目次
5階建て築40年のマンションを完全補修で大規模修繕
モルタルやタイルなどのひび割れや浮き。単に塗装や防水をすれば修復できると思っていませんか?
ひび割れや浮きなどの問題は下地から発生します。塗装と防水はどちらかといえば表面上の施工での処理。下地補修はもっと根本的な部分で、外観上の問題より耐久性をつかさどる部分の施工です。
単に塗装と防水で表面をきれいにしても、下地が劣化しているままでは工事自体の意味がなくなってしまいます。
入居する方への好印象のために見た目をきれいにすることもそうですが、資産価値維持のために耐久性を意識するのは当然です。
塗装職人では代表者自身がひび割れや浮き補修の国家資格、樹脂接着剤注入施工技能士でもあり、最適な施工をすることによってより耐久性を伸ばすことに努力しています。
モルタル外壁やタイルは、目視での診断のほか、打診棒(テストハンマー)による打音検査をして、乾いた音でモルタルやタイルの浮きを聞きわけながらすべて調査します。
外壁補修(下地補修の種類)
クラック
ひび割れのことです。建物の挙動やモルタルの収縮などで発生します。
ひび割れを埋める処理としては、ディスクサンダーなどの道具でひび割れに沿って溝を入れて、ひびの修復をしやすくなるように処理するUカットシール材充填工法、普通にシーリング(コーキング)を注入するシール工法、クラックに沿ってある程度の間隔で穴を空けて、エポキシ樹脂注入をして埋める工法などがあります。
このエポキシ樹脂注入にも、自動式低圧エポキシ樹脂注入工法や手動式エポキシ樹脂注入工法などがあります。
シールなども入りきらない微細な亀裂については、自閉樹脂塗膜防水材のパラテックスやセメントフィラー等の刷り込みで処理します。
爆裂
鉄筋などがさびて膨張して発生する劣化現象です。
調査によって弱くなったモルタルやコンクリートをはつって除去し、鉄筋などのさびを削り取って防食処理をしてから、欠損部をモルタルによって補修し復元します。
浮き
付着力が低下し密着不良になった状態。塗膜や下地モルタルの浮きがあります。
紫外線や雨水などによる経年劣化で塗膜の付着力が低下し発生するのが、塗膜の浮きです。この場合は、惰弱な塗膜をしっかりと除去し、再塗装を行います。
雨漏りなどの漏水まで発展しなくても、ひび割れから雨水が浸入してモルタルの浮きが発生することもあります。
建物の躯体であるコンクリートの上から塗布してあるモルタルとの間に隙間が生じるなどして浮いている状態のことです。
モルタル外壁やタイルの浮きに対しては、浮き部に穴を開けてから、そこに接着力がとても優れているエポキシ樹脂を注入します。
さらにステンレス製のねじ切りピンをその穴に差し入れることによって、ピンが杭となって浮きで生じた隙間などをエポキシ樹脂が固め尽くすことで、モルタルやタイルの浮きや剥離を強力に固定して脱落などの危険性も防止します。
浮きの処理は平米数あたりに、ピンやエポキシ樹脂を注入する穴の数が決まっているため、調査診断の結果を見て、長期間の耐久性を見込んだ処理をします。
また工法は複数あり、より最適な工法を選んで施工しています。
- アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法
- アンカーピンニングポリマーセメント注入工法
- 注入口付アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法
- 注入口付アンカーピンニングポリマーセメント注入工法
欠損
モルタルやコンクリートなどが、部分的に欠けてなくなっていることです。樹脂モルタルなどで成形して修復します。
マンションの資産価値を維持し続けるためには、見た目の問題だけではなく下地からすべて万全な施工が必要です。
外壁のモルタルやコンクリートは、テストハンマーや打診棒を使う音の検査によって、浮きなどを調査します。
一般的にはカラカラと乾いた軽い音で浮いているかどうかを判別します。
浮いている場所やクラックにスプレーなどでマーキングして、後に作業する下地の補修に備えます。
高所などは足場を組んでからでなければ、実質的な調査診断はできません。 当然マーキングについても同様です。
より正確なお見積りにはブランコ調査による調査診断をいたします。
モルタル外壁の補修は3つあります。ひび割れ(クラック)、浮き、欠損です。
欠損は見た目に分かりやすいですが、特に上階部のクラックと浮きは見た目によくわかりません。
そこで打音検査で調査をしてからの補修となります。テストハンマーを転がし、外壁全面を打音検査によって、浮き部やクラックの確認をします。
音の変化で確認した後は、ペンキのスプレーなどでマーキングをして印をつけ、その後補修をしていきます。
雨水の侵入が怖いモルタルのクラック
マンションにとってクラック(ひび割れ)は雨水の浸入を連想させるため、見た目にも最も不安材料になる劣化症状のひとつです。
一般的に微細な乾燥クラックは塗装時の際、塗料ですべて埋め尽くされることも多く、その場合下塗りには弾性のものを使用することもあります。
