今回のブログも、前回までご紹介したのと同じ江戸川区3階建てビルの改修工事についてご紹介します。
これまで屋上とベランダの防水工事、前々回にはタイルの深目地のタイル壁の防水塗装工事についてご紹介しました。
今回は、タイル壁以外の外壁塗装工事と鉄部の塗装工事についてです。
この建物はALC造で、前面外壁はタイル張り、それ以外はALC外壁となっています。ここでは、そのALC外壁の塗装工事について解説します。
また工法以外にも、ALC外壁の再塗装するタイミングなどを詳しく説明しますので、ぜひご覧ください。
シーリングの打ち直しと増し打ち
ALC外壁の塗装工事を始める前に、サッシ廻りやALCパネルの板間のシーリング工事を先に行います。
ALCの外壁にとって、シーリングは雨漏りを止める要です。
なぜなら、ALC造の建物とは、鉄骨で下地を作った上にALCパネルをはめ込んでいる構造になっており、サイディング壁のように下地に防水紙などの貼り込みはありません。
そのため、パネルのつなぎ目やサッシ廻りのシーリングが切れてしまうと、そこから水が浸入してしまいます。
今回は、シーリングの打ち替え工事と、増し打ち工事をしました。
まずは、サッシ周りのシーリング工事です。
ここでは、シーリングの打ち直しを行います。
シーリングを撤去して、掃除をしました。
その後サッシをマスキングして、シーリングを除去した溝にプライマーを塗ります。


次にシール材を充填しました。
使用したのはポリウレタン系のシール材です。色が白いシール材のため、打ち込んだ箇所がはっきりと分かります。
このシール材は露出したままにできないものです。必ず上から塗装を行うため、色も1種類しかありません。
シーリングの攪拌状態を確認するためにトナーを入れるとグレーにすることはできますが、今回は上に白い塗料を重ねるため、あえてトナーは混ぜずに白のままにしました。


最後にヘラ押えをして、余分なシール材は取り除きます。
シールは隙間があると剝がれやすくなるため、溝に空気が入らないように隙間無く抑え込み仕上げることが大切です。
次は、板間(ALCパネルとパネルの繋ぎ目)のシーリングを行います。こちらは、上からシーリングを打ち込んでもシールの厚みが取れることがわかりましたので、増し打ちを行います。
ゴミやホコリなどをウエスや刷毛で取り除き、プライマーを塗布します。
こうした狭い隙間などには、角度のついた刷毛を使い、細部までプライマーが行き届くようにしました。
職人にもよりますが、場所によって刷毛やヘラを変えることで、より細かな仕事をすることができます。


シール材を充填して、ヘラ押えを行います。
先ほどのサッシ周りでも同じヘラを使用していましたが、ヘラも隙間に合わせたものを使いました。
ヘラによってバッカー(スポンジ部分)を変えて、均等に圧力がかかるようにヘラ押えをします。
シールの場所によっては、金属のヘラを使う場合もあるのですが、この外壁のように壁自体に模様が凸凹とあるタイプの場合、金属のヘラでシール材を押し込むと、表面がカタカタしてしまいます。
そこで、壁に模様がある場合には、厚みと角度が取れるようなスポンジのついた木製のヘラを使いました。
本来、シール材を押し込むだけであれば、指でも行うことができます。
しかし、それでは表面がなめらかで均一な仕上がりになりません。
木製のヘラを使うことで、表面を滑らかに線なく仕上げることが可能になります。
このように、壁の状態によって適正な厚みが付けられるヘラを選ぶことも、職人の技術の一つです。


右の写真がシーリングの増し打ちが終わった状態です。
シーリングは状態によって、打ち替えと増し打ちのどちらかを行います。
打ち替えは増し打ちにくらべ費用がかかるため、増し打ちをご希望される方もいますが、今回の板間のようにある程度の厚みが取れない場合には、増し打ちはできません。
状況によっての判断となりますので、まずはご相談いただければと思います。
高圧洗浄と下地調整
シーリングの打ち込みが終わったら、外壁や屋根など全体に高圧洗浄を行います。
先ほどもご説明したように、ALCにおいてシーリングは雨漏りを防ぐ要です。
そんなALC壁にとって、重要なシーリング工事が終わった段階で高圧洗浄を行うことは、シーリングがきちんと施工されているかの確認にもなります。


また今回の建物は急勾配の屋根だったため、屋根にも別途足場を組みました。
高圧洗浄が終わったら、下地調整を行います。外壁の塗膜が浮いている部分は削ってALC用の補修材で段差を埋めます。
この壁は模様がついていましたので、補修をして模様がなくなってしまった箇所には補修材の上からさらに模様を付け直しました。


軒天も塗装が浮いている箇所がありましたので、補修してその段差をパテで埋めました。
屋根と外壁の塗装工事
下地調整が済んだら、塗装を行います。
屋根はアスファルトシングルの屋根でしたので、専用の塗料を使用しました。
窓などをしっかりと養生した上で、下塗りを行います。


中塗り、上塗りと重ねて完成です。
次に、外壁の塗装を行います。この時シーリングの上も覆うように塗装をおこないました。


下塗り、中塗りを行います。


上塗りをして完成です。

軒天部分も、3回塗りで塗装しました。
最後に鉄部の塗装を行います。
前回のブログでご紹介した屋上とベランダの防水工事の際に、フェンスの根元にはグラウトを注入して、フェンスの支柱から床面に水が浸入しないようにしています。
雨漏りよけのグラウトの注入は、塗装の前でも後でも行うことが可能です。


ケレンをしてから、錆止め、中塗り、上塗りを行いました。
さらに瓦棒のケレンも行います。瓦棒とは、いわゆるトタン屋根で、屋根の間と間に鉄の角材があるタイプの屋根をいいます。
建物の裏側に小さな物置が増築されていて、その屋根が瓦棒でした。


ケレンが終わったら、表面を綺麗にしてから錆止めの塗布を行います。
その上から塗装を2回行って、完成です。


以上で、外壁の塗装工事は終了となります。
ALC壁の再塗装工事は、シーリングの劣化を目安にする
このブログでは、ALC外壁の塗装工事と、屋根・鉄部の塗装工事についてご紹介しました。
屋根や鉄部の塗装は、一般的なサイディング壁の住宅と大きく変わりません。
一方外壁塗装については、サイディングとALCでは、シーリングの扱いと重要度が異なります。
ALCはジョイントのシーリングの上から塗装するため、シーリングを露出したままにできません。またサイディングと違いボードの下に防水シートの貼り込みなどがないので、シーリングの状態が建物の寿命に直結し、重要度が高くなります。
そのため、通常の外壁塗装では外壁表面の劣化を目安にしますが、ALCでは塗装表面よりもジョイント部のシーリングの劣化を見て、改修時期を判断する必要があるのです。
ALC外壁の建物のオーナー様は、家のチェックをする際に外壁だけでなくシーリング部分にも注目してください。
シーリングが「劣化している」、「痩せている」、「剥がれている」などの場合には塗装工事を検討することをおすすめいたします。
いよいよこちらの建物の工事内容のご紹介は次回のブログで最後です。
工事後の完工検査とその後の対応についてご紹介できればと思いますので、ご覧ください。
