4階建て雑居ビルのALC外壁補修工事と塗装工事

4階建ての雑居ビルで、外壁補修工事と塗装工事、防水工事を行いました。

このブログでは、漏水を止め、そして防ぐために行った外壁補修工事と塗装工事についてご紹介します。
雑居ビルは、ALC(軽量気泡コンクリート)造の建物で、現状、壁面と屋上の天端(てんば)と呼ばれる床部分にクラックがあり、過去の補修工事後も再び漏水が発生していました。
そこで、漏水の原因に当たりをつけ、その上で工事をし、しっかりと漏水を止めましたのでご覧ください。

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目次

ALCの板に生じた割れの原因

まずは漏水補修と予防工事の第一歩として、補修箇所の確認を行います。

写真をご覧ください。これは、ルーフバルコニーの掃き出し窓上部を撮影したものです。
サッシ上部に黒い線が見えます。これは、ALC板内部に水が浸入し、内部の鉄筋が錆びて膨張することで外壁を押し上げ、割れが生じたためです。

さらに、天端の割れ目からも水が浸入していると考えられます。

こちらは別の角度から撮影した写真ですが、板間(ばんかん)から天端に以前施工されていたシーリングの破断が確認できます。
この場合、漏水部分のシーリングの打替だけでは補修が不十分です。
そこで、割れている外壁を取り除き補修工事を行うことにしました。

最初に、割れている箇所をチェックします。
塗装職人では、工事前の現場調査で紙テープを貼り、補修箇所や撮影箇所をすべての職人が見逃さないよう工夫しています。

割れた箇所を撤去し、丁寧に清掃を。これは、欠損部と補修剤を密着させるためのプライマーの効果を高めるためです。
ここで使用するプライマーは強力で、多少の汚れがあっても剥がれませんが、徹底した清掃でさらに密着性があがります。

古いシーリングと割れた外壁の撤去後、内部に錆止め材を塗布。
錆は水分と空気による酸化で進行するため、水の侵入を防げば錆の拡大を抑えられます。
そのため、天端と外壁の工事を同時に行うことが重要です。
適切に処理することで、錆の進行を防ぎ、建物の耐久性が向上します。

次に、撤去した外壁部分の成形、「欠損部成形」です。これには専用の補修材を使用します。
補修剤と下地を密着させるためのプライマー塗布後、補修剤をコテや目地棒を使用して塗り込みました。

成形後、プライマーを塗布します。
目地には目地専用のプライマー、欠損部には専用のプライマーを使い分けて使用しました。下地に合わせたプライマーを使用することが、密着性を上げるためには重要です。

シーリング工事

目地にシーリング材を充填します。

使用したシーリング材は、ALCに適した一般的なもので、紫外線に弱いタイプです。
後で外壁塗装を行うため、紫外線に弱くても問題ありません。
なお、一般的なホームセンターで販売されるシーリング材は1液カートリッジタイプですが、弊社では2液タイプを使用します。

2液タイプは現場で攪拌し、シールガンに補充して使用するため、カートリッジタイプより経済的です。
また、「反応硬化型」の2液タイプは内側から固まるため、施工がスムーズになります。
シーリング充填後、ヘラ押えを。こうすることで表面を滑らかにし、密着性を上げ、厚みを確保します。

新築では目地の中心を凹ませる仕上げが一般的ですが、補修工事では平らに仕上げる現場がほとんどです。
これで補修工事とシーリング工事が完了しました。

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補修箇所の確認と高圧洗浄

外壁補修後は高圧洗浄を行います。

防水工事箇所も含め、全体を洗浄し、補修箇所に水をかけて漏水の有無を確認します。
漏水が残っている場合は追加の工事をしますが、今回は漏水が完全に止まっていることを確認できました。

外壁の状態に応じた塗装工事

高圧洗浄後の塗装工事では、まず補強用のクロスを貼ります。

通常、外壁にクロスを貼ることは少ないですが、今回は壁の動きが大きく、建物が高いため、補強クロスを採用しました。

天端から壁までクロスを巻き込むように貼り、下塗り用のサーフで固定し、全体を強化します。

丁寧に施工し、屋上とバルコニーの防水工事を組み合わせることで、長期的な耐久性が期待できます。
少し話が逸れますが、このような工事は「塗装専門業者」や「防水専門業者」だけでは難しい場合も。
天端からクロスを貼る作業は、防水工事と塗装工事の両方にまたがるため、単一の業者では対応が難しいのです。

塗装と防水の技術を併せ持つ塗装職人だからこそ、こうした工事が実現できます。

塗装と仕上げ

補強クロスを貼った後、中塗りと上塗りを行い、完成です。

今回の工事では漏水を止め、さらに今後壁の動きが出た場合にも外壁が割れない工夫をしました。
これで、外壁内部の腐食を止められるので家が長持ちするでしょう。

補修塗装工事にかかった期間は約4日間でした。
屋上に上がるタラップも錆止めを施した後、塗装をしています。

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次回は、同じ建物でのルーフバルコニーの防水工事、屋上の防水工事、手すりの塗装工事をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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