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マンション大規模修繕のリポート

By 2013年10月22日10月 17th, 2021防水担当の日誌

今回は、住民の視点にたったマンション大規模修繕(改修)の詳細な内容や必要性、住民の方の実体験をレポートをしたいと思います。

 

はじめに

マンションは、鉄とコンクリートからできています。

マンションの寿命は、60年~100年といわれているほど高い耐久性を有しています。

しかし、これらの建材は、使用をつづけている建物や設備は、日々劣化しています。(これを経年劣化といいます。)

マンションの耐久性は、永久に保証されるものではありません。

国土交通省は、平成9年「中高層住宅標準管理規約」の改正においてマンションの長期修繕計画の策定を義務付けました。改正に伴うコメントの中で「建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要である。」との考え方を示しました。

現在、マンションは十数年に1度の大規模修繕工事が一般的に行われるようになりました。

劣化した建物の機能を保つこと、美観を保つこと、資産価値を保つことを目的とし、マンションは計画的に大規模修繕を行うのです。

 

1.大規模修繕では、何をするのか

マンションの経年劣化は、コンクリート中性化を防止すること及び雨漏り予防のための防水層の補修によって遅らせることができます。

そこで、マンションの大規模修繕では、コンクリート表面のひび割れの補修や塗装のやり直しをします。コンクリートが中性化すると、骨組みである鉄筋がさびてしまうので、この作業はとても大切なのです。

つぎに、防水層です。マンションのように鉄筋コンクリートでつくられた建物にとって、雨漏りは大敵です。そこで通常マンションの屋上には、アスファルトをつかったシートを敷き、コンクリートで固定しています。この防水層とよばれるものが、おおよそ10年ほどで劣化してきます。

ベランダの防水、屋上の防水を防ぐシート塗装は、大規模修繕に限らず、定期的に行いたいマンションメンテナンスの1つです。

さらに、給水管や排水管も修繕します。定期的な清掃をしていても、さびや汚れで腐食が進んでいきます。大規模修繕工事では、取り換え工事や構成工事を行います。

これらの作業を「修繕工事」と呼んでいます。「修繕工事」のうち、足場を組んで行う必要があるもの、具体的には大規模マンションなどを対象とした修繕工事を「大規模修繕工事」としています。

 

2.修繕計画

大規模修繕は、長期計画のもとに行われています。

大規模修繕において工事される個所は、決まっているからです。屋根、外壁、鉄部、エレベーター、給排水管が主たる工事個所です。

それぞれ、目安の周期があり、30年ほど先までどのような工事を行うかが計画されています。そして、そのための予算が、いわゆる長期修繕計画です。

マンション住民が、毎月、(修繕)積立金を支払うのは、このためなのです。

しかし、自然災害や状況の変化によって計画の見直しが必要なケースがあります。多くの長期修繕計画は5年程度で見直しがなされています。長期修繕計画は、一つの目安として認識しましょう。

 

3.廊下の防水塗装

マンションの廊下は、水による影響を受けやすい個所です。そこで、大規模修繕では廊下をウレタン塗膜防水工事することが多いのです。

なぜウレタンかというと、塗る(流し込む)だけで継ぎ目のない防水層を形成することができるからです。また、既存の防水層の上から塗り重ねることが可能です。

ウレタンは、下地の形状に馴染みやすく、廊下という住民が常に使う場所の工期を短くすることもできます。また、水密性の高い皮膜ができるので、廊下や屋上の防水に選択されることの多い材料です。

ウレタン防水塗装は、水を嫌います。水分により下地と防水層の接着性に影響が出るからです。そして、防水材は服などに付着するととれません。工事をする際は、住民の通行に留意しながら慎重に進めていきます。

 

4.バルコニー、ベランダの防水工事

バルコニーは、劣化を補修し躯体保護をします。また防水層の性能を回復しなければなりません。

長尺塩ビシートが使われているベランダやバルコニーは、劣化部の部分補修をし、側溝、巾木はウレタン塗膜防水をします。

 

