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防水担当の日誌

屋上の掃除

防水工事スタート 下地にかける何重もの予防と配慮

By 屋上防水, 防水担当の日誌

前回のブログでお話しました、世田谷区のお客様宅工事の続きとなります。

関連記事 前回のブログ

工事の安い高いがあるのは?足場工事から見る工事内容

今回は防水工事の下地準備についてのお話です。

この下地準備ですが、メーカーの説明書通りにやればいいかというとそうではありません。

なぜ説明書通りではいけないのか、そしてプロの防水工事の下地準備がいかに大切かということをご説明致します。

 

屋上防水工事・施工前・ウレタン防水

大手では無いからできる塗装工事

 

私たち塗装職人は、社長が塗装の職人で、スタッフの多くも職人といういわゆる街の塗装業者です。

そのため、大手のように営業の人間と、現場の人間が別ということがありません。

僕は見積もり担当・営業ですが、現場監督もしますし、職人とのスケジュールや工事内容の確認も致します。

 

だからこそ、大手にはできないお客様の思いを現場にダイレクトに伝える工事が可能です。

そして、さらに弊社のモットーである『職人が主体の会社』の通り、僕ももともとはゼネコンを始めさまざまな工事に携わってきており、それゆえに工事のことだけでなく材料のことや職人のことに経験と知識があります。

 

こうした前提があることによって、これからお話しする綿密な下地工事をすることができるのです。

 

下地準備工事の大切さ

 

こちらの屋上は、新築後に1回防水工事が行われていました。

階段の踊り場部分にある、ガラス屋根は漏水が確認されており、高圧洗浄をかけながら補強の必要性について再度チェックを。

また屋上には、通気緩衝シートを敷いた上にウレタン塗膜防水の工事が施してありましたので、脱気筒も設置されています。それらを考慮して、今回は防水工事の計画を立てました。

 

この写真は脱気筒を剥がしてみたところです。メッシュの下に青色のマットが見えますでしょうか。

この青い色味から、コスミック製(ダイフレックス)を使用していることが分かります。

そこで、今回はサラセーヌの通気緩衝シートであるQVシートを使って、接着させながら下地にたまった水分を抜き、その上にウレタン塗膜防水工事をすることによって、工事をすることとなりました。

ここで大切なのは、笠木と床面、立ち上がり部分の補強です。

 

というのも、こちらの笠木部分は前回のブログでもご紹介しましたが、ステンレスが使用されています。

ステンレスと床材は伸縮率が違うため、二つを接続しているシーリング部分に断裂が起きていました。

 

関連動画 ピカピカ肉厚のウレタン屋上防水

 

その断裂部分から雨水が浸入し、雨漏りへとつながっていたのです。

そこで今回は、このステンレスの笠木部分と床からの立ち上がり、そして床部分が一体となるような工事をしたいと思いました。

下地でこれらの箇所をうまくつないで、防水工事をすることで、雨水の侵入を防ぐ。また、最後に行うシーリング工事も、下地をしっかりと作り込めば断裂は少なくなります。

 

防水工事というのは、下地工事が甘いと弊害がおきるものです。

そして防水工事を安くしようと思った時に、一番手が抜けるのもこの下地準備工事といえます。

また、業者によっては「メーカーの説明にあるとおりにやりました」と言うところもありますが、実はこうした再塗装の場合、メーカーの説明のままやったのでは上手くいかないこともあるのです。

 

というのも、今回の現場のように2度目の再塗装の場合には下地がすでにメーカーが想定する状態と違います。

スタートラインが違えば、対処方法が違うことは誰の目にも明らかなことです。

これらのことから、下地の状態や材料の特性などを見て、あらゆる方向から防水工事を考える必要があります。

 

とはいえ、メーカーの用法を守らず施工すれば、メーカー保証がつきません。

ですので、なんとかメーカー保証をつけながら現場にあった対応ができないか模索するためにも、現場の経験値がなによりも必要になってきます。

もちろん状態がひどい場合には、メーカー保証よりも現場を納めることを重視する場合もありますが、塗装の土台とも言える下地にできるだけの工夫をするのが塗装職人流なのです。

 

工事で気をつけたこと

 

ではここから、実際の工事についてです。

屋上の掃除

全体を高圧洗浄し、掃除をしたら今回はまずステンレスの笠木にヤスリなどで傷をつけます。これはプライマーを食わせるためです。(面粗し)

ケレン作業を行い次に金属用のプライマー(写真の赤色部分)を塗ります。

立ち上がり床面には青色のプライマーを塗ります。

こちらは床面用のもので、金属プライマーとは種類が違うものです。

種類の違うプライマーを使い分けることで、防水剤を撒いた際にはすべてを一体化させて覆うことができます。

ちなみに、プライマーの上には床面には通気緩衝シート、笠木には補強布を貼りここでもそれぞれの特性にあった材料で下地工事をすすめることが大切です。

さらに、室外機の足部分などもあげ床面に均等に下地処理をおこないます。

実はこのプライマーや補強布には、良いところもあれば癖や副作用がある場合もあり、それらを熟知して使うことが何よりも大事です。

 

しかもこれらの癖や副作用は、メーカーではあまり実感できていない場合があります。

現場で使っている職人だからこそわかる癖や副作用。これらをしっかりと踏まえることによって、より材料の効果を引き出して使うことが可能になります。

関連記事 通気緩衝のシート貼り

屋上トップライトのシールと通気緩衝のシート貼り

脱気筒の処理

 

さて、ここで一旦脱気筒の処理についてもお話したいと思います。

こちらの屋上にある脱気筒は、マットにコスミック製「が使われていました。

 

こちらは不織布とブチルゴムテープをミックスしているもので、独特のマットとなっています。

しかし、この通気緩衝シートであるはずのコスミック製マットの後ろに水がたまってしまっていました。

それは、マットに切れている部分があった為です。突き付けで貼り合わせ補強しなければなりません。

笠木部分には補強布+塗装の膜厚で対処するのに対して、床面は通気緩衝シートでの補強、通気、を行い脱気筒の設置も必要です。

(マット同志つなぐジョイントテープの施工という手抜きがしてあった為)

さらに、この脱気筒ですが、今現在あるものは前回の工事の際に水を抜くものだったため、今回は撤去し埋める必要があります。

というのも、新築時の床面の上に塗装した際に出る水を抜くための脱気筒だったため、工事から10年以上たったいま、すでに十分な水分が抜けたことが予想されるからです。

そして、このまま脱気筒を塞がずにいると、余計な穴を下地に貫通させていることになってしまいます。

 

そこで旧脱気筒は撤去をし、通気緩衝シートとセットとなる新しい脱気筒を今回の工事で建てることに。

脱気筒で湿気を抜くのにプラスして、今回サラセーヌのQVシートは自着をします。

そうすることで、塞ぎきっていない裏地はあみだくじ状に隙間があくため、水が通る隙間ができたことで脱気が可能となるのです。

 

前回はかなり多くの脱気筒があったのですが、今回はきちんと水の通り道なども考え最小限にしました。

こうすることによって、必要なものをチョイスしながら、不必要な費用を使わずに工事をすることが可能です。

関連動画 通気緩衝工法

今回行った下地工事の全ては、メーカーのHPには載っていません。

メーカーの説明、現場での実際の状態をすべて踏襲して導き出した工事です。

工事費用は必要な箇所についてはかかります。

しかし、後から手間も費用もかかってしまうことだけは避けるように、あらゆる状態を装置して予防策を打ちながら施工しました。

 

塗装工事はオーダーメイド

 

