クラックなどから雨水が浸入して、躯体内の鉄筋に錆が生じた結果膨張してコンクリートが押し出された状態。重度の場合は、鉄筋が露出した状態となり、コンクリートが欠落する恐れも。鉄筋コンクリート以外にも、ALCによるボルト穴からの爆裂現象もある。





①クラック(ひび割れ)等から雨水や炭酸ガスが躯体内に浸入。
②コンクリート中性化が促進される。
③躯体内の鉄筋に錆が発生する。
④発錆により、鉄筋の体積が膨張。
⑤鉄筋周辺のコンクリート片が押し出される。

押出されたコンクリートを削り取り、露出鉄筋の防錆処理後、エポキシ樹脂モルタルで成型します。
クラック追従性を考慮した改修仕様の選定、防水施工箇所の見直し等が求められます。
①コンクリート内部から錆汁が流れていたり、鉄筋が腐食、膨張し、コンクリートが浮いている箇所及び既に剥がれて鉄筋が露出している箇所を打検ハンマーで調査します。
②補修箇所をラッカースプレーでマーキングし、場所や面積を図面に明示します。
③補修箇所をハンマー等でハツリ落とし、鉄筋を露出させ、ワイヤーブラシ等でサビ落としを行い清掃します。
④鉄筋部分に、ハイポン20デクロ(特殊エポキシ樹脂錆止め塗料)などの塗布により防錆処理を行う。
⑤欠損部への埋め戻しは、エポキシ樹脂モルタルをコテで塗布します。
⑥補修後の下地調整は、カチオンフィラー(カチオン系フィラー)をローラー塗装し面調整を行います。
爆裂は中途半端な施工をすると、鉄筋の錆のままふたをすることにもなるため、徹底的に脆弱部と錆を除去するように補修をします。
目に見えない潜在的な一歩手前の状態の爆裂も、念入りな打検調査も肝心です。
爆裂部の鉄筋には高性能な錆止め塗料にて処理をし、エポキシ樹脂モルタルなどで補修し爆裂の再発を防止しています。

材料はポリマーセメントモルタルも可能ですが、大きい爆裂にはエポキシ樹脂モルタルの方が適しています。
補修前にはいずれも、脆く弱くなっているモルタルやコンクリート部を余すことなくできるだけはつり、ほこりなどのそうじ後に、ワイヤーブラシやディスクサンダーなどで鉄筋の錆を完全に除去することが重要です。
昔の鉄筋コンクリートの建物の場合は、今のように山砂ではなく海砂を混ぜたコンクリートも少なくなかったようです。
もともとコンクリートは、鉄筋を錆させないようにアルカリ性を保っていますが、クラックなどによって空気と水が浸入すると、アルカリ性から中性化に変わってしまい、錆が進行する環境に変わっていきます。
海砂を使ったコンクリートの場合は、その中性化がさらに早く進むと言われています。
塩分はどうにもなりませんが、錆再発予防のためには錆を除去するケレン作業と防錆性の高い錆止め塗料の塗布もとても重要です。

マンション外壁からコア抜きをしたコンクリートと塗膜等の断面

コンクリート内の鉄筋が膨張して、モルタル下地を押し上げて爆裂した状態。
耐力壁のかぶり厚は3センチとも言われていますが、1センチ以下の建物もよく見かけます。
これではクラックから入った雨水が鉄筋に早く伝わりやすくなってしまいます。

鉄筋の場所はもう移動することはできません。できるだけ再度爆裂の可能性を排除する必要があります。打音検査で目視できない隠れた爆裂を探すのも重要になってきます。
ワイヤーブラシ等で錆を落とし、錆止め塗料を塗ります。


その後、樹脂モルタルなどで補修をし、外壁まわりの模様に合わせた塗装方法により、補修跡も目立たなく仕上がります。


足場の揺れを止めるアンカーボルト部分の錆によって爆裂した例。
錆止め処理後モルタル等で埋め、その後塗装をします。





垂直の外壁と違い、斜壁の場合はよりクラックなどからの雨水が入りやすくなるので、より慎重に補修をします。


天井の露出鉄筋部への補修では脆弱部をよくはつって撤去しケレンすることが大事です。
充填したモルタルがその重さによる密着不足の可能性も出てきます。
タガネなどで撤去した後は、ほこりなどを掃除して強固なコンクリート素地を出します。


十分にプライマー(接着剤)を塗布させた後に乾燥させて、強力な密着力のある特殊骨材が配合された2成分型の軽量型のエポキシ樹脂モルタルなどを使用して充てんして均します。
そうすることで、垂れもなく跡もなく耐久性のある補修となります。



モルタルが乾燥後は、機械研磨をして塗装によって仕上げをします。

鉄の窓てすりなどの根元の部分からの爆裂もあります。
この事例はクラックからの雨水侵入が原因で、コンクリート内部に埋め込まれている部分の手すりがさびて爆裂を起こしていました。




Pコンの穴は通常モルタルで埋めっていますが、そのモルタルが外れたりする場合もあります。爆裂ではありませんが、穴の中のボルトがさびて外観を悪くするので、モルタルで再度埋めなおします。

