杉並区・RCマンション大規模改修工事②

東京都杉並区の築33年RC造4階建てマンションにて、外壁改修・シーリング・タイル補修・長尺シート張替えなどの大規模改修工事を行いました。外壁シーリングでは漏水の原因を発見し、部位ごとに最適な材料で補修。外壁クラックはVカット後に丁寧に仕上げました。また、外壁の爆裂部分や浮きのある腰壁には、熟練職人の技術で補強を実施しました。

後編はタイル張り替えや誘発目地によるひび割れ防止、長尺シート施工、バルコニー防水と意匠の刷新、屋上塔屋の釈迦戸タイル補修まで、現場の知恵と技術を結集した様子をご紹介します。

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目次

タイル張り替えと誘発目地の工夫


外壁タイルの点検では、打診検査により浮きが確認された箇所について、1枚ずつ丁寧に張り替えを行いました。

タイル 張替え

使用するタイルは既存と同等品を手配し、違和感のない仕上がりを追求。

タイル 張替え後

また、腰壁のようにひび割れが発生しやすい部位には、職人の判断で「誘発目地」を新設。

腰壁 誘発目地

これは、構造上ひびが入りやすい箇所に意図的に溝を設けてクラックの発生を制御するもので、建物の寿命を考えたプロの工夫です。

関連動画 ひび割れたマンション外壁タイルの改修工事

長尺シート施工とアスベスト対策


2階廊下の長尺シート張り替えでは、アスベストが検出されたシート(既存接着剤)は慎重に扱い、廃材の適正処理までを徹底して行いました。

長尺シート 張替え

新たに施工した長尺シートは、滑りにくく耐久性に優れた仕様を採用。共用部の美観と安全性を確保するだけでなく、将来の維持管理もしやすい素材を選定しています。

長尺シート 張替え後

関連動画 マンション廊下と階段の長尺シート

バルコニー防水と意匠の刷新


バルコニーでは、既存防水層を撤去後、ウレタン塗膜防水を2層に分けて塗布。防水性能を確保しつつ、仕上げ色を茶色からグレーへ変更することで、建物の印象も刷新されました。

バルコニー防水 ウレタン塗布

防水層の端部や立ち上がりには丁寧な処理を施し、雨水の侵入をシャットアウト。塗膜の厚みや均一性にもこだわり、施工後の点検でも非常に高評価をいただきました

バルコニー 立上り ウレタン塗布

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屋上塔屋の釈迦戸タイル補修

今回の工事の最終工程として、屋上塔屋の「釈迦戸(斜壁)」部分の補修を実施しました。ここは斜面に設けられたタイル張りの壁で、素材の異なりや角度により、劣化や剥離が起こりやすい構造です。

釈迦戸 斜壁 補修 ローラー

施工では浮きやクラックを確認し、必要箇所には下地処理を施してから新たなタイルを貼り付け。勾配と素材の相性を見極めたうえで、職人が一枚一枚丁寧に施工しました。

釈迦戸 斜壁 補修 メッシュシート

技術力と経験が試される場面でしたが、班全体が一丸となって美しく仕上げ、工事を締めくくりました。

釈迦戸 斜壁 施工後

工事を終えて

本件は、調査から完了報告まで一貫して“プロの職人集団”が対応した、まさに総合力が試される現場でした。各工程ではそれぞれの職人が知恵と経験を活かし、補強や配慮を加えながら、建物の安全と美観を取り戻すことができました。
「建物を守る仕事」とは、ただ壊れた箇所を直すだけではありません。次に劣化するであろう部分を予測し、必要に応じて一歩先を行く対処を施す。
今回の工事を通して、その姿勢が施主様にも届き、「お願いして本当に良かった」とのお声をいただきました。

これからも目に見える仕上がりだけでなく、建物の未来まで見据えた提案と施工を考えます。

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