塗装工事をする時に、「一つとして同じ状態の家はない」ということがよく言われます。

新築の家だとしても、建てた大工や職人によって工事の始末が違い、ちょっとした方角や環境の違いで差がでるのです。たとえ集合住宅として建てられていても、あちらの家は雨漏りがないのに、こちらは大変な雨漏りに悩まされているといったこともおこるほどです。

さらに、塗装工事は1回目、2回目でも行える工事は大きく変わってきます。

例えば、1回目の塗装工事をしっかりとした塗装業者に依頼し、かけるべき費用をかけておこなった工事の場合と、1回目も安さ優先で行った工事の場合では下地の状態が大きく違うため、家の傷み方にも違いがでます。

 

この土台の差で、2回目の工事の費用…そしてできることできないことが変わってくるのです。

だからこそ、塗装工事をする際には細かな診断と、診断結果によって対応を考えたオーダーメイドの工事が必要となります。

 

今回の防水工事の下準備についても同じですが…不具合をたしかめて、それらを上手く収めるためにはどういった方法があるのか考える。

これにはマニュアルはありません。

そして、良い製品を使っても対価が得られないことにも繋がります。

 

僕はたまに、お客様からのオーダーを否定することがあります。

もちろん、お客様がおっしゃる通りに工事をすれば、お客様としても気持ちよく工事を見守ることができるでしょう。

しかし、家というのは複雑なため、ネット上で調べた家の状態やメーカーが推奨する塗装方法だけでは補うことができないのです。

 

だからこそ、この家に合う正しいものを提案します。

お客様の中には、気分を害する方もいらっしゃいますが、お客様が言っているからといって間違った工法を進めるのは、無責任なことだと僕は思うのです。

僕は防水のプロということで、ブログも書いています。

 

だからこそ、しっかりとお客様の家を守るための提案をしたいと思うのです。

お客様には、いつも良い選択をしてほしいといつも願っています。

 

相見積もりの際には、どうかこうしたフルオーダー工事のところと見積もりを見比べて下さい。

工事をオートマ化しているところや、作業を省いているようなところと見積もりや工事内容を比べても、それは比較になりません。

 

400円のすき焼き丼と4000円のすき焼きコースを比べて、どちらが安いかどうかを比べる人はいませんよね。

それと同じです。

比べるスタートラインを揃えてから、比較して頂ければと思います。

そしてできることなら、安い工事を選ぶことは極力さけることがおすすめです。

 

家というのは、工事した直後にはその工事が良かったのか悪かったのかわかりませんが、安い工事は必ず数年後に弊害が出てきます。

そして結局、大きな代償をはらうことになるのです。

関連記事 マンション補修塗装工事とクオリティを求める工事とは

マンション補修塗装工事とクオリティを求める工事とは

もちろん家という特性上トラブルはつきもののため完璧な工事はありません。塗装職人で工事をしたとしても、不具合がでることはあります。

しかし、弊社の工事であれば、数年後に家の状況から不具合が出たとしても状態によって弊社が対処できるのです。

 

その対処をしてきた証しが、この創業31年という年数となります。

是非一度、弊社の練られた工事の提案や工事をご覧下さい。

お客様の家を守るための可能性を提示いたします。

 

工事の安い高いがあるのは?足場工事から見る工事内容

By 防水担当の日誌

見積書を持ってお客様宅へ伺った際に、「なぜA社と塗装職人ではこんなに値段が違うの?」という質問を受けることがあります。

これは、とても簡単なことなのですが同じ材料を使っていたとしても材料の使う量、そして工事の内容、技術が違うのです。

パッと見はお得に見えますが、この安さは将来的に家にダメージがでます。

 

薄められた塗料では、どんなに塗料の性能が高くてもその効果は発揮されませんし、3回塗りのところを2回塗りにすれば塗膜が薄くなりやはり塗膜の効果が切れるのは早くなります。

今回のブログでは、足場工事という工事をするための基礎の基礎で、塗装職人がどのような作業をしているのか、気を配っているのかということをご覧ください。

見積書には載せきれない工事の内容を見れば、値段差にご納得頂けるのではないかと思います。

 

屋根上の防水工事

 

今回のブログでご紹介しますのは、先日ご紹介した世田谷区にある階段の踊り場の上に日差しのようなガラス屋根がついたマンションの工事のその後です。

関連記事  前回のブログ

デザインに優れた工事?費用の安さに特化した工事?工事の見るべきところとは

 

屋上工事をする上で、昇降用の足場を建てての工事計画となったのですが、実はこちらの建物にはそもそも屋上に上るためのタラップがありました。

お客様によっては、このタラップがあるのだから足場などは建てずに、タラップを使って屋上に上り工事をしてほしいと思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、このタラップは子供などが登れないように、途中から設置したあるものでした。

これでは、作業員が刷毛やバケツを持って両手なり片手なりが塞がってしまうと、安定して上ることができません。

さらに、タラップがついているのは屋上の端ではなく真ん中。

屋上の防水工事でのBESTな状況は塗り跡が出ないように端から作業をスタートさせて、最後には逆側の端から職人が脱出をします。

しかし真ん中に出入口がある場合は、屋上を半分にして左側と右側の端から真ん中の出入口に向かって作業することに。

 

こうなると、どんなに熟練の職人だとしても、左側と右側から真ん中へ向けて始めた防水が交わる際に塗り跡が出る可能性が生じます。

そのズレは、あまり綺麗とは言えない仕上がりになりますし、何よりも床面の水の流れを妨げてしまうことが……。

そしてさらに、これ以外にも足場を組むのには理由があります。

 

足場を組む理由とは

 

実は足場というのは、お客様が見積書で見た際に一番高いと感じるポイントのようです。

見積書を持って行った際に、「足場なしで作業できない?」とご質問を受けることが、たまにあります。

この足場というのは、一見するとただ職人たちが上り下りするだけで、梯子で作業しても同じことができるのではないかと思われがちですが、工事をする上では大きく違います。

 

例えば、道具の上げ下げです。

先ほどもお話しましたように、こちらのタラップは中吊りになっているため、両手に塗料の缶やその他の材料を持った状態で梯子を上ることは不可能となります。

タラップでは足元が安定せず、上る際に持てる道具の個数も少ないため、足場があれば数時間で済んだ屋上への道具の上げ下げが半日かかってしまうことも。

 

梯子作業も同じ理由でおすすめできません。

梯子作業は、やはりタラップと同じく塗料缶と刷毛を複数持つことができないため、作業時間がかかります。さらに外壁塗装の際には足場のように塗料缶や部材を置くスペースもないので、そのたびに降りては道具を変え…時間がかかってしまいます。

梯子は下から上への移動はできますが、横に移動しようとした場合には、いちいち掛けなおす動作が必要となります。これにもまた時間を取られ、かかった時間分の工事費用が発生するのです。

足場であれば梯子をかけなおす時間が必要ないため、梯子作業よりはぐんと時間を短縮できるでしょう。

 

関連動画 足場を組んで行った屋上防水工事

そして、足場には養生シートを張ります。

この養生シートも、塗装工事や防水工事には非常に大切です。

養生シートは、塗料や水、粉塵の飛び散りを抑え、さらに作業員が移動する際にセーフティーネットの役目もします。

作業員の安全というと、それは工事する側だけの安全性のように思いますが、職人の安全が守られるということは、お客様の家で事故が起こらない…ということにつながるのです。

 