もちろん大きいクラック幅は、塗装の前にそれ専用の下地処理をします。クラック補修といってもさまざまな工法がありますが、下地の状況とひび割れの幅で最適なもので処理をして、クラックの再発に努めています。
シール工法
クラック内部への注入というよりかは、クラック表面を覆い尽くしてひび割れを埋める工法です。今後建物が挙動しないと思われる場合にはパテ状エポキシ樹脂、動きが予想される場合は、可とう性エポキシ樹脂や弾性系のものを使用します。
またセメントフィラーやクラック専用補修材で刷り込み処理をすることもよく行います。
Uカット工法
ひび割れに沿ってダイヤモンドカッター等で溝を広げて、そこに可とう性エポキシ樹脂やシーリング材を注入します。
状況によってはその上から、ポリマーセメントモルタルや樹脂モルタルで表面を平滑に仕上げます。
エポキシ樹脂注入工法
約2.30cm間隔でひび割れに沿ってドリルに穴を空けて、穴の間隔を速乾性エポキシ樹脂でふたをして、穴から注入用のエポキシ樹脂でひびを埋めます。
その後ふたの方のエポキシ樹脂をはがします。
自動式
ゴムやエアーの圧力で均一に注入力を徐々に加えて、クラック内部全体にエポキシ樹脂を行き渡らせてひびを埋めます。
手動式
グリスガン(グリスポンプ)にて手動で力を加えてエポキシ樹脂を注入てひびを埋めます。
浮いたモルタルはガッチリ固定接着
モルタルの浮きは見た目でわからないことがほとんどです。塗装はあくまでも表面に対する保護。表面を保護しても建物側の躯体コンクリートからモルタルが剥離してしまっては塗装も無駄になってしまいます。
アンカーピンニングエポキシ樹脂注入工法で剥落の危険性があるモルタルを強力に接着します。
打音検査をしてマーキングが完了したら、モルタルの浮き部分にコンクリート内部まで達するようにドリルで穴を空けていきます。
穴に残ったモルタルの粉じんをエアーで飛ばし掃除をしてから、専用の手動式グリスポンプで、浮き部全体に行き渡らせるように、十分なエポキシ樹脂を穴からあふれるまで規定量注入しステンレス製の全ねじピンにもエポキシ樹脂を塗布して、回しながら穴に押し込み挿入します。
コンクリートとの隙間にエポキシ樹脂を行き渡らせて、さらにこのピンが穴の中で杭のような働きをして、ピンの周りの浮き部をエポキシ樹脂の強い接着力で固めモルタルの脱落を防ぐという寸法です。
欠損部分はしっかり成形修復
欠損は、コンクリート内部の鉄筋がさびて膨張する「爆裂現象」などで、欠けてしまうことを言います。
もろくなったモルタルをはつり、強固なコンクリート下地を出し鉄筋が露出している場合はワイヤーブラシなどで錆を取ってから防錆処理します。
プライマーをたっぷり塗布した後は、プレミックスモルタル、ポリマーセメントのNSドカモルシリーズ、エポキシ樹脂モルタルで言えばアサヒボンドのBEシリーズ、コニシではKモルタルなどの補修材を金コテなどの道具を使用して成形修復します。
マンション修繕工事は様々な職種の業者が入り乱れるもので、工程も順序よく段取りを組まなければなりません。
特に欠損などの場合は、乾燥させて次の工程に移るまで時間が掛ったり、モルタル自身の重みで成形の仕上がりにも不具合が出ないように、軽量や速乾性に優れた材料を場所に応じて使い分けます。
欠損部が大きい場合は、成形の仕上がりと補強をプラスする意味でも、アンカーピンを刺しステンレス製の針金を巻いてそこに材料を盛って成形し仕上げます。
モルタル補修後は乾燥させて塗装をし完成させます。
モルタル外壁のその他の補修
下地の外壁補修とは少し異なりますが、壁面の窓の場所を移動したり、小さくしたり、二重サッシになどにすることも可能です。
ただし構造上コンクリート内の鉄筋で強度を保っているため、事前に調査をする必要があります。いずれも窓周りを左官職人がモルタル補修して仕上げます。
窓サッシの交換
モルタルの劣化
モルタルは混和材をいれたものもありますが、基本的にモルタルは砂3に対してセメント1ほどの割合で水を練り混ぜたもので左官職人がコテ等でコンクリートの上からコテ等で仕上げます。
コンクリートとモルタルは同じようで材料が異なります。砂利を加えたものがコンクリートで、その上から仕上げ層としてモルタルを塗布しますが、素材の違えはすなわち挙動する状態も異なり浮きやクラックなどの劣化につながります。
乾燥収縮挙動
モルタルの乾燥過程において水分が蒸発すると、モルタル自身の体積変化も伴って細かい乾燥クラックが発生します。
熱冷挙動
昼は紫外線照射で温度が上昇、逆に夜は冷えてくる・・その温度差の繰り返しによって収縮し浮きやクラックを発生させます。
調査診断とお見積りについて
2階以上については足場を組んでから、より詳細な調査と診断をしてから実測清算(実数清算)をします。そのためお見積り調査の段階では、平面全体の正確な見積もりを出すことができません。
ちなみにブランコによる打音検査の場合は、より正確な見積もりを提出させて頂くことが可能です。