今回は、世田谷区のマンションのオーナー様から屋上防水工事のご依頼をいただきました。
現場を確認したところ、屋上に携帯電話の基地局が設置されています。
素人では動かすことのできない機械ですが、適切な手順を踏めば屋上防水工事は可能です。
今回は基地局が設置された屋上での防水工事についてご説明します。
基地局の機械を上げてもらう
工事に入る前に、携帯会社へ連絡します。今回はオーナー様が担当者をご存じでしたので、
スムーズに手配ができました。
オーナー様が担当者の連絡先が分からない場合でも、弊社から携帯会社へ連絡し、現場のビ
ル住所などを伝えることで対応は可能です。
工事日が決まった段階で連絡を取り、工事開始日を伝えたうえで、その日までに機械を上げ
てもらいます。
屋上の鍵の解錠などが必要になるため、基本的にはオーナー様に対応をお願いしていますが
、鍵をお預かりして弊社で対応する場合もあります。

上記の写真が基地局を上げた状態です。
簡易的に組んだパイプで床から上げ、床面の工事を可能にしています。
作業時間は1時間〜2時間程度ですが、工事前に済ませておくことが重要です。
もちろん、冒頭の現状写真に写っていた植物の鉢植えなども工事前までに移動していただき
ました。
床上に障害物がなくなったことを確認した上で、屋上防水工事を開始します。
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防水工事をするための下準備
最初に補修工事から始めます。

こちらは架台(手すりの支柱を支える台)の写真です。水が回ったことで、架台を覆ってい
たウレタンが割れています。
原因はアルミの手すり接合部から入った雨水です。雨水は手すりの接合部から入り、支柱を
通って架台に到達します。
その水が架台内の鉄筋と反応して錆び、防水層の内側から膨張したのです。
この膨張により、架台を覆っていたウレタンも内部からの圧力で破れてしまいました。

傷んでいる箇所を取り除くと、写真の状態になります。
モルタルがボロボロになり、原型を留めていません。

接着剤を塗布した上で左官補修を行い、さらに欠けている箇所は補修用のモルタルで架台の
形を整えて補修しました。

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架台の補修が終わったら、高圧洗浄を行います。

床面や壁の立ち上がりなどを綺麗に洗い、防水工事前の下地処理は完了です。
屋上防水塗装

防水材を塗る前に、立ち上がり部分にプライマーを塗布します。

その後、入隅にシーリングを施し、角に水が溜まるのを防ぎます。
これは入隅は破断しやすいので補強のためです。

次に床の平場にもプライマーを塗布します。この写真の真ん中にある水たまりのようなもの
がプライマーの液です。これを伸ばして塗布していきます。
広い床面はコテで伸ばし、角はローラーに持ち替えて塗布しました。
(プライマーは床面もローラー塗りです。)

プライマーが乾いたら、立ち上がり部分に1回目の防水材を塗ります。

今回使用した防水材はサラセーヌです。伸長性・耐久性に優れたウレタンゴムの特性を生か
したウレタン塗膜防水です。

さらに立ち上がり、平場と順に防水の2回目、最後にトップコートを塗布します。
今回はウレタン密着工法ですので、液状のウレタン樹脂を下地(コンクリート等)に直接塗
布して継ぎ目のない防水層を形成しました。
既存はウレタンの通気工法なので、ウレタンの上に密着工法を行いました。
元の防水工事の方法によって重ねる防水工事は変わりますので、屋上防水工事をお考えの際
には、まずは塗装職人までご相談ください。

こちらが完成した写真です。
つなぎ目がなく、美しく均一に仕上がっています。
雨水の浸入経路の補修工事
全体の塗膜防水工事が終わったら、最後に水の浸入に備える補修工事を行います。

まずはアルミ手すりの支柱です。先ほど補修用のモルタルで架台を補修しましたが、せっか
く補修してもアルミの手すりからまた水が浸入すれば同じ状態に戻ってしまいます。
そこでアルミの支柱にグラウトを注入するための穴を空けます。
この作業を穿孔といいますが、写真で分かる通り、架台よりも少し上に穴を空けるのがポイ
ントです。

穴を空けたら、アルミ支柱にグラウトを注入して支柱の空洞部分を塞ぎます。
こうすることで、架台に水が浸入しなくなります。
注入するグラウトは無収縮モルタルを使用しています。
通常のモルタルは乾燥すると収縮します(建築用語でモルタルが痩せるといいます)が、無
収縮モルタルは収縮しません。これによって、支柱の中を完全に塞ぐことができます。

実はこのグラウト注入用に開けた穴には、もうひとつ役目があります。
それは、支柱に入った水をこの穴から排出する役目です。
水の浸入口を塞ぎ、さらに浸入した水を意図した方向へ逃がすことで、防水効果を維持でき
ます。

最後に行うのは、笠木のつなぎ目の補修工事です。
笠木も水の浸入が多い箇所です。今回は雨漏りが発生していませんでしたが、今後雨漏りす
る可能性があるため、笠木のつなぎ目をブリッジで塞ぐことにしました。
最初に養生を行い、プライマーを塗布し、ブリッジを密着しやすくしま
す。

次にバックアップ材を固定して、そこに変成シリコンを充填します。

隙間なく仕上げるためにヘラ押えをして空気を抜きます。

変成シリコンが乾いたらバックアップ材を外し、完成です。
最後に基地局を携帯会社に下ろしてもらい、これで全ての工事は完了となります。
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早めの対応が費用を抑えた工事をするためのコツ
今回の屋上防水工事は約1週間かかりました。特に大きな補修工事はなかったため、スムー
ズに進んだといえます。

屋上がもともとしっかりと防水されていたことや、早めの工事依頼だったため、経年に相当
の劣化は見られるものの漏水は起きていませんでした。そのため笠木はブリッジ工事だけで
済んだのです。
もしあと数年放置していたら、笠木からの漏水が発生し、笠木の脱着工事が必要になってい
たでしょう。
屋上は普段なかなか登らない場所のため、つい後回しになりがちな工事です。
費用を少しでも抑えたいとお考えであれば、早めの防水工事をおすすめします。基地局の設
置などがある場合でも、お気軽にご相談ください。
今回のオーナー様も、ご自宅の塗装工事をきっかけにご依頼いただきました。
豊富な現場経験から、どんな建物・状況でも対応し、最善を尽くします。