考えてみてください。もしも足場を建てなかった工事中に落下事故が起こり、最悪職人が亡くなってしまったら…。自宅が死亡事故現場になってしまいます。

足場を組むことには、これだけの意味があります。

確かに金額面では少々高く感じることもあると思いますが、これも工事を円滑に進めるための大事な工程なのです。(この現場は昇降が主)

 

ここまで、他社との値段差の説明や、見積書には載らない工事内容の説明として足場について解説をいたしました。

ここからは、さらに足場工事の実例を参考に工事内容をご説明したいと思います。

屋上の防水工事で足場を建てる際に、どんなことに気を付けているのかご覧ください。

 

足場代をかけるからこその時間短縮をするために

 

今回の工事では、タラップを使わず足場をかけることになりました。

その理由は、いろいろあります。

一つ目は、防水工事をする際に端から端まで一筆書きのような工事をするため。

職人の足跡を残さぬよう、屋上の端から工事を始めて、最後は足場に体を避けた状態で防水材を塗布するために足場が必須でした。

足場で職人の逃げ場を作ることで、水の流れを妨げない鏡面のような防水層が出来上がるのです。

 

二つ目は、今回の足場にはホイストの巻き上げ機も搭載するため。

これは、荷揚げの際に使うのですが、階段を使って部材を荷揚げするのと所要時間と正確性に雲泥の差が出ます。

もしもこのホイストを利用しなければ、防水工事は非常に道具や部材の多い工事のため、半日以上荷揚げだけに時間を要していたでしょう。

また足場があることで、屋上にある荷物を避難させることができます。

そして、その他にも足場を組んだ理由がありました。

それは居住者の方の利便性です。

実はこのタラップは屋上の真ん中にあり、下ろしてみると居住者用の出入り口の真ん前に降ります。

もしここを工事中塞いでしまったら、居住者のかたの出入りができなくなってしまうでしょう。

 

これも、マンションの防水をする上では避けなければならないことです。

新築工事と違い、私たち塗装職人が行う工事は家の中に居住者の方がいらっしゃる状態で工事をします。

居住者の方の安全や、生活導線を極力邪魔しない内容に工事することは、とても大切です。

ですので、足場を組むことで居住者の生活が不便にならないようにする必要がありました。

関連動画 マンション足場 設置から解体まで

もしもこれらを無視して、足場を組まないで工事をしていたら…。

足場代以上に、工事の日数がかかったことで費用はふくらみ、居住者の方に迷惑をかけ非常にストレスフルな現場になっていたのではないかと思います。

本当に今回は、オーナー様に足場を快諾頂けてよかったと思いました。

 

足場工事で気を付けること

 

足場は、ただ建てればいいというものではありません。

建物にあったサイズの足場を建て、養生ネットを張り、安全帯の取り付けも行う。

こうした基本工事以外にも足場を建てる際に気を付けるべき点があるのです。

例えば、足場に上るための梯子と地面の接地面一つとっても気を使います。

この建物は地面にタイルを敷き詰めていますので、足場や梯子の金属で設置することで割れることなどがないように養生が必要でした。

さらにベランダなどに挟む壁換え部分も、スポンジを当て建物が傷まないように気を配りを。

足場の接地面ひとつにも、気遣いができるかどうかということで仕上がりに差がでます。

足場を建てるために必要な工事計画とは

 

そして足場工事をさまざまな方面から考え実行するためには、その後の工事をすべて見越した工事計画が必要となります。

これもまた、工事内容に大きく関わります。

お客様は僕と打ち合わせをし、工事計画を立て…この立てた工事計画を実行するのは職人です。

 

今回は防水工事を担当するのは、僕と同じ苗字の松尾なのですが、念入りに現場を見てもらい工事のシミュレーションをしました。その上で、この足場工事が実行されたのです。

さらに工事開始後は、要所で作業が計画通り行われているか、僕がチェックをします。

こうした手間は、省ける内容でもありますが、きちんと打ち合わせを行い現場で確認することが工事内容の質を大きく変えることになるのです。

今回は雨漏りの原因となっているガラスの天窓のような庇部分にも注目しました。笠木はステンレスとタイル壁の間をシールで結合しているのですが、亀裂が入っています。

ステンレスは熱膨張するためひどいときは数センチ動くため、この動きにシーリングが付いていけなかったのです。

そのため、シールは見るも無残な状態に。

接続部が切れているため、このままでは水を飲んでしまうね…と松尾が言っていました。

 

そこで、ここには変成シリコンでシーリング工事をし直します。

昇降足場でも外側から防水を確認することにより工事の精度があがります。

 

かけるべき費用をかけ、中身の詰まった工事をするということ

 

前回と今回のブログに亘って紹介してきた足場工事についての徹底解説、いかがでしたでしょうか。

ただ屋上の防水工事だからといって、流れ作業のように与えられた指示書通りに工事をすることは、弊社では工事と呼びません。

ましてや、工事費を安くみせるために工程を抜いたり、手を抜いたりなんかはもってのほかです。

家の状態やお客様の生活導線、職人の動き、そして安全、部材の搬入方法や避けるための避難所、そしてなによりもお客様のご希望をきっちりと現場に伝えるための綿密な打ち合わせ。

そのすべてが一体となって、土台となる足場が建てられ、質の良い塗装工事となるのです。

関連動画 このマンションの屋上防水工事

 

是非一度、小さな工事でもかまいませんので弊社の徹底した工事をご覧になってみて下さい。

密度の濃い工事内容では、どの業者にも負けません。

築20年のマンション・はじめての大規模改修:タイル洗浄・屋上防水

By コンクリート, タイル, 外壁, 屋上防水, 防水担当の日誌

築20年になる3階建てマンションの大規模改修工事の続きです。

前回は工事のきっかけ、外壁補修、タイルの貼り替え、高圧洗浄までを紹介しました。

今回は防水工事と塗装工事についてです。

 

タイル薬品洗浄

 

タイルの汚れの原因は土、砂、埃、藻、カビなどが原因と考えられます。

そのような汚れが何度も付着して、黒ずみとなってしまうと通常の高圧洗浄だけでは、きれいにはなりません。

その場合、薬品洗浄、酸洗いなどを行うことがあります。

今回のマンションは写真のような黒ずみ汚れが何か所もあることから、薬品洗浄を施しました。

薬品洗浄の手順はタイルの汚染箇所に刷毛で薬品を塗布します。それをナイロンたわしでタイルを擦ります

中和剤を含んだウエスで拭いてから水で洗い流します。これで洗浄は完了です。

稀に薬で処理せずに洗浄すると目地セメントの灰汁が流れ出し、タイルを汚してしまうことがあります。

 

関連動画 マンション大規模修繕 外壁タイルの酸洗い

 

屋上防水

屋上防水の既存はアスファルトシート防水でした。今回は改質アスファルトトーチ工法で防水工事を行いました。

作業は金物の撤去を行い、既存防水の撤去です。

そして、本工事前に仮防水を行います。

そのあと、改質アスファルトトーチ工法へと進みます。

トーチ工法とは防水層をバーナーを使って溶着する施工方法です。

防水層は改質アスファルトをコーティングしたシートです。

その様子は動画でご覧ください。

 

関連動画 屋上防水を改質アスファルトで施工する マンション大規模修繕

 

