台風シーズン前に知っておきたい雨漏りを防ぐポイントや防水工事

日本は台風や梅雨による豪雨の被害が多い国です。
気象庁のデータによると、年間平均5〜6回の台風が上陸しており(参考:気象庁)、その被害は深刻です。そのため、防水工事や雨漏り対策を行う際は、台風を考慮する必要があります。

また最近ではゲリラ豪雨も頻発し、降水量が増加傾向にあります。
記憶に新しい例として、2025年7月10日のゲリラ豪雨では、渋谷の地下道が冠水し、他の地域でも床上浸水が発生しました。夕方から夜にかけての短時間の豪雨でしたが、数時間で道路が冠水するほどの雨量に。

このような状況から、15年前と比べ、雨漏り対策は大きく変化しています。
この記事では、台風シーズン前に雨漏りの兆候を確認するポイントと、雨漏りを防ぐための防水工事の方法を紹介します。

目次

台風シーズン前にチェックするポイント


台風が来る前に、以下の点に注意してチェックしましょう。
外壁や屋根などの脆弱な部分を把握することで、台風やゲリラ豪雨による被害を回避することができます。
自分でできる簡単なものから、専門業者におこなってもらうものまでありますので、参考にしてみてください。

外壁のチェック

自宅の点検で、最も手軽にできるのは外壁のチェックです。晴れた日に、家を一周して確認しましょう。
チェックの際には、以下のポイントに注目して下さい。

サイディング壁の場合
サイディングボードの継ぎ目のシーリングが剥がれていないか、割れていないか。
シーリングが薄くなっている箇所がないか。
髪の毛よりも太いクラック(ひび)がないか。
変色している部分がないか。

モルタル壁の場合
クラックが入っている箇所がないか。
髪の毛よりも太いひびがないか。
変色している部分がないか。


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屋根のチェック

屋根は、ベランダや遠目から見える範囲を確認する方法がありますが、細部までは確認が難しいです。そのため、信頼できる塗装業者に屋根の点検を依頼をおすすめします。
2019年9月9日に千葉県に上陸した台風15号では、屋根が吹き飛ばされ、多くの家が長期間ブルーシートで覆われる事態となりました。

大風で吹き飛ばされないためにも、瓦やスレート屋根のズレ・割れ、棟板金のズレ、雨樋の状態をチェックしてもらいましょう。

また屋根だけでなく、雨樋も点検必須です。
特に横樋は下から見づらく、枯れ葉やゴミが詰まることで苔が生え、排水が滞ることがあります。これにより、大雨時に水が溢れ、外壁を直接伝う大量の水が劣化の原因となるのです。


屋根は家を守る要です。定期的に点検し、不具合を修繕することで、台風や豪雨に備えられます。

パラペット屋根、屋上、バルコニーの床面チェック
パラペット屋根は屋上となっていて人が出入りするタイプと、普段は人が登らない(立ち入らない)タイプのものがあります。
屋上タイプの場合には、ぜひご自身で以下の点を確認しましょう。

床面(屋上防水)の状態を確認する
歩行による磨耗、花火やタバコの火気による損傷、防水シートや防水層の剥がれ・割れがないかをチェックします。


床面にできた水たまりを観察
1週間以上蒸発しない水たまりは、浸水リスクを高め、防水層を劣化させます。水たまりが続く場合は、早急に対処して解消しましょう。


排水溝の確認
10年以上前に設置された排水口は、現在の雨量に対応できない場合があります。ゴミの詰まりや周囲の水たまりも確認してください。

端末部分の確認
パラペット屋根は、防水シートの端末処理の不備による雨漏りが多く、定期的な点検をすることで不具合を最小限に抑えられます。

笠木部分の確認
パラペット屋根をぐるりと取り囲む笠木部分は、もっとも雨漏りが発生しやすい場所です。ひびや雨水が入り込んだような箇所がないか、入念にチェックを。

雨漏りを防ぐ工事や防水工事の具体策


家をチェックして問題点や脆弱な部分を発見したら、次は台風をしのぐための工事をしましょう。
新築後10年経って、再塗装を考える際にはこちらのポイントも含めて、工事を検討してみて下さい。
補強やメンテナンスをすることで、家を守ることが出来ます。
(素人による補修や塗装は漏水の原因となるため、プロに依頼することをおすすめします。)

