世田谷区にあるマンションで行った屋上防水改修工事。前回は建物に無理のない状態へ整えることを最優先に進め、破断部や浮いた樹脂モルタルの撤去、左官による平滑処理、通気孔の作成やケレン・清掃、そして AV シートの貼り付けまで完了しました。今回は、いよいよ屋上を呼吸させる仕組みを完成させていきます。ここからは建物の防水性能をぐっと高めていく工程が続きます。下地づくりから仕上げへ——防水工事の核心に入っていきます。
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脱気筒新設:湿気を外へ逃がす仕組みの完成
通気層を作り終えたら、その出口となる脱気筒を取り付けます。これにより、湿気を外へ逃がす仕組みを完成させていきます。
取付けはドリルで平場に穴を開け、プラグを打ち込み、ビスでしっかり固定。

脱気筒は小さな部品ですが、役割はとても大きく、防水層の寿命を大きく左右する重要なパーツです。
既存ドレン撤去・改修用ドレン設置:雨水の“出口”を強化
ドレン=排水口は、防水工事の中でも最重要ポイントのひとつです。

既存のドレンを撤去し、新しい改修用ドレンを取り付けることで、雨水の流れをスムーズに整えます。
ハンマーで軽く叩きながら下地にしっかりフィットさせ、高さや角度を微調整しながら丁寧に施工します。
ガラスクロス張り:立上り部の補強を兼ねた仕上げ
立上り部分にはガラスクロスを貼り、動きやすい部位を補強します。

防水層の割れやすい部分にクロスを入れることで、耐久性が大きく向上します。
しわが寄らないようにクロスを貼り付けるのは熟練の技で、後の仕上がりにも大きく影響する工程です。
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AV-W 塗布:通気シートの目を埋めて表面を滑らかに
サラセーヌAV-W は「目止め」のための材料で、これを塗布することで通気シートの凹凸をならし、ウレタン材が綺麗に密着するようになります。

硬さのある材料のため、厚すぎても薄すぎても問題が生じるため、ここは職人の腕の見せ所。
表面の状態を見ながら、絶妙な厚みに整えていきます。
ウレタン塗布一層目:均一な膜厚をつくる大切な工程
いよいよ防水層の本体となるウレタンを塗布していきます。

一層目は特に重要で、金鏝で丁寧に押さえながら均一な厚みをつくっていきます。

気温が高い日や風が強い日は乾きが早くなるため、塗るスピードや材料の伸ばし方を調整する必要があります。
ウレタン塗布二層目:強くしなやかな防水層の完成
二層目のウレタン塗布では、必要な膜厚をしっかり確保し、防水層としての仕上がりを完成させます。

一層目との一体感を意識しながら塗ることで、より強固でしなやかな防水層に仕上がります。

また、通気シートが下地の呼吸を助ける「道」だとすれば、脱気筒はその終着点。ここがしっかり機能することで、ウレタン防水層の膨れや早期劣化を防ぎ、長期的な安心につながります。
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トップコート塗布:紫外線から防水層を守る大切な最終工程
最後にトップコートを塗布します。

トップコートは防水層の「日焼け止め」のようなもので、紫外線による劣化を防ぐために欠かせません。

平場はナガエを使い、ムラなく仕上がるよう丁寧に塗布しました。
施工後:湿気の抜け道が整い、安心して過ごせる屋上へ
仕上がった屋上は、滑らかで美しく、通気層によって内部の湿気も逃げやすい状態になりました。

改修用ドレンも新設したことで排水性も改善され、雨漏りのリスクが大きく減っています。

「長く安心して使っていただける屋上になった」
そう感じられる現場でした。
排水性能を左右するドレン改修、立上りの補強、ウレタンの二層仕上げなど、建物の防水性能をぐっと高めていく工程でした。

今回の工事では、破断や浮きを丁寧に取り除き、下地を整え、湿気を逃がすシステムをつくることで、防水層が最大限に力を発揮できる状態をつくりました。
建物の状態をしっかり観察し、必要な処置を一つずつ丁寧に行う——
それこそが、防水の品質を左右する最も大切なポイントです。