こちらが施工後の屋上の様子です。

トーチで溶かしたアスファルトと防水シートを密着させて、水漏れのリスクが少なく、耐久性の高い防水層ができあがります。

関連記事 アスファルト防水工事完了です

アスファルト防水工事完了です

塗装工事

タイル洗浄と補修、爆裂補修、防水工事が終了して 外壁塗装作業を行います

塗装工事はタイル面ではない外壁、内壁に行いました。

塗装工事を担当したのは一級塗装技能士と塗装科・職業訓練指導員の資格を持つ、曽根カズ職人のチームです。

建物の中をきびきびと動き周り、丁寧な仕事を行いました。

ローラーを使って共有廊下の手すり壁を塗装。共有廊下の天井の上塗り。

塗装することによって 廊下が明るくなりました。

塗装によって建物の輝きを取り戻して行きました。

 

他にも付帯塗装、バルコニー防水、階段屋根、シーリング工事、廊下、階段防水工事、看板交換などを行いました。

 

関連記事 シール工事

シール工事

工事の最後に入口に取り付けられているネームプレートを新しいものと交換しました。

ネームプレートは改修工事前は英語表記だったのですが、工事を機にカタカナ表記に変更しました。

こうして、約2か月に渡る大規模改修工事が終了しました。

 

外壁もきれいになり、屋上もきちんと防水されて、ネームプレートも変わり、オーナー様はその出来栄えを大変喜んでくださいました。

マンションやアパートを長持ちさせるためには定期的な改修工事は必要です。

このように大規模修繕をすることによりマンションは美しく甦ります

メンテナンスのことでお悩みのオーナー様。管理者様。

株式会社塗装職人は建物に一番最適な工事をご提案を致します。

どうぞお気軽にご相談ください。

築20年のマンション・はじめての大規模改修:外壁補修

By ALC, タイル, 下地補修, 防水担当の日誌

築20年になる3階建てマンションの大規模改修工事です。
工事は不動産業を営むオーナー様からのご依頼です。

外壁はRCのタイル貼りです。
住居は10室。1階は店舗。
最寄駅から徒歩15分の静かな住宅街にあります。

足場は7月4日から設置されました。鳶職人により横長の3階建ての建物に工事の為の足場が架けられました。

打音調査

足場が架設されると防水職人により外壁タイルの打音調査を行いました。
調査方法は打診棒を使用して、タイルを叩いたり滑らして、タイルの浮きやクラックを調べます。

タイルに問題がある箇所は他のタイルと異なる音がします。その音を聴き逃さぬように慎重に作業を進めていきます。

関連動画 このマンションの打検の様子

問題のある箇所があった場合はチョークでマーキングをします。さらにマスキングテープを使って状態と範囲を色分けして、ペンで状態を記入します。
打診検査は外壁補修前の大事な作業のひとつです

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タイルの浮き補修

タイルに浮きがあった場合、補修工事を行います。

作業は電動ドリルでタイルの目地に複数の穴を開けます。その穴にグリスガンを使用してエポキシ樹脂を注入します。これで浮きにより出来た隙間を埋めます。


複数個所からの注入によって 広範囲の施工が出来ます。 漏れ防止とタイルを汚さないために穴にウエスを挿入して、その上から注入します。穴にアンカーピンを打って固定します。

関連動画 このマンションのタイル補修工事

 

タイルの張り替え

タイルの張り替えは、まず、はつり機(ハンマードリル)で劣化したタイルを剥がします。


そして、モルタルを外壁と新しいタイルに塗ってタイルを貼り付けます貼りつける時にタイルを叩く事によって 隙間が無くなり密着します
複数枚まとめて張る時は 連結したタイルで施工します。その後 目地を作り終了です。

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鉄筋コンクリートの外壁タイルの補強と貼り替え

外壁の躯体補修

クラック(ひび割れ)から雨水が入り込んで、鉄筋が錆びて膨張してしまい、コンクリートが内部から破裂する現象を、爆裂と言います。


先ず、浮いてしまったコンクリート部分をハツリ落とします。念入りに浮いている部分をそぎ落とします。
そして、爆裂の原因、錆びた鉄筋をケレンして、サビを落とします。鉄筋にサビ止めを塗ります。乾いたら補修材のプライマーを塗布。

関連動画 こちらの工事の動画

樹脂モルタルを充てんして、コテで修正箇所に押し付けます。元の形状と同じになるように成形します。


今回は「錆び」による爆裂でしたが、寒冷地では凍結による爆裂も起こります。

高圧洗浄

補修工事が終わると、建物全体に高圧洗浄を行います。

超高圧水流によって、経年の汚れを洗い流します

タイル外壁は通常の高圧洗浄だけでは、きれいにならない汚れがあります。
その場合、薬品洗浄、酸洗いなどを行います。

 

後編ではタイル洗浄、屋上防水工事、塗装工事と続きます。

 

マンションやアパートを長持ちさせるためには定期的に改修工事は必要です。

メンテナンスのことでお悩みのオーナー様。

株式会社 塗装職人は建物に一番最適な工事をご提案を致します。

どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

 

新築時から続く雨漏りを止めたウレタン防水とは

By ウレタン, 屋上防水, 防水担当の日誌

新築時から雨漏りに悩まれている築39年のお宅のお話です。

『雨漏りを止めて欲しいので屋上を見て欲しい』というご相談内容でした。

そこで実際に見積担当松尾が屋上を拝見させていただくと、いろいろと問題点が見つかったのです。

屋上の問題点とその打開策

お客様宅では屋上の経年劣化などからひび割れ・浮き・塗装の剥がれなどの症状が見受けられました。

一般的に雨漏りのイメージというと築年数がある程度経過したような状況で起こることを想像されるのではないかと思いますが、実際には築浅の建物であっても雨漏りが起こる場合があります。雨漏りの三大原因としては①屋根②ベランダ③窓やサッシや換気口周りになります。

お客様の屋上では床面だけではなく立上りの箇所や斜壁にも雨漏れ要素がありました。実は、雨漏りの要素として多い場所が先ほどの三大原因に加え斜壁もあります。

漏水原因のわからない現場では可能な限り水の侵入口を無くし下地をしっかりと造ることが肝になります。

見積担当松尾のこれまでの防水経験とプロとしての実績からしっかりと確実な防水効果を発揮するために、様々な方法がある中で今回は高強度形ウレタン防水をご提案させていただきました。

実際にウレタン防水の仕組みがわかる動画がありますのでご紹介いたします。

関連動画 雨漏りさせないウレタン防水の仕組み

工事依頼のきっかけ

今回屋上防水のご依頼をいただいたお客様は、過去にも二回工事のご依頼をいただきまして、その時はどちらも避難ハッチの交換作業をさせていただきました。

前回の避難ハッチの交換工事にご満足いただけたことと工事中に弊社からお客様へ密な報告などの対応を気に入ってくださり、大変有難いことに今回も塗装職人を選んでくださいました。

現場のお宅はお客様のお父様がお住まいになられている東京にあるご実家でした。雨漏りは新築時からあったそうでもともと鍛冶屋さんをされていたお父様がご自身で屋上防水をされてきましたが雨漏りは改善されず「どうにかして雨漏りを止めて欲しい」ということをお父様に代わりお客様がお話してくださいました。

現場は東京ですが、遠方(熊本)にいらっしゃるご依頼主であるお客様へ離れた状況でも作業状況を把握していただくために、工事中の大事なポイントを撮った写真などをメールで送らせていただくという取り組みも欠かさずさせていただきました。

こうした行いがお客様に喜んでいただき信頼をいただけている中での工事でしたので、天候や状況により工事内容に多少の変更などがあった場合でも了承をいただきスムーズに工事をさせていただける結果になりました。