シーリングの補修工事

外壁塗装で撥水効果を高め、サイディングの継ぎ目や窓枠のシーリングを打ち直すことで、雨水の浸入を防げます。
5〜10年ごとの点検・補修が推奨されます。

雨樋の点検と清掃

雨樋のゴミ除去や歪みの補修を行うことで、台風やゲリラ豪雨でもスムーズに排水できます。雪の重みで雨樋が歪み、水が流れなくなる場合もあるため、塗装工事の際に必ず点検を依頼しましょう。

屋根の補修工事とカバー工法工事

屋根の傷みなどが部分的にひどい場合は、できるだけ早い補修工事をおすすめいたします。

また、屋根材の割れがひどい場合や、防水シートの寿命が来た場合には、カバー工法や屋根の葺替えなどを検討しましょう。

カバー工法と屋根の葺替えでは費用に差があります。屋根の葺替えは元ある屋根材を下ろし事業ゴミとして処分し、新しい屋根材をまた屋根に上げるため、それだけで費用がかかります。
それに比べてカバー工法は元ある屋根の上に軽いガルバリウム鋼板を重ねるので、廃材などがでません。
元ある防水シートの上にさらに防水シートを重ね、その上にガルバリウム鋼板を張るため、その分、台風やゲリラ豪雨に強い屋根となります。

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屋上・バルコニーの防水工事

ウレタン防水、FRP防水、シート防水など、場所に応じて最適な工法があります。適切な工事を行うことで、雨漏りを防ぎ、台風やゲリラ豪雨に備えられます。

例えば、ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布して継ぎ目のない防水層を形成する工法です。工事することによって、雨水の浸入をシャットアウトします。パラペット屋根やベランダに適した工法で、耐久年数は約10〜15年です。
その他にも、家の状態や場所に合わせて防水工事を行うことができますので、ご自身で判断が難しい場合には、ぜひ専門業者へご相談ください。

東京防水職人のHPでもさまざまな防水工事の様子を紹介しています。詳しくはこちらをご覧下さい。
また屋上を工事する際には、排水溝のメンテナンスもセットで行いましょう。排水勾配の改善や定期的な清掃で水の滞留を防ぎます。

屋上やバルコニーのドレン(排水溝)は、防水の要です。改修用ドレンは、ツバが広く、防水層の端末部分をしっかり貼り付けられる形状で、確実な改修が可能です。逆流防止のフレキシブルホース付きの横樋や、風飛び防止のドレンキャップも活用することで、台風などに備えることができます。

また、防水効果を維持するには、5年ごとのトップコートの塗り直しが必要です。定期的なメンテナンスで、長期的な防水性能を確保しましょう。

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台風が来る前にチェックすることで家を守る
台風やゲリラ豪雨に備える大切さ台風やゲリラ豪雨による被害を防ぐには、台風シーズン前に家の状態を点検し、必要に応じて工事を手配することが重要です。

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屋根の点検は、専門業者に依頼することでドローンを使った詳細な調査が可能な場合もあります。
点検や工事の依頼は、台風の2ヶ月前に行うと安心です。
また、緊急時の応急処置用に、ホームセンターで購入できるブルーシート(1枚2,000〜5,000円)を用意しておくのも有効です。

補修や塗装工事を先延ばしにすると、台風後の大規模な修繕で費用がかさむ場合があります。コストを抑え、家を長持ちさせるためにも、事前の点検と対策をおすすめします。

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