数年前にビル共用部の長尺シートの張り替えをされたお客様から、屋上の防水塗装工事のご依頼がありました。
当初は外壁塗装工事も合わせて検討されていましたが、予算や工事の必要性を考慮し、今回は屋上床面の防水工事を中心に施工いたします。
今回のブログでは、通気緩衝工法で施工された床面に重ねるウレタン塗膜防水密着工法、そして塔屋の壁面に行った防水効果の高いマスチック工法についてご紹介しますのでご覧ください。
屋上の床面と塔屋の塗装工事
こちらの建物は築40年のビルで、1階と2階は賃貸、3階と4階はオーナー様のご自宅になっています。
今回は屋上の防水工事ということで、屋上床面と塔屋の現地調査を行いました。
屋上の床面には通気緩衝工法の防水が施されており、大きな傷みや雨漏りはありません。
この状態であれば、上からウレタン材を重ね塗りすることが可能です。
また、塔屋の外壁にはところどころ浮きが見られました。
浮きがある場合は、補修工事を行った上で塗装工事を実施できます。
以上のことから、床面はウレタン塗膜防水密着工法、塔屋外壁はマスチック工法にて工事をすることになりました。
お客様と施工方法や内容を確認し、ご契約しましたら工事開始です。
残置物の処分
工事方法が決まったら、屋上の残置物撤去に取りかかります。
室外機下のブロックや物干し台などは工事後に新しく交換することにしたため、処分しました。その他残置物も不要なものは処分をし、工事後に戻すものは敷地内で保管します。

残置物を全て撤去したら、床面全体の高圧洗浄を行います。

今回は塗装工事をする塔屋の外壁や塔屋の上部にも高圧洗浄をかけました。
高圧洗浄が完了したら、次に防水工事・塗装工事前の下準備を進めます。
塔屋の塗装工事下準備

まずは塔屋の補修工事です。
打診検査で確認した外壁の浮き部分を剥がします。
壁の内側の鉄骨が劣化すると錆びて膨れ上がり、壁に浮きが生じます。そうした浮き部分を全て削り取り、ALC用の補修材で埋め戻して平らに仕上げました。

その後、壁の継ぎ目にシーリングの増し打ちを行います。
ALCのシーリングは元々へこんだ形で仕上げられており、再塗装時に増し打ちが可能です。 (今回は増し打ちでしたが、シーリングの状態によっては打ち替えとなる場合もあります。)

元のシーリングの上にプライマーを塗布し、その上からシーリング材を充填します。
最後にヘラ押さえを行い、シーリング表面を平らに整えたら塔屋外壁の下準備完了です。
また、パラペット周りの笠木の繋ぎ目にもシーリングを施し、ブリッジをかけます。これにより、笠木の繋ぎ目から雨水が浸入するのを防ぐことができます。
ウレタン塗膜防水密着工法

下準備が終わったら、ウレタン塗膜防水密着工法を行います。

最初に、パラペットの立ち上がり部分にプライマーを塗布し、その後平場にプライマーを塗布します。
立ち上がり部分と床部分には同じ防水材を使用しますが、希釈率を調整しました。
立ち上がり部分は垂れやすいため粘度を高くし、床部分は塗り広げやすいよう粘度を低めに設定しています。

プライマーが乾いた後、排水溝に改修用ドレンを取り付け、周りをシーリングして床面と段差ができないように整えます。

次に、防水材の1回目を塗布します。

平場部分にも、プライマーと同様に希釈率を調整した防水材を塗りました。
立ち上がり部分の2回目の塗布を行い、脱気筒の周りなども丁寧に隙間なく仕上げます。

最後にトップコートを塗布して、ウレタン塗膜防水の完成です。

こちらは完工後の床面の様子です。ムラなく綺麗に仕上がりました。
外壁のマスチック工法

次に、塔屋の外壁塗装工事を行います。
塗装工事に先立ち、塔屋周りのフェンスなどを養生しました。

今回はマスチック工法で施工します。
この工法は、粘度の高い弾性塗料を専用のマスチックローラー(砂骨ローラー)を使って厚く塗り上げる方法です。外壁のひび割れ対策や防水効果の向上に優れています。
ALC外壁はひび割れが生じやすいため、下地の動きに追従しやすいマスチック工法はおすすめです。
塗膜に厚みが出ることで、雨漏りのリスクも軽減できます。
ただし、マスチック工法は通常の外壁塗装に比べて塗料使用量が2〜3倍になるため、乾燥時間や施工の手間が増え、費用も上がります。

中塗り、上塗りを1日ずつ行い完成です。
屋上床面の防水工事だけでなく、塔屋も合わせて防水効果を高める塗装工事ができました。
ウレタン塗膜防水密着工法の雨のはじき方

ちょうど雨が降った後だったため、床面で雨がきれいにはじかれている様子が写真からもお分かりいただけると思います。

多少の水たまりは、防水効果が発揮されている証拠です。
水たまりができると雨漏りを心配されるお客様もいらっしゃいますが、2〜3日で蒸発する程度であれば問題ありません。

今回は室外機の足元のブロックもプラスチック製の新しいものに交換し、完工後に設置しました。

また、塔屋の基礎部分は立ち上がり部分と同様に防水材で塗布しています。
ビルやマンションの屋上は、建物の屋根と同じです。
しっかりと防水工事を行うことで、建物の寿命を延ばすことができます。
防水工事の時期を見極めることの大切さ

お客様のビルは築40年でしたが、適切なメンテナンスがされていたため、通気緩衝工法の上にウレタン塗膜防水密着工法を施すことができました。
万が一通気緩衝シートが傷んで雨漏りが発生している場合は、剥がして施工し直す必要があり、費用が高くなります。
冒頭でもお伝えした通り、当初お客様はビル全体の外壁塗装工事も検討されていました。 しかし、防水工事と外壁工事を同時に行うと予算的に厳しいため、今回は必要性の高い防水工事を優先することになったのです。
結果的に、お客様のご決断で費用を抑えることができ、大変良い工事となりました。
建物管理ではどうしてもメンテナンスを後回しにしがちです。
しかし、適切にメンテナンスを行うほど、今回のように費用を抑えながらも効果のある工事が可能となります。
ご自宅を長期間点検されていない場合は、まずは建物の周りを一周して観察してみてください。それだけでも状態が把握できます。より正確に知りたい場合は、業者に現場調査を依頼することをおすすめします。
建物の状態を正しく把握することが、工事時期を見極め、費用を抑えた施工を行う秘訣です。