写真だけではわからない現場の大変さ

まず一番最初に取り掛かる作業は既存の防水層を撤去することです。撤去したあとに下地調整をしますが、この下地調整が防水の肝になります。新たに施工する防水層がしっかり密着するために行うのですが、下地調整を怠ってしまえば施工後に防水効果を維持することが出来なくなるからです。

撤去作業はちょうど八月でしたので、真夏の屋上での作業で職人はまさに体力勝負になります。しかし、真夏の暑さにも負けず職人はほぼ手作業で分厚い既存防水層を丁寧に撤去していきます。また、この時は台風も近づいていたため天候が不安定な状況でもありました。

作業中に暴風雨に見舞われて危険なため作業を中断せざる負えない日もあったり・・現場では天候以外にも様々な状況が起こりえるため柔軟に、そして適切な対応が求められます。

建物の状況などによっては、工事中に新たに気付く場合もあり作業内容を変更しなければいけない時もあります。そうした時も、それぞれの職人やプロに確認をしてお客様の建物の状態に最適な工事をご提案させていただくこと、現場を一番に見てまとめる。それが、見積担当でもある現場を監督する松尾の役割です。

高圧洗浄中の様子です。前日に雨のおかげで水の流れを改めて確認できたことは吉とでました。しかし、作業は難儀します・・

関連記事 次々とおこるトラブルを乗り越えて

マンション大規模改修 次々とおこるトラブルを乗り越えて

高強度形防水材とは

今回お客様宅では、サラセーヌタフガイシリーズの塗料を使用しました。堅い防水材と伸びる防水材のツイン構造になっており、抜群の強度・伸び率の向上・安心の耐荷重性これらの効果が期待できます。

屋上の高圧洗浄後カチオンという下地調整作業をします。各種下地に対し、素材を密着させ耐久性を維持する効果を高めるます。床部分が平らになるように左官鏝で均等に伸ばしていきます。

次にプライマーを塗布してさらに密着性を高めます。床部分に貼るQVシートの裏側は格子状になっていてシートと下地の間を通気させることで湿気や水分を外に逃がすことができるようになっています。

継ぎ目や末端にはMBテープを貼り水の侵入などを防ぎます。真夏日での作業だったため屋上は高温になりQVシートの粘着が溶けてしまっていて職人はこのシートを剥がす作業にも難儀していました。

ウレタンを流す前にここで脱気筒と改修ドレンの取付作業をします。こちらは脱気筒取付の様子です。脱気筒の裏側にシーリングを塗布しているのには訳があります。万が一脱気筒が折れてしまう事態が起こった場合にも水の侵入をブロックすることが出来るからです。このように、今ある問題の先の問題までも予測してプロテクトに努めた工事のご提供をさせていただいております。

 

改修ドレンも同様にシーリングを塗布して密閉させていきます。とにかくフラットに、継ぎ目を無くし一体化させることが重要です。

お客様宅の屋上には水切り目地がなかったため新たに水切りの作成をしました。水切りがあることで雨水が防水層の末端に流れ込む心配がなくなり防水層を良い状態で保つことが期待できます。

次にウレタン防水一層目・二層目を流します。防水の塗料は均等の厚さで伸ばしていきます。職人の腕の見せ所です。

ここでお客様宅の施工を解りやすくまとめた動画がありますので合わせてご紹介いたします。

関連動画 雨漏りを止めたウレタン屋上防水

今回の工事でお客様宅の雨漏りも止まり、大変ご満足いただける結果となり見積担当松尾と施工に携わった職人もお役に立てて光栄に思います。

これからも、お客様とのご縁を大切に丁寧な工事をご提供させていただくため誠心誠意取り組んで参りたいと思います。

弊社では、外壁塗装や屋根塗装はもちろん防水工事もプロの職人を揃え施工させていただいております。雨漏りに関するご相談やお悩みがございましたらお気軽にお問合せください。

 

デザインに優れた工事?費用の安さに特化した工事?工事の見るべきところとは

By 防水担当の日誌

先日、外階段の長尺シートの貼り込みがご縁で伺った施主様のお宅がありました。
その際に、階段にできる水たまりについてご相談があったのです。

こちらのお宅は、世田谷にある建物なのですが、階段室の屋根が変わったデザインになっていました。
そこで屋根上に登らせて頂くと、いろいろと不具合が見つかったのです。

きっかけは階段の長尺シート

お客様宅は、もともとメンテナンスを他の会社に任せていらしたのだそうです。
共有部のクリーニング会社の人が知り合いで、防水などちょっとしたことをクリーニングのついでにやってもらっていたのだとか。
ところが、階段部分の塗装が剥がれてきてどうしてもそれが嫌だと奥様がおっしゃり、長尺シートをご検討していただき、弊社に相談がきました。

そこで長尺シートを提案しました。

 

たしかに現場を見てみると、これまで塗装の専門ではない業者が塗装したことで、塗料としては正しくないものが塗られています。

施工後、お客様はかなり喜んで頂けました。
そしてこれがきっかけで、階段にできるみずたまりについてもご相談となったのです。

デザインを優先したことによる雨漏り

この水たまりの原因は、屋根部分にありました。
お客様の家は、ご主人の後輩の建築士の方がデザインをして建てた家だったのですが、ところどころデザインに特化したゆえの不具合があったのです。

 

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というのも、建築士の方は理論上でデザインを優先した建物を建てる方が多く、異質な素材を掛け合わせることがあります。
これは、大工や施工する職人からすると、建てられるもののその後のメンテナンスの難しさや、部材の相性の悪さから回避する『掛け合わせ』なのですが、設計する人、建てる人、管理する人などが違うことによって、不具合ポイントを誰も指摘することなく建物が建ってしまうことがよくあるのです。

今回もこちらのガラスがはめ込まれた階段室の屋根上に上ってみますと、笠木部分にはステンレス製の笠木がかぶせてあることで、防水層、そしてコンクリートの間が裂けていました。

というのも、ステンレスは熱膨張率が高いため、伸縮が激しく防水層などがそれに引っ張られたことで伸縮について行けず裂けてしまいます。まだ普通のかぶせるタイプの笠木であれば、このようなことは避けられていたのですが、屋根と一体化した埋め込みタイプの笠木だったため余計に……。

さらに床部分も破断していました。
そして何よりも、こちらの屋根を取り付けた数十年前はここまでの異常気象(ゲリラ豪雨や暴風雨)が起こることは予想されていなかったのです。

そのため、屋根の空いた隙間から雨の吹き込みが多くなり、余計に傷みが進行しています。


防水層も薄い仕様でしたので、もしかしたら少し費用を安くするためだったのかもしれません。
本来であれば、防水のためのプロテクトをかけるべきところにプロテクトがなく、雨漏りはなるべくしてなった結果といえます。
もちろん家を建てる際には、すべてが100%完璧な状態で建つ家というのは存在しません。

なぜなら、家というのは火を使い、水を使い、ある部分では溶剤を使い、そして異素材を組み合わせ、その全てが丸く収まる建築方法は存在しないからです。
どこかに不具合はでてしまうので、それらを予想して少しでも不具合が少ないようにプロテクトをかけるのが、プロの仕事といえます。
しかし、こちらの屋根は建築士の考えを重視し、そのままの状態で建てられていました。

もしも、この工事中に「このままでは雨漏りなどが起こってしまうかも…」と職人なりが声を上げていたらこうはならなかったかもしれません。
ですが、その時の工事にかけられた費用や、職人をまとめる管理者の指導などが上手くかみ合っていなければ、こうした現場の声は出てこないでしょう。

