗装技能士をはじめ菊池も二級建築施工管理技士の免許を所持しているため対応できる知識と技術を兼ね備えております。

今回の工場の塗装工事は4000万円以下ではありましたが、規模としては大きかったため、弊社に見積もり依頼をする以前に、『特定建築』などを手がける大手業者からもお客様は見積もりを取っていました。

その際に、大手業者の場合は工事中に作業員達が休んだりする詰め所を作り一人を常駐させるということ、さらには仮設トイレなども設置をするため塗装代以外のところに費用がかかり、高額な見積もりになります。

弊社は、基本必要以上に詰め所など作らないためリーズナブルな施工も可能です。

保証もきちっとつけさせて頂きますので準大手ゼネコンや中堅ゼネコンなどの大手業者さんとなんら遜色はありません。

それよりも同じ価格帯なら大手業者さんより間違いなく丁寧な仕事が提供できます。

逆を言えば大手業者さんと同じ工事品質なら低価格で工事ができます。

 

【参考ページ・鉄骨造4階建ての工場塗装】

東京湾沿岸で鉄骨造の4階建て工場塗装

 

大手業者さんの場合、大量の社内業務をこなすための豊富な人員や大きく立派な建物の社屋などの固定費に費やされる金額が、私達塗装職人とは桁外れです。

その経費分が工事費用にのしかかってきてしまうのでどうしても高額になってしまうのは致し方ありません。

一歩間違えれば、現場に費やされる費用が削られてしまう可能性もこの改修工事やリフォーム関連の業界だからこそグレーです。

 

とはいえ、私たちの場合工事規模が大きくなればなるほど大手業者さんよりかは、工事に関わる事務処理がスムーズというわけにはいかなくなります。

現地調査、面積図面算出、見積り作成、施工管理、工程表作成、進捗管理などなど・・

それぞれの専門の要員がいるほど私達塗装職人は人員がいません。

お見積り依頼を絶え間なく頂いていることは業者としてありがたい一方で、フレキシブルな対応ができないこともありご迷惑をおかけしてしまうこともあります。

 

そういった状況の中でもお客様は弊社がご自宅を塗装する仕事ぶりを見てご依頼下さいました。

まだ工事は続いていますが、お客様のご自宅同様しっかりと工場も塗装させて頂きたいと思います。

 

工場には工場に適した塗装を

現在塗装職人では、こちらの工場での塗装工事以外にもビルの外壁塗装なども行っています。

戸建てだけではなく、さまざまな大きさや環境にある建物でも、弊社でこれまで培った知識と技術で対応することが可能です。

 

塗料の種類を選ぶにしても、効果だけに重点を置いてしまいますと、戸建てに向かない塗料、工場に向かない塗料などがあります。

塗装工事について、分からないことがあればどうぞご質問下さい。

工場全体の塗装という大規模な工事から、アパートの鉄階段だけの塗装といった小規模な工事まで、弊社ではお客様のご希望に即した内容で、最大限の効果が発揮できる塗装工事をご提案致します。

足場の完成と外壁タイルの打診検査

By タイル, 足場

先日から始まった世田谷での改修工事。

隣が有料パーキングのため駐車している車に気を付けながらの足場組立作業でした。

足場を終え本日は外壁の打診検査です。

3階建て鉄筋コンクリートビル改修工事足場開始

ただ足場が終わってもタイル張替え、塗装などなど作業がこの後も目白押しのため細心の注意を払っての作業をするとこには変わりありません。

足場を組んだ3階建ての鉄筋コンクリート建物

 

足場のアンカーです。

タイル部にドリルで穴をあけて固定することによって揺れ止めや倒壊の危険性を防ぎます。

タイルに穴をあけて設置した足場のうアンカー

 

ドリルでタイルに穴をあけてしまったら足場を解体するときにこの部分の処理はどうするのか?

こちらに答えがあります。

【足場は建物にどうやって固定しているのか?・・の参考動画】

 

シールも傷んでいました。

サッシ皿上のシールの劣化

 

口が開いてひび割れているのがわかります。

外壁鉄部のシールのひび割れ

 

タイルの打診をしマーキングをしました。

今回は注入より斫っての貼り替えが多そうです。

タイルクラックのマーキング

 

 

【外壁タイル打診検査の参考動画】

 

屋上です。

ウレタンの通気緩衝工法をします。

保護モルタル表面ですが、結構荒れています。

屋上の保護モルタル

 

パラペットのシールもご覧の通り傷んでいるのでやり替えます。

屋上笠木

 

屋上笠木シールの劣化

 

今日も寒いですが、天気もよくそびえ立っている世田谷ビジネススクエアもより近くに見えます。

世田谷ビジネススクエアと屋上

次回の施工はタイル張替えのためのハツリ作業がメインになると思います。