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東京都23区

鉄筋コンクリート屋上の急所、排水口交換と防水工事

種別防水
箇所屋上
改修用ドレン取付作業 ドレン取付とウレタン防水施工後

現地調査診断と見積り

今回の現場は江東区の5階建ての鉄筋コンクリート(RC)の屋上防水です。屋上と4階部分のルーフバルコニーと屋上の防水となります。既存がゴムシート防水でしたが、全面撤去してウレタンの通気緩衝構法で施工します。既存のゴムシートは加硫ゴムなのですが、笠木が外せないので笠木の下まで続いている加硫ゴムとうまく防水接続するための工事が必要です。

加硫ゴムにウレタン塗膜防水の工事のように重ねるのではなく、カチオン系樹脂モルタルで加硫ゴムに接続させます。またこのマンションも屋上の排水溝のドレーンが細く、改修をご提案いたしました。ここ最近の気候変動などにより、屋上の補修工事も時代に対応した工事が必要とされています。

雨漏り原因とウレタン層の撤去

まずは既存のウレタンの撤去作業からとなります。本来であれば既存のウレタンを撤去することなくそのまま作業を始める事が殆どですが、既存のウレタン層に水が回っている場合は撤去する必要が出てきます。ウレタン層に水が回っていると、建物のどこかで雨漏りが起きている可能性が高いです。

水が回ってしまっているだけで雨漏りしていないケースも多いですが、既存のウレタン防水層のどこかが経年劣化、地震などの揺れでウレタンが切れてしまった状態になってしまっています。水が回ってしまったからすぐに雨漏りするという訳ではなく、これらの水は時間をかけて建物を伝って行くことも多いです。なので水が回ったウレタン層を撤去し、水をふき取ってからの作業が必要となってくるのです。

【雨漏りしていた既存防水層の撤去と屋上防水の参考動画】

次に下地材で絶縁作業を行います。この絶縁作業は絶対に必要な作業、という訳ではありません。絶対に必要なケースは既存の防水がアスファルト防水と呼ばれる、アスファルト材をシート状にしたものをタールでくっ付ける施工方法だった場合。既存の防水がアスファルト防水だった場合もアスファルトシートの撤去が必要となり、シート下のタールもスクレーパーと呼ばれる道具で全て削り取ることになります。

とは言え完全にタールを取ることは出来ないことと、タールとウレタンはくっ付かないことから下地材での絶縁作業が必須となるのです。
他にも既存のモルタル層とウレタンがくっ付かない場合は全てこの絶縁作業が必須となります。

下地モルタル補修とプライマー塗布

下地を樹脂モルタルで補修します。乾燥後プライマーを塗布して入隅を中心にシールをしていきます。



 

排水口(改修用ドレン取付)

撤去し水のふき取りが終わって乾いたらドレン周りの下処理を行います。ドレン周りは雨漏りの一番の原因ともいわれ屋上防水の急所となっているので、この下処理は必須となります。
台風などの大雨ではすんなり処理しきれない雨水の水位が少しでも上がると雨漏りの原因にもつながってしまいます。

既存のウレタンを撤去してしまっているので、ここの周りも当然防水がされていない状態です。ドレン周辺に隙間がある場合は、速乾性のシーリング材などで埋め、そこから建物全体へ水が回らないようにしておきます。

絶縁作業が終わったら、下地材を塗った場所全てケレン作業を行います。
絶縁を小手で行う人、ローラーで行う人様々ですが、小手で作業した場合だとどうしても小手ムラが出てしまい細かな段差や出っ張りが出来てしまいます。
これらをケレンし、キレイに平らにする、という訳です。段差や出っ張りがあると、そこに隙間が出来てしまうのでこれも必須となります。

 

【改修用ドレンと脱気筒の取付参考動画】

 

自着シート貼りとウレタン防水1層目

ケレン作業が終わったらプライマーを塗って行きます。プライマーとは接着剤のこと。これを塗らずにウレタンを流してしまうと、後で全て剥がれてきてしまうので絶対にプライマーは必要です。次はいわゆる通気緩衝シートである自着シート張りです。メーカーによってはQVシートやAVシートと呼びます。これも必ずある工程ではなく、脱気筒を付ける必要がある場合に行う作業です。

このシートはメーカーによって素材が様々ですが、仕上げた時にウレタン層とモルタル層の間に湿気を逃す隙間を作るもの。この湿気は長い時間をかけ脱気筒から抜けていくようになっています。なので貼られるのは床面だけで、壁になっている箇所にこのシートを貼り付けることはありません。

夏など、気温が高い場合、ウレタンが少し膨れていることがありますが、これはモルタル層とウレタン層の間にある湿気が熱膨張で膨らんだものです。気温の低下と共に膨らみがなくなるのなら問題はありませんが、気温が下がっても膨らんだままだと補修が必要になってきます。シートを貼り終わったらこんどは絶縁シールを貼っていきます。