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現場監督の仕事とは

デザイン重視の家で現場の声を通すためには、管理者の力量が問われます。
そして管理者がどのように建築士と交渉するかによっても、デザインを維持しながら丸く収めるのは至難の業です。
こうした不具合の現場を見ると、やはり僕は現場管理の大切さというものを皆さんにお伝えしたいな…と思います。

イビチャ・オシム氏の言葉に『水を運ぶ人』という言葉があるのをご存じでしょうか。
これは、10人をベストパフォーマンスで活躍させるために、水を補給しメンバーを支える11人目のメンバーのことを指します。
日本の古いことわざで言うところの『縁の下の力持ち』などが近い意味です。
この水を運ぶ人が、いわゆる現場監督なのだと僕は思うのです。

家の設計士、足場、防水、屋根、塗装、大工、シール、板金などそれぞれの職人やプロたちの意見ややり方をふまえて上手くまとめあげる。
これが現場監督の仕事です。
この作業が上手くいけば、工事は上手くいきます。

関連動画 剪定・溶接・屋根塗装・タイル塗装・左官・長尺シートと、工程山盛りの大規模修繕

逆に、この現場監督の仕事は一番目に見えないため、費用でもカットされやすい部分です。
しかも、年齢がいっている現場監督ならだれでもいいか…というわけではなく、現場監督には経験も度量も必要となります。
トラブルをまとめられる力もないといけません。

僕は工事の際に、必ず工事で起こりうる不具合についてもご説明します。
屋根工事、防水工事、塗装工事などの組み合わせを考えて、不具合を予測するのです。
これを説明すると「それって逃げでしょ?」とおっしゃる方もいます。
僕からすると、これは逃げではなくリスクヘッジです。

工事によって起きるかもしれない事柄を1歩先、2歩先を見て考えておくことによって予防策を立てます。
逃げるのであれば、起こるかもしれない不具合など話さなければいいのです。
逃げも隠れもしないからこそ、こうして不具合の可能性までお話します。逆にいえばこれは、ある意味塗装職人としての誠意なのです。

今回の工事では、雨の侵入経路が複数ありました。
できるだけの補修工事を行いますが、雨を引き込む箇所、雨が侵入する箇所…全て根治するのは難しいかもしれません。
それでも、できるかぎりのことをしたいと思っています。
これで工事すべき点については分かりましたので、次はいよいよお見積もりです。

 

現場調査で、屋根上の写真をお客様に見せてご説明したところ、爆裂や裂け目などを見てすぐにご納得頂けたので、さっそくお見積もり依頼となりました。
その見積もり打ち合わせでも、工事の見るべき点がありましたので、ご紹介したいと思います。

見積もりで見るべきところ

今回の見積もりと工事内容をご説明するにあたって、実はお客様以外にもこちらの家を継がれるお孫さんも打ち合わせに参加されていました。
(お客様自身が90歳近いので、お孫さんといっても20代の方です)
僕が今回の屋根工事について説明したところ値段をみて、「ここはこうすればいいのではないか?」「ここはもっと値段を抑えられるのでは無いだろうか」とお客様ご自身で調べたことを元におっしゃっていました。

これについては、すべて作業が必要な理由や内容をご説明したのですが、なぜか途中から金額にフォーカスが当たってしまい、本題である雨漏りを止めるということから目的がずれてしまうことに。
最終的には料金を基軸にした工事内容の決め方ではなく、雨漏りを止めることを基軸にした工事内容の決め方になりましたが、このように目的がずれてしまうことは見積もり依頼時によくあります。

どうしても作業としての項目、塗料や部材そして金額を並べてみると弊社が高いと言われてしまうのですが、実際の内容で見比べた場合、その差額というのは職人の技であったり、施工方法の差であったりすることがほとんどです。
例えば工事項目の『三回塗り』ひとつ比べても、しっかりと補修工事をした上で細部まで下塗りを行い、厚みのある中塗り、上塗りをするかどうかというのは、技量と職人の根気、そして現場監督の管理にかかってきます。

もしもいくつかの業者で見積もりを取って、安い金額に一番の魅力を感じたのであればその金額を出してきた業者で工事をするべきです。
弊社では、その金額ではできません。
職人には、職人の技量に見合った費用が必要ですし、値段を安くするために職人の費用やお客様の家を大雑把に工事するのは本末転倒だと思うからです。

紹介した屋根の結果を見れば明らかだと思うのですが、一方だけに優れた工事は、必ず不具合が起こります。
デザインに特化したからこそ、するべき防水対策などがされておらず、階段まで浸食する雨漏りとなってしまったのです。

見積もりも同じです。費用だけに注目すれば、その値段に含まれる様々な要因に目を向けることができません。
何事においても、片側だけしか見なければ必ずほころびが出てきます。

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だからこそ、さまざまな方向から考える必要があるのです。
塗装工事であれば、塗装箇所の状態、年数、環境、建物にあった塗料、塗料に合った塗装方法、職人の技量、塗装会社の現場経験、足場、補修工事…これら全ての方向から考えて判断しなければなりません。
費用も同じです。部材の値段、塗料の使用量、職人の熟練度、工事の項目、不具合に対する対応など。これら全ての方向から考えて費用が妥当かどうか判断する必要があるのです。

塗装工事の業者でない限り、こうした見えない部分を見ようとするのは、まるでステルス戦闘機を発見するようなものなので、難しいと思います。
それでも、私たちのような塗装工事に真っ向から向き合っている業者には、見積もりの明細には載せていないような細かい企業努力がたくさんあるのです。

トラブルを納めるための再塗装工事で大切なこととは

塗装工事は、最低でも建ってから10年経った家を塗装します。
そのため、新築の家を塗装するのとはわけが違うのです。
この家のように、さまざまなトラブルが出てしまっていればそれを納めてまとめ上げるだけで、非常にカロリーが必要な工事となります。

僕はいつも、塗料のことを薬に例えるのですが、それは古くなって傷んだ箇所に塗る塗料だからです。
傷んだ箇所に、適当に塗料を塗れば最初よりも状態が悪くなることがあります。

新築ではなく、年数が経っているからこそ、きちんと状態を見極め適切な塗料を処方する必要があるのです。

関連動画 12年振りの再塗装1年後のお隣塗装

 

こうした処方するための判断は、現場を経験しメーカーと付き合いがなければできません。
先日のブログで最初に紹介しました、工事のきっかけとなった長尺シートの張り込みも、まさにこの処方の一部なのです。

僕は、相見積もりを取って頂くのはいいことだと思います。
比べて、違いを知ってもらいたいと思うからです。

内容について分からないこと、疑問があればいくらでもお答えします。
いつでもお問い合わせ下さい。
お客様の家にとって一番必要な工事を、弊社が持てる知識や現場経験を持ってあらゆる視点からご提案させて頂きます。

 

 

 

5階建てマンション大規模改修の現場②長尺シート・バルコニー防水

By ベランダ, 長尺シート, 防水担当の日誌

マンション大規模改修工事。
こちらのマンションの前には1日中、電車が走っています。

振動が少なからず外壁タイルの劣化に影響があるかもと感じました。

前回は外壁タイルの打診検査。タイルの補修工事。薬品洗浄、シーリングのことをご紹介しました。
シーリングと並行して塗装工事を行いました。

外壁塗装は1階から5階までの外壁や腰壁に行いました。
一級塗装技能士、塗装科・職業訓練指導員の資格を持つ職人によって見違えて行きます。

付帯部塗装は主に鉄部で、玄関ドア、PS扉、出窓上、パーテーション、室外機止めバンドなどを塗装させていただきました。

居住者の方の在宅日や希望日をアンケートして施工させていただきました。

 

