ウレタン塗膜防水密着工法による世田谷のマンション屋上再生

施工の見どころ

施工前
施工後

東京都世田谷区にあるマンション屋上で行った防水改修工事の事例です。
築年数の経過により屋上防水の性能が低下し、トップコートの剥がれや黒ずみが目立っていました。外壁にも多数のクラックが見られ、雨漏りのリスクが高まっている状況でした。

目次

工事前

施工前の屋上は、長年の紫外線や風雨によってトップコートがほとんど剥がれ、下地のウレタン防水層が露出している箇所もありました。
ウレタン防水ではトップコートが防水層を保護する重要な役割を果たします。これが劣化するとウレタン層自体が硬化・ひび割れを起こし、防水機能が急速に低下します。このままでは雨水の浸入による雨漏りが発生しかねない危険な状態でした。

下地処理

防水工事の品質を左右するのが下地処理です。
今回は、スクレーパーやワイヤーブラシを使用して古い塗膜や汚れを徹底的に除去。さらに高圧洗浄と清掃を繰り返し、粉塵や浮きのない状態に整えました。

プライマー塗布

清掃後は、下地と防水材の密着を高めるためのプライマーを塗布します。
使用したのは「サラセーヌP-60層間プライマー」。既存ウレタン層との密着性に優れ、改修現場でも信頼性の高いプライマーです。均一に塗布し、乾燥時間を確保してから次工程へ進みました。

入隅の処理

壁と床が交わる「入隅(いりすみ)」部分は、防水の弱点になりやすい箇所です。
ここにはウレタン系シーリング材を充填し、ヘラで三角形に成形する“三角シール”を施工しました。
この形状にすることで水の流れがスムーズになり、角部への水の滞留を防ぎます。

ウレタン1層目

ウレタン防水の本体工事に入ります。
まず1層目を塗布。ローラーや金鏝を使い、平場や立ち上がり部分までムラなく塗り広げていきます。
ウレタン材は液状のため、凹凸のある下地にもよくなじみ、継ぎ目のない防水膜を形成できます。

ウレタン2層目

1層目が硬化したら、2層目の塗布です。
2層目を重ねることで十分な厚みを確保し、耐久性と柔軟性を高めます。
今回は気温・湿度を考慮しながら、1層目との密着を確認して慎重に施工を進めました。ウレタン材は温度によって硬化時間が変わるため、現場判断が重要なポイントとなります。

トップコート

防水層が完成した後は、仕上げとしてトップコートを塗布します。
今回は、耐候性に優れた「サラセーヌT」を採用しました。紫外線・風雨から防水層を守るだけでなく、汚れの付着も防ぐことで美観を長期間維持できます。

施工後

トップコート施工後の屋上は、ムラのない美しい仕上がりとなりました。
雨水がたまりやすかった排水ドレンのまわりも、シール補強と塗装で防水性と見た目を両立。
これで今後の雨漏りの心配もなくなり、居住者の皆様にも安心して過ごしていただけます。

今回の工事では、ウレタン塗膜防水密着工法によって老朽化した屋上を再生しました。
防水層は普段目にしない部分ですが、建物を守る最前線です。定期的な点検とトップコートの再塗装を行うことで、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持することができます。

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