5.階段等共用施設の防水工事

ここでは、モルタル仕上げがなされている階段についての修繕工事を説明します。

モルタルに階段用 長尺塩ビシート貼りを施行することにより、防水や滑り止め、衝撃音吸収などの効果が得られます。側溝、ササラには、ウレタン塗膜防水を行います。

 

6.屋根の防水工事

こちらでは、露出アスファルトシート防水とウレタン塗膜防水がなされている個所の修繕工程を説明します。

アスファルトシングル葺きの剥がれ、欠損部分などの補習を行います。次に保護塗装を行い、ウレタン塗膜防水部は、全面的に再塗装します。

 

7.下地補修工事から外壁の塗装

外壁は、汚れが目立つ部分です。マンションでは、通路や駐車場の壁など、一言に外壁といってもその範囲はとても広いのです。

マンションの外壁すべてを塗り替えることは、費用の面から住民への負担が大きく、多くのマンションでは洗浄後汚れが付着しにくい塗装を行うことになります。

外壁は美観に直結しますが、躯体を支える鉄筋の保護も重要です。

空気中の二酸化炭素の影響でコンクリートが中性化すると、内部に進行して鉄筋などの鋼材が腐食することがあります。鋼材にサビが発生すると、その膨張によりコンクリート表面のひび割れや剥離などに繋がることもあるのです。耐久性の観点から見ても、定期的な塗り直しは必須と言えます。

外壁のひび割れ、タイルの浮きなどは、修繕により直していきます。

外壁塗装は、ひび割れなどを充填剤やモルタル、樹脂などで埋めて補修していきます。最後に新たな塗装を施し完成です。

 

8.不便を感じていた部分に手を加える

住民が日々暮らしていくなかで、分譲時には感じなかった不便を解消するのも大規模修繕の役割です。

例えば、駐車場に向かうまでの通路に屋根をつける、共用施設の電球をLEDに変え、宅配ボックスや郵便受けの設備を新しくする、高齢者世帯へむけてバリアフリー化を進める等々、微細なことですが大きな価値を生み出す工事です。

修繕工事は、俊工時の状態に戻すことを第一の目標としていますが、そこに新たな価値を加えることも可能です。

エレベーターや空調などは、築15年以上のマンションから修繕の必要性が高まります。これらの機械は、修繕するにも金額が大きく、修繕予算をオーバーすることもあります。最新鋭の設備にしたほうがよいのか、住民一人一人が考えておくべき項目です。

大規模修繕は、一見すると住民には分かり辛い工事のように感じますが、管理組合と住民の意志疎通を図り、的確な工事を計画することで、マンションの価値を上げることができる、またとないチャンスです。

 

9.工事中の住民への配慮

工事期間は、資材置き場、機材の搬入通路などに警備員が常駐します。

落下物が起きた場合などは、適宜管理組合と話し合い安全基準の見直しを行います。

掲示板を用いて、配布資料を明確にします。

洗濯物をベランダ、バルコニーに干せるかどうか、今日現在の工事について、都度情報を掲示していきます。

住民に対する専用問い合わせ窓口を設置し、問い合わせには電話で対応できる状態にします。

 

10.まとめ

3.11の地震以来、建物に対する耐震性が注目されるようになりました。

鉄筋コンクリートで作られているマンションは、地震に強いものが多く、揺れに対してはかなりの対策がなされています。しかし、電気が使えない状態でどうするのか、ライフラインが復旧するまでの間をどうやって過ごすのか、等々、今、マンションは様々な面で見直しを迫られています。

大規模修繕は、10年強のペースで行う工事ですが、常日頃から外壁や床の防水を心がけチェックしておくことで、マンション自体の劣化を遅らせることができます。

壁のひびや、塗装の剥がれ等、住んでいるからこそ発見できることが沢山あります。

日々のメンテナンスが、平常時にも災害時にも効果を発揮するのです。