関連動画 こちらのマンションの玄関扉のシーリングと塗装

 

そして、防水工事。長尺シート貼りとバルコニー防水工事です。

 

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防水工事

長尺シートはマンションの解放廊下とエントランスと階段の貼り込みを行いました。

長尺シートは表面は硬くクッション性がないので、衝撃に強い、傷がつきにくいのが特徴です。メンテナンスがしやすく維持管理コストが少なくて済みます。

 

施工は貼り込み面にボンドを塗布します。それを櫛目ゴテで均等にならします。その上にシートをしごき棒を使って圧着していきます。端はローラーを使って圧着します。シートの余分な部分はパーキリやカッターを使用してカットします。

踊り場の施工は床材を仮敷きしたあとにボンドを塗布します。そして、床材を半分ずつ、しごき棒を使用して圧着します。継ぎ目の処理をしてローラーで圧着します。
階段の施工は床材を一段一段貼っていきます。ローラーで圧着したら余分な部分はパーキリやカッターを使用してカットします。

職人によってマンション全ての廊下、踊場、階段に長尺シートをきっちりと施工致しました。

関連動画 こちらのマンションの長尺シート施工

そして、全戸のバルコニーにウレタン塗膜防水を行いました。

防水工事ははじめてとなるバルコニーです。

施行はバルコニーの床の清掃。防水層を劣化させぬように丁寧におこないます。

プライマー塗布。ウレタンと床の密着をよくします。

 

そして、ウレタン1層目を塗布。すべて手作業で丁寧に塗って行きます。

翌日、ウレタン2層目を塗布。床をフラットにさせるのはベテランの防水職人の腕の見せどころです。

さらに翌日、トップコートを塗布で工事は完了です

大規模改修は約2か月の工事期間でした。管理会社様、オーナー様にはご満足いただける工事となりました。

今回の工事は塗装、防水、シール、洗いなどそれぞれのエキスパートの職人によって工事が行われました。

マンション、アパートを住みやすく、長持ちさせるためには定期的にメンテナンスは必要です。

これから改修をお考えのオーナー様。

塗装職人が的確な工事のご提案を致します。どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

5階建てマンション大規模改修の現場①タイル補修・シーリング

By コンクリート, シーリング(コーキング), 外壁, 防水担当の日誌

マンション大規模改修工事のことについてお話しします。

工事のきっかけは今回の大規模改修工事の6年前に行った防水工事でした。
不動産会社様からの工事依頼でした。雨漏りを止めてほしいというご依頼でした。
そして、屋上防水と庇防水を行いました。

屋上防水は塩ビシート防水を機械固定工法で行いました。
機械固定工法は防水シートを鋼板によって固定する施工方法です。

関連記事 防水工事

防水工事

工事後、雨漏りは止まりました。
オーナー様は大変喜んでくれたそうで、そのつながりで6年後に大規模改修工事の依頼となりました。
マンションの外壁はRCでタイル張りです。
5階建て20世帯。1階はテナントが入居している建物です。

関連動画 こちらは工事中の際にアップした動画です

足場設置後、外壁タイルの打診検査を行いました。
建物の向いには私鉄電車が走っていて、一日中、かなりの本数が走っています。
その列車の振動も関係しているのかも知れませんが、浮きや割れなどがあり、結構な枚数のタイルが貼り替えが必要となりました。

タイルはまったく同じものが既に無いので、近似色での対応となりました。

はじめに躯体の補修工事を行いました。
張り替えるタイルははつり機ではつって、浮きがあるタイルは目地に注入をするためドリルで穴を開けます。

タイル貼り替えは補修部にモルタルを塗って、タイルにもモルタル塗って貼りつけていきます。

張り替えのほかに行ったのはタイルの薬品洗浄です。

マンションの屋上にあるアンテナの固定金具が錆び、屋上から4階の外壁にサビ汁が筋状に伝ってタイルに付着していました。

 

こちらは専門の職人が薬品を使用して手作業で洗浄を行い、すべてのサビ汁の汚れを取り除きました。

手順は洗浄液をタイルと目地にブラシで塗り、ナイロンブラシで研磨します。

最後に濡れたウエスで拭き取ります。

薬品洗浄はこの箇所以外の外壁の汚れのひどい大庇、窓廻り、手摺壁などに施しました。

丁寧に洗浄液を塗り、ナイロンブラシで研磨します。

次々とタイルはタイルは元の色を取り戻して行きました。

 

関連動画 このマンションのタイル洗浄の動画

タイル補修と酸洗いと並行してシーリングが工事が行われました。

シーリングは経年で劣化するため、定期的に交換や増し打ちが必要です。

既存シールを撤去してから、養生、シーリング材を充填、均して完成です。

今回のシーリングはタイル目地、シャッター周り、玄関ドア周り、PS周り、トップライトに行いました。

シーリング工事の動画がありますので以下からご覧ください。

関連動画 マンション外壁タイルのシーリング

このあと、塗装に続きますがそれは次回のブログでご紹介いたします。

株式会社塗装職人では大規模改修工事もお受けしております。

ビル、マンション、アパートなどの改修をお考えのオーナー様。

 

10年に一度の大事なメンテナンス。塗装職人が最良の施工をご提案します。

どうぞ お気軽にご相談ください。

駅前テナントビルの大規模改修工事②シーリングと屋上防水

By ウレタン, コンクリート, シーリング(コーキング), 外壁, 屋上防水, 防水担当の日誌

ある駅前に建つ築29年になる5階建てのテナントビルの大規模改修工事の続きとなります。

前回は見積りのこと、足場のこと、外壁補修のことをご紹介いたしました。

今回は塗装と屋上防水についてです。

 

このビルの外壁はRCでした。正面のせり出した箇所にはタイルが貼られています。
このタイルの張り替えは外壁劣化診断調査を行い、タイルの浮き、タイルクラック欠損補修、塗装面の爆裂、欠損補修など細かくチェックしました。

概算時でタイルの浮きは補修は260枚、タイルの張り替えは240枚、爆裂の補修は50か所となりました。

 

関連記事 前回のブログ

駅前テナントビルの大規模改修工事①外壁とタイル補修

 

外壁補修と並行してシーリング工事を行いました。
シーリングは動きの多い目地にシーリング材を充填して隙間を埋め、防水効果と劣化を防ぎます。シーリングは経年によりひび割れ、切れ、剥がれが起きます。シーリングはシーリング職人によって、サッシ廻り、タイル目地、塗装面目地、タイル取り合い等々に行いました。

こちらのビルの外壁はカーテンウォールになっています。カーテンウォールは建物において自重や荷重を負担しない、間仕切壁などと同様の非耐力壁です。そのカーテンウォールにもシーリングを行いました。

 