【自着シート貼りの参考動画】

シートは1メーター幅くらいのものが殆どで、それを並べるように貼って行きますがこの時隣のシートと重なったり、ピッタリと密着させて貼り付けません。必ず1、2ミリ程度開けてシートを貼り付けます。この1、2ミリの隙間も、後に湿気を逃す通り道となるわけです。この僅かな隙間を被せるように、絶縁シールを貼り付けていきます。

絶縁シールはシートとシートの隙間だけでなく、シートの端にもぐるりと貼り付けます。メーカーによってはこの絶縁シールを貼った上から、ウレタンを塗る必要があります。これは雨が降りそうな場合にやる雨養生で、雨が降らないと分かっている時にはやらないこともあります。床の絶縁シールまで終わったら今度は周囲の壁の作業となります。職人はこの壁のことを立ち上がり、と言います。

立ち上がりにはメッシュシートと呼ばれるウレタンを補強するメッシュを入れます。布状のもの、網目状のものがありますが、今は殆ど網目状のものが主流です。

床も同じですが、立ち上がりにメッシュを入れたら、そこからウレタンを1層、2層と塗布していきます。屋上防水の現場は大抵複数人で作業することが殆どなので、大抵は立ち上がりを作業している間に誰かが脱気筒の設置を行います。脱気筒も立ち上がり同様メッシュで補強作業が必要です。

【ウレタン1層目施工の参考動画】

ウレタン防水2層目

周囲の立ち上がり全て2層まで入れ終わったら床にウレタンを流していきます。その前にドレン養生が必要になります。屋上は一見すると真っ平に見えますが、勾配が付けられており水が上から下へと流れていくように作られています。ウレタンは固まるまで液状なので、どんな腕のいい職人でもこの勾配に逆らい、上から下へ流れないように流すことは不可能です。

ウレタンが流れることを計算して作業していく訳ですが、この時上から下へと流れる水やウレタンは、当然ドレンへ向かっていくことになります。想定外にウレタンがドレンへ流れてしまうと、ウレタンでドレンを塞ぐことになってしまいますので、予めドレンの穴が塞がらないように養生をする、という訳です。立ち上がりの項目で説明した通り、ここも2回ウレタンを流す事になります。

防水屋の一番の仕事とされるのがこの床にウレタンを流す作業です。一番の仕事に行くまでにこれだけの工程がある、なかなか手間のかかる仕事です。

【ウレタン2層目施工の参考動画】

一番の仕事と言いましたが、屋上防水に於いては楽な作業になります。流している最中はそれなりに疲れる仕事ではありますが、ウレタンを流した箇所には最低でも1日は誰も立ち入ることが出来なくなります。することが無くなる…つまり職人が早く帰れる日ということになります。

今まで夕方くらいまでずっと居たのに、突然早く帰るようになった…防水職人がこれをやるようになったら、大抵はウレタンを床に流す日が来て終わったから帰るんだ、と思って大丈夫です。 防水業界とかでは時々見聞きするのですが、特に酷い職人だとサボる職人も当然いたりするもので、そういう人たちは工事始まったその日から昼過ぎに帰ってしまったり、遅刻してくる、そもそも現場に現れない、なんて事がザラなので、真面目に仕事をする職人かどうかの見極めの1つにもなってきますね。

トップコートを塗布して完成

全て2層まで行けば後はウレタン劣化を防ぐための保護剤、トップコートを塗って行きます。この段階で不備がないか見て回り、立ち上がりのメッシュが見えている箇所があればそれを埋めたり。この段階でドレン養生の撤去も行われます。不備が無ければトップコートを塗って行きます。ウレタン材と違いこれは1回塗って終わりです。

立ち上がりから床、という順番で塗っていきます。床には見た目はただの粉にしか見えない骨材を混ぜて塗って行きます。トップコートのみだとツルツルしてしまい、後に歩く人が足を滑らせて転んでしまう危険があるので、わざと骨材を混ぜてザラザラになるように仕上げるのです。要するに滑り止め、ということです。

【トップコートを塗布する参考動画】

ここまででほぼ完了です。この後にすることは、トップコートの掠れがないか、だとかドレンにストレーナーと呼ばれるゴミ除けを設置したり。これら全て終わって防水工事はようやく完了となります。完了したら検査を受け、手直しを指摘されればそれを直し、何も無ければ完全に終了です。

仕様

  • 下地処理(既存防水シート全面撤去)
  • 下地処理(ケレン、清掃) 入隅シーリング(ウレタン系シーリング材三角シール)
  • 平場防水(ウレタン塗膜防水通気緩衝工法)
  • 立ち上がり防水(ウレタン塗膜防水密着工法)
  • 排水ドレン補強(既存ドレン撤去~改修用ドレン取付)
  • 脱気筒新設(STS製脱気筒仕様)