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マンション屋上 サラセーヌES工法による防水工事

By 2024年11月8日11月 22nd, 2024屋上防水, 防水担当の日誌
築26年の鉄筋コンクリート造3階建てマンションの屋上防水工事。今回は、既存のシート防水層の上にウレタン塗膜防水を施す「サラセーヌES工法」の工程を詳しく解説していきます。

 

① 施工前の状態確認:既存防水層の診断
今回の建物は築26年ということで、既存のシート防水層には、剥がれや痛み、汚れが見られます。また、笠木の金具にも痛みや劣化が見られます。サラセーヌES工法は、既存のシート防水層の状態が良好な場合にのみ適用できます。そのため、施工前に既存防水層の調査・診断を行い、劣化状況を把握することが重要です
目視による観察: シート防水層の表面にひび割れ、破断、浮き、剥がれがないか、また、変色、汚れ、苔の発生などがないかを確認します。特に、端末部や接合部、ドレン周辺は入念にチェックします。
道具を用いた調査: スケールを用いてひび割れの幅を測定したり、テストハンマーでシート防水層を軽く叩き、浮きや剥がれの有無を判断します。
劣化度評価: 調査結果に基づき、既存防水層の劣化度を評価します。サラセーヌES工法は、劣化度が軽度な場合にのみ適用可能です。
②施工前の準備:高圧洗浄
屋上全体の汚れ、コケ、藻などを高圧洗浄機で徹底的に除去します。シート防水層の表面を綺麗に洗浄することで、プライマーの密着性を高めることができます。
3. 下地処理:ケレンと清掃
ケレン作業: サンダーやグラインダーなどを用いて、既存シート防水層の表面を研磨します。これにより、プライマーの密着性をさらに高めます。研磨の程度は、既存シート防水層の材質や劣化状況によって調整します。
清掃: ケレン作業で発生した粉塵やゴミを、和帚などを用いて丁寧に清掃します。粉塵やゴミが残っていると、ウレタン塗膜防水層の表面に凹凸ができたり、密着不良の原因となったりするため、丁寧に清掃することが重要です。
③入隅シーリング:水密性を確保
屋上と立上り部分の入隅に、ウレタン系シーリング材を充填します。シーリング材は、へらなどを用いて均一に充填し、隙間がないように施工することで、水密性を確保します。
④プライマー塗布:接着力を強化
下地処理が完了したら、平場全体にプライマー「サンPC-FV」を塗布します。プライマーは、ウレタン塗膜防水層と下地との接着力を高める役割を果たします。ローラーや刷毛などを用いて、均一に塗布します。
⑤アルミ笠木の撤去
既存のアルミ笠木をバールなどを用いて撤去します。笠木の固定方法によっては、撤去時に防水層を傷つける可能性があるため、注意が必要です。
⓺立上り塗膜防水1層目塗布
立上り部分に、ウレタン塗膜防水材「サラセーヌ」をローラーを用いて丁寧に塗布します。サラセーヌは、1液タイプのウレタン防水材で、主剤と硬化剤の計量・撹拌作業が不要なため、施工現場で簡単に塗布できます。
⑦立上り塗膜防水2層目塗布
1層目が乾燥した後、2層目を塗布します。2層目の塗布方向は、1層目と直交させることで、より強固な防水層を形成することができます。
⑧ 立上りトップコート塗布
立上り部分にトップコート「サラセーヌTサーモ」を塗布します。サラセーヌTサーモは、ウレタン塗膜防水層を紫外線や風雨から保護するだけでなく、遮熱効果も期待できるため、屋上の温度上昇を抑え、建物の省エネルギー化にも貢献します。
屋上防水工事は、建物の寿命を延ばすために非常に重要な工事です。サラセーヌES工法は、既存防水層を活かすことで、環境負荷を抑えながら、高品質な防水層を形成することができます。
施工は、専門的な知識と技術を持った業者に依頼することが大切です。また、定期的な点検とメンテナンスを行うことで、防水層を長持ちさせることができます。

 


今回はここまです。次回は、平場への防水層形成、ドレン改修、笠木新設、検査・確認、完了までの工程を解説します。