外壁補修が終わり、塗装工事となりました。塗装の担当は一級塗装技能士と塗装科・職業訓練指導員の資格保持者の曽根カズ職人です。

お客様に喜んでいただける仕事を常に心がけている職人です。

関連動画  曽根カズ職人紹介

最初は高圧洗浄です。屋上から外壁、内階段等々に高圧水洗浄機で丁寧に隅々まで洗浄します。

5階建てのビルの外壁の経年の汚れをどんどん洗い流します。屋上から一階まで、全て洗浄するのに丸1日かかりました。

養生は階段、窓などに養生シート、マスカーなどで広範囲に行いました。

外壁は下塗りは日本ペイントのパーフェクトサーフで、上塗りはパーフェクトトップで塗装。

シーリング工事が終わった後は、塗装工事と並行して屋上で防水工事を行いました。

屋上防水は通気緩衝工法で行いました。通気緩衝工法は下地に含まれる水分を脱気筒によって外に逃す工法です。

施工の最初はプライマー塗布です。使用材料はサラセーヌPです。

プライマーは防水材の密着をよくする役割があります。プライマーを塗布したあとは通気緩衝シート貼って行きます。

通気緩衝シートを貼ることにより防水層の内部に貯まった湿気を逃がします。それにより防水層のふくれを防止することが出来ます。

平場に貼ったあとは、立ち上がりに貼ります。

そして、脱気筒を設置。

脱気筒は防水層と下地の間の水蒸気を外部に排出します。

たまたま、脱気筒の設置後にオーナー様が屋上に来られたのですが、「煙突が立った 煙突が立った」と言って喜んで下さったのが印象的でした。

プライマーの次は、ウレタン1層目を塗布します。

材料はAGCのサラセーヌKを使用。主剤と硬化剤の2液を混合します。密着性にすぐれて塗り重ねが可能です。

ウレタン2層目の塗布。

ウレタンを塗り重ねることにより厚みを作り、防水層を作ります。

紫外線から防水層を保護するトップコートを塗布します。

これで屋上防水の完了です。

外壁塗装も終了。養生作業に入りました。

剥した養生の材料は一般的な戸建ての何倍もの量でした。

2ヶ月近くにわたる工事は終了。

 

足場解体前に検査を行い。足場解体となりました。

足場の組立てには2日を要しましたが、解体は1日で終了しました。

 

美しく生まれ変わったビルが姿を表しました。施主様も納得の出来でした。

その翌日、工事の最初に玄関アーチから外した。

アクリルボードを職人が再びアーチに戻しました。

これで全ての工程が完了しました。

 

関連動画 このビルのアクリルボード交換動画

テナント様、ビル利用者、近隣の方のご協力があって出来た工事です。

オーナー様も大変に喜んでくださいました。

弊社では大規模改修工事もお受けしております。

ビル、マンション、アパートなどの改修をお考えのオーナー様。

10年に一度の大事なメンテナンス。塗装職人が適切なアドバイスを致します。

どうぞ お気軽にご相談ください。

駅前テナントビルの大規模改修工事①外壁とタイル補修

By コンクリート, タイル, 足場, 防水担当の日誌

以前、施工させて頂いた某駅前にある5階建てのテナントビルの大規模改修工事のをご紹介します。

このビルは商店街の入り口にあり、建物の裏手には何本もの線路に電車が走っています。

 

工事のきっかけですが、工事5年前に屋上防水の見積リ依頼を受けて見積もりさせてもらいましたが、結局、他社が工事をすることになりました。

ところが施工の状態があまりよろしくなく施主様も不満だったそうです。

そんなことから、今回は建物全体をやりたいので見積もってくださいと依頼が来たので見積りをさせてもらい、工事を担当することになりました。

施主様は工事が待ちきれないのか、見積書よりも先に工事のスケジュール表を出してほしいと言われてびっくりしました。

建物は築29年になります。

屋上は5年前に防水工事をやったにしてはあまりよろしくない感じでした。

目地とか、ちゃんとやっていないような現状でした。劣化箇所が多数ありました。

また、下地と防水層の間の湿気の逃げ場が見当たらないので、逃げ場を作ることを考え、通気緩衝工法で工事をすることを施主に提案しました。

外壁はRCでした。外壁劣化診断調査を行い、タイルの浮き、タイルクラック欠損補修、塗装面の爆裂、欠損補修など細かくチェックしました。

概算時でタイルの浮きは補修は260枚、タイルの張り替えは240枚、爆裂の補修は50か所となりました。

シーリング工事はタイル面、サッシ廻りなどに行いました。

塗装はタイルが貼られていない外壁面と内壁に行いました。

 

工事は一階のエレベーター前にあるテラス屋根のアクリル板を外すところから始まりました。

この作業は足場を立てる時に部材が屋根の間に通せないため、アクリル板を外す必要があったのです。

1メートル以上あるアクリル板がテラスに5枚取り付けられています。

それを一枚一枚外していきました。

アクリル板は破損させぬように丁寧に外して保管場所に運ばれて、工事終了まで大事に保管されます。

 

その翌日、足場の設置が行われました。

駅前にあるため、一日中、歩行者の往来が途絶えません。ビルの前が道路が抜け道に使われているようで車の通行も一日中途絶えません。

ビルは1階から3階までテナントが入り、工事中も営業します。

そのような条件から、足場設置時にはガードマンを立て、交通誘導を行い、歩行者やビル利用者の安全確保に勤めました。

 

足場は10人のとび職人によって行われました。一騎当千の職人たちにより、足場が着々と組み立てられました。

建物は正面1階が店舗、お隣との間は狭く、足場の越境は確実、建物裏手の境界も狭く、あまり条件がいい場所とはいえませんでした。

 

しかし、事前に施主と打ち合わせして、きちんと近隣挨拶をしていたことから、

足場が越境する両隣共、親切にご協力いただき、気さくに植木やプランターを移動してくださいました。感謝でした。

特にトラブルもなく、着々と足場を設置することが出来ました。

 

関連動画 このビルのアクリル板取り外しと足場

足場設置は2日間掛かりました。2日目はあいにくなことに朝から雨でした。

雨の中でもとび職人たちは淡々と安全に配慮をして足場の設置を行いました。

 

このビルの最上階は斜壁でした。斜壁は構造上、通常の外壁よりも多少、足場が組みにくいです。

雨の中の斜壁での足場設置となりましたが、順調に作業が進み、飛散防止のメッシャが足場全体にかけられ、昼過ぎには足場設置を完了しました。

(工事の時点ではハーネスが義務化される前でしたので、一部の職人しか装着していませんでしたが、現在はハーネスの装着は必携にしています。)

 

足場設置完了後、最初の作業は防水職人による、タイルの打音検査です。

打診棒を使い、タイルの表面をたたき、タイルの剥離の状態を調べます。

音の違いだけで剥離を判断する、大変技術のいる作業です。

 

関連動画 タイル打音検査

外壁補修はピンニング工法で行いました。

工法はまず、浮きが生じたコンクリート躯体にドリルで穿孔します。

そして、孔内を清掃して、エポキシ樹脂を充填します。

複数個所の充填で広域範囲の施工が出来ます。

ステンレスアンカーピンを挿入します。

これによって穿孔穴と剥離した空隙部が固着します。

タイルの張り替えは既存の不良タイルをディスクグラインダーとはつり機(ハンマードリル)を使ってタイルを剥がします。

そして、タイル用接着剤 タイルワンを外壁とタイルにタイルワンを塗布して貼り付けていきます。

貼付け後、タイルを叩くことによって隙間がなくなり、密着します。

連結したタイルで複数枚をまとめて貼ることもできます。

タイルは現状と同じものが無いので、タイルを焼いてくれる窯元に近似のものを作成してもらいました。

 

関連動画 タイルの張り替えとエポキシ樹脂の充填

爆裂補修は、脆弱部を除去します。

樹脂モルタルで成形して爆裂や欠損部を補修していきます。

乾燥したら塗装で仕上げます。

 

関連記事 外壁タイル補修

外壁改修

ここまで、大規模改修の外壁補修とタイル補修のことでした。

次回は塗装工事と屋上防水のことについてご紹介します。

塗装職人では多くの大規模改修を手掛けております。

大規模改修工事をお考えの方がございましたらお気軽にご相談